533.修学旅行⑩ ティガー公爵家
三連休、いかがお過ごしですか?
今回は、ちょっと短めです。
「お待ちしておりました。皆様、ようこそいらっしゃいました」
「ジョアン様、お久しぶりです」
「ジョアン様〜」
出迎えてくれたのはティガー公爵夫人のマルタ様、アムちゃん、そして私に可愛く手を振るトニー君だ。今日は、雷の日。騎士学校の授業が終わった後に、私とベル、ソウヤ、リキ、ザックはゴールダーと共にティガー公爵家の家紋の入った豪華な馬車で公爵家にやって来た。今週末はティガー公爵家にホームステイ。ちなみに、エド、カリム、ダガー、ブラッドはガロンのハイロー侯爵家に行った。
「マルタ様、お久しぶりです。アムちゃん、元気だった?トニー君は、また大きくなったね」
玄関ホールで簡単な挨拶を終えると、応接室に通された。そこで改めて、私以外のメンバーの挨拶をする。
「ごめんなさいね。主人も他の子達も外せない用があって……。夕飯の時までには帰宅する予定なんだけれど」
マルタ様は、申し訳なさそうに他の家族が不在なことを告げた。ティガー公爵と長男ガドラ様、次男トルガ様は王城での仕事、シアさんはこれまた王城で王子妃教育だそうだ。
夕飯までの間、パールとソウヤ、リキはゴールダーと共にティガー公爵家私兵団の演習場に、私とベルはそのまま応接室でマルタ様、アムちゃんとお茶を。ザックはベルデと共に、ティガー公爵家の家令さんにアニア国の礼儀作法やテーブルセッティングなどについて質問するとどこかへ消えた。ちなみにロッソはトニー君の部屋へ、メテオは散歩に行った。
夕食では、マルタ様の言う通りティガー公爵家の全員が揃っていた。食事は、アニア国らしく肉料理が中心となっていたが、女性陣には以前私が作ったようなワンプレート料理になっていた。つまり大人のお子様ランチだ。
食後は、応接室で全員揃って再び挨拶をする。そこでは、私達騎士科メンバーからティガー公爵家にお土産を渡した。私からは、ジョウ商会で販売している焼肉のタレセット。ベルからはバースト領のお米とトメットソース、ソウヤはナオさんの店で扱っているスパイスセット、リキからは『オアシス』特製の魔羊の樽漬けだ。ザックは、我が家の従僕でもあるので後ほどカクテルを披露するらしい。
「おぉ、“食の女神”の幻のタレか。ありがたい」
「えっ? 幻の?」
確かにアニア国でジョウ商会の商品を卸しているのは、ラビィーちゃんの所のバックス商会だけで、売れているとは聞いていたけど幻になるほど? と首を傾げていたら、ガドラ様が苦笑しながら教えてくれた。
「ジョアン嬢はご存知ないのかも知らないが、武闘会の際にランペイル領に行った者達がタレを辺境伯夫人から頂いて、それを国に帰ってから食したところ好評でこぞって辺境伯夫人に連絡を取ったようだ。また、その者達が夜会などでタレを使用した料理を披露した為に貴族を中心としたご夫人達が、どこの商品なのか主催者に確認をし、なかなか手に入らぬ幻のタレとなったようだ」
「えっ!?」
いつの間にそんな事になっていたの? えーっと、あの時中日でジェネラルに訪れていたアニア国の人は、確か第二王子ラギール様と第二王女ジャンヌ様、ゴールダーとガロン、アムちゃんとラビィちゃん、それからミンコフ領主のウル・バートン様とティガー公爵夫妻、ラビィパパのバックス男爵とラビィ兄のマーシィさんよね。その人達の夜会で……おうふ。そりゃあ、数多くのお客様がいらっしゃるでしょうよ。ラギール様とジャンヌ様に至っては、王家主催だものほぼ貴族全員じゃない。っていうか、お母様いつの間に?
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