532.修学旅行⑨ カルチャーギャップ
いつも読んで頂きありがとうございます。
活動報告に、第2巻刊行決定、コミカライズ進行中、つぎラノなど投稿しましたので、そちらも宜しくお願いします!
ディールにやって来て早くも十日が過ぎた。国も変われば文化も変わるで、毎日がカルチャーギャップで驚いている。私達が、まず最初に驚いたのは寮の食堂だった。獣人はガタイが大きい人が多いから、食堂自体が広い。ワンフロアだけでも、騎士科寮の食堂よりも広いのに二階建ての食堂棟で、収容人数が多い。もちろんテーブルも椅子もエグザリア王国のものより大きい。そして、料理はエグザリア王国が定食形式に対して、こちらは全てがビュッフェ形式。メイン料理は肉、魚の違いだけではなく調理法違いもあって常時五種類は準備されている。サイドメニューもサラダ、ドリンク、スイーツが少なくても三種類はある。そしてパン、ご飯、ソバーの炭水化物ゾーン。まるで、前世でママ友と一緒に行ったホテルのランチバイキングのようだ。騎士科の生徒は、色々なものを少量ずつ取っては食べて気に入ったものはお代わりしているが、間違いなく騎士学校の生徒からは少食だと思われている。現に、食堂スタッフのおばちゃん達からは「もっと食べないと大きくならないわよ!」と、いつも声がかかる。
「いやいや、それ言われてるのジョアンだけだ」
「俺らは言われてないしな」
「嘘でしょ!?」
「……ごめん、ジョアン。私も言われてないわ」
「えーっ!?」
エド達に話すと、なぜか言われているのは私だけだと言う。なんだ? 身長か? ちっちゃいからか? 騎士科の生徒の中で、私は一番ちっちゃい。でも、ちっちゃいと言っても160cmだ。ちなみにベルは、168cm。獣人でも私より小さい人はいるのに、そこは小柄な人種だからと理解してるらしい。解せぬ。
お国柄が違うのは授業でもそうだった。戦術や体術なども違うし武器も違う。アニア国では、生徒だけではなく騎士団も武器としてナックルダスターやモーニングスター、バトルアックスを使う人が多い。つまり体格的に打撃による攻撃が得意な人が多いということ。変わったところでは、鳥獣人は足に特殊な靴を履く。靴としては地下足袋のような形だが、魔力を通すと金属で作られた爪が出る。それを使い、空から攻撃するらしい。俊足の兎獣人は、走るスピードを落とさないように剣など走るのに邪魔になりそうな物は持たない。代わりに手甲鉤を装着している。手甲鉤とは熊手のようなもので、手の甲に装着する武器。つまり某コミックの「コーホー」という機械的な呼吸音を発し、普段は無表情なロボ超人の手甲から飛び出す針状の爪ベアークローだ。もちろん仲良くなったナッちゃんも使っている。
他にも、嗅覚を鍛える訓練だったり暗闇での訓練だったり学院では学ばない授業も色々とあった。
修学旅行中の週末は、基本的自由だった。冒険者活動するもよし、屋台巡りするもよし、観光するもよし。ただし、必ず担任に外出届けを提出しなければならないけど。私達は最初の週末は観光&地元飯巡りをした。しかも、案内はゴールダーとガロンがしてくれて、ガイドマップにも載っていないような所や穴場を色々と教えてくれた。地元飯では、ガロンが前に連れて行ってくれた大衆食堂 《ラクーン》に久々に行ってみた。
「いらっしゃーい! あら? ジョアン様じゃない?」
「はい。お久しぶりです、ラスカさん。十人なんですけど、大丈夫ですか?」
「もちろんよ!……ほらほら、ちょっとあんた達詰めて詰めて!」
「お、おい! な、なんだよ女将」
「この店の恩人が来たんだよ! ほら、前に話した」
「ん? あっ、あれか。おやっさんの腰を治してくれたって言う」
ラスカさんは、私がラスカさんのお父さんの腰を治したことーー実際にはベルデがやったけどーーを、常連客には話していたらしい。
「おっ!ジョアンの嬢ちゃん。よく来たな。遠慮なく食べてってくれよ!」
「ありがとう、おやっさん! 腰は大丈夫?」
「おうよ! お陰さんでバリバリ働いてるぞ」
「ちょっとお父さん、調子乗るとまた痛めるよ!」
厨房の方から、ラスカさんのお父さんターリンさんも私を歓迎してくれた。
以前、来店した時に気に入った《ラクーン》特製スペアリブを注文すると、エド達が我先にと手を伸ばし味が気に入り何度かお代わりをする程だった。
その他にも中央広場の屋台村で片っ端から屋台飯を食べたり、ラグナ達のおすすめカフェでスイーツを食べたりと週末を楽しんでいる。ってか、なんか食べてばかりのような気がする……。
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