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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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528.修学旅行⑤ アニア国バートン領ミンコフ

ようやくアニア国到着しましたが……やっぱり引きの強いジョアン。良いも悪いも引き寄せます。


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 翌日、ヒノモトへ行くキャリーちゃん達を見送りアニア国行きに乗船する。アニア国行きになると獣人もちらほら見かけるようになる。その人達がパールと遭遇すると、また面倒くさくなるので乗船まえからディメンションルームにいる。ちなみにロッソも「パールが寂しがるから」とディメンションルームに入っていったが、アシストちゃんが早速お菓子を食べてることをチクッてきた。


 船で一泊して、翌朝早朝にアニア国の港街ミンコフに到着した。相変わらず入国した人達に海産物などのお土産物を売る露店の商人達の声で活気付いていた。馬達や馬車が下船するのを待っている間に、露店を見て回った。すると、遠くの方から黒い耳と髪の毛、そして黄色の瞳の強面の年配の男性がお付きの人と共に歩いてきた。

「あっ、ウル様〜!」

 私が急に大声で呼びかけ手を振ると、一緒にいた皆んなだけじゃなく周りの商人達もギョッとした顔になっていた。そしてウル様は、私を見つけると笑顔でこちらに歩いてくる。

「ちょっ、ジョアン? 知り合いか?」

「うん、ここの領主のウル様」

「「「「「「「領主様!?」」」」」」」

「おぉ、ジョアン嬢ではないか。久しいのぉ。武闘会以来か。今日は友と……いや話に聞いておった修学旅行というやつか」

「はい。先程着きまして、今から王都に向かうんです」

「そうか、そうか。領都で時間があればアイツらを訪ねてやってくれるかのぉ。また会いたいと言っておったから。あぁ、もちろんそちらの友達と一緒で構わないぞ」

「はい、ぜひ私も会いたいです」


 ウル様と別れを告げ、私達は一路領都アレーズを目指した。エルファ国に向かうにはアレーズを一度経由しなければならないので、私達は再び魔術科と文官科の一部の生徒の護衛のポジションで騎乗している。ちなみに冒険者ギルドランクC以下の生徒は二人乗りか馬車移動だ。リキ、ブラッド、ダガーはこの日の為に、ハードな冒険者活動をしてギリギリランクBに滑り込んでいた。それでもかなりの人数なので、大名行列状態。街道を行く人達が、何事かと振り返る人が多い。

 野営を一泊してアレーズに到着すると、領都の門の所に多くの人だかりが見えた。

「何かあったのかな?」

「ちょっと聞いてくるから、ここで待て」

 ブライアン先生に言われて待つこと10分、戻って来た先生は苦笑い。先頭が止まったことに疑問を持った先生達が先頭に移動してきた。

「俺達が来ることを知った辺境伯様が、案内する為に私兵団を寄越してくれたらしい。他は、それを見た野次馬だった」

「えっ? 何で辺境伯様が?」

 話を聞いて他の先生達が困惑の中、ミア先生がブライアン先生に聞く。でもブライアン先生もわからないらしく、首を傾げている。

「あっ!!」

「ジョアン、どうした?」

「先生、報告忘れてました。たぶん、ウル様だと思います」

「ん? ウル様?」

「はい、昨日の港街の領主のウル・バートン様。ここ、バートン領の先代の辺境伯様です」

「ん? ウル・バートン……あっ! “黒の鉄壁”か」

 ウル様は武闘会でも優勝経験があり、先生の年代の人には有名人だったらしい。

「昨日、港街で偶然会ったのでたぶんウル様がバートン辺境伯様に連絡したのかと……」

「お前なぁ、報告しとけよ〜」

「とりあえず理由がわかったから、中に入るぞ」


「お待ちしておりました、エグザリア王立学院の皆様! どうぞこちらへ」

 私兵団団長という豹獣人の方が、先導して今日の宿に向かった。到着したのはアレーズでも高級宿の一つだった。

「あ、あの、本来の泊まる予定の宿とは違うようなんですが……」

 本来泊まる予定の宿は中級で、ブライアン先生が団長に確認すると辺境伯様のご厚意だから気にしなくて良いとのこと。思わぬ高級宿に喜ぶ生徒達が部屋に案内される中、先生達に呼び出しを受ける私……を含めたいつものメンバー。いつものメンバーは、完全なるとばっちりだった。そして先生達の部屋はツインベッドルームがニつにリビングルームのあるスイートルームだった。

「「「「「「「「おぉー、すげぇー」」」」」」」」

中に入った私達が感嘆の声をあげていると、ブライアン先生がいつもより低い声で言う。

「ジョアン! 説明!!」

「はい! 喜んでー!!」

 反射的に返答し、ソファーに座る先生の前で正座をした私を他の先生達といつものメンバーは声を出さず肩を震わせていた。とりあえずウル様との初対面の時のことやバートン辺境伯様とのこと、バートン家の子供達の事を話す。

「……と、以上です!」

 説明が終わり先生達を見ると、頭を抱えたり、片手を額に当てたりしている。

「つまり、この高待遇はジョアンが原因なんだな」

「原因って……酷い、酷いわ。うぅー」

 ハンカチを出して泣き真似をすると、パシッと頭を叩かれた。

「はぁ〜、とりあえずバートン辺境伯様に挨拶に行くぞ。俺とジョアン、それからエド、ベル、カリムもな」

「ジョアンのことだから、何か手土産あるんだろ?」

 ヘクタール先生は、私のことをよくわかっている。もちろん焼き菓子からジョウ商会の調味料や酒まで揃っている。



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