表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

522/562

518.遠征先の朝食事情

 熱った顔をアクアの水で冷やしバタバタと準備をしてテントを出ると、眠そうなリキがいた。


「リキ、大丈夫?」

「眠い……。小物でも来たら眠気も飛ぶけど、なんも来なかった」

「あははは。そんなもんだ。ほらほら、寝るぞ」

「はい……」

「ジョアンちゃん、頑張ってね〜」

「はい」


 リキはシェルトンさんとマットさんに促されて、テントに入っていった。

 テント前の焚き火では、ヘイデンさんが何かを焼いて、その横ではカズール班長がコーヒーを淹れていた。私が焚き火に近づくと、コーヒーを渡された。


「ありがとうございます。えっと、ヘイデンさんは何を焼いているんですか?」

「ん? 甘露芋。仮眠すると腹減るだろ?」

「俺たちが入団した時、ジーン副団長が……その時は班長だったけどよく焼いてくれたんだ。それの名残」


 ジーン兄様は寝ると腹が減ると昔から言ってたけど、それは今も変わらずなんだと考えているとヘイデンさんから焼き芋を渡された。


「あふっ……美味しい!」

「そりゃあ、ランペイル産のだから」

「えっ? そうなんですか?」

「他の所の甘露芋だと甘さが足りなくて、やっぱりランペイル産だろってことになって定期的に第二騎士団で購入してるんだ」


 確かに他の所の甘露芋より我が領の甘露芋の方が蜜がたっぷりなのは知っていたけど、まさか定期的に購入してくれていたとは知らなかった。

 甘露芋とコーヒーでお腹を満たした後、私は朝食作りを始めた。その間、カズール班長は周辺を巡回して来るとテントから離れていき、ヘイデンさんは日課だというストレッチと素振りをするという。


 今朝の朝食は、フレンチトースト、目玉焼き、カリカリに焼いたベーコン、ジャガトサラダ、スープはソーセージとキャベッジのミルクスープ。

 昨日の夜に、支給されたパンが硬めだったことがわかったのでフレンチトーストにしようと昨日の夜から卵液に漬け込んでいた。ストレージのエイジング機能を使えば、あっという間に漬け込み完了になるけど今回は一般的に漬け込んでみた。私のスキルの規格外さは、なるべく教えたくないのもあったから。


カシャ、カシャ、カシャ……。


「ふん…ふん…ん? ジョアンちゃん…何…して…んの?」


 腕立て伏せをしながらも、見た事のない作業をしている私が気になったのかヘイデンさんが聞いてきた。マヨネーズは、いつもならストレージにあるストックを使うところだけど、朝食までに時間もあるので私としては久々に一から作ろうと思った。


「マヨネーズを作ってるんです」カシャ、カシャ……。

「マヨネーズとやらがよくわかんねーけど、なんか美味そうな感じがする」

「あははは。美味しいですよ」カシャ、カシャ……。

「ってか、代わろうか?」

「良いんですか?」

「いいのいいの。……あっ、これ腕鍛えられるわ〜」


 マヨネーズ作りをヘイデンさんに代わってもらったので、その間に茹で上がったジャガトを潰す。そこに切ったハムや塩を振って水を出したキューカン、タマオンを入れる。そして、ヘイデンさんが手伝ってくれたマヨネーズを入れて混ぜて出来上がり。

 素振りをしながら、私の行動を見ていたヘイデンさんに声をかける。


「味見しますか?」

「いいの? するする〜。……うっま!!」

 

 次にスープに取り掛かる。切ったキャベッジとソーセージをバターで炒め、キャベッジがしんなりしてきたところに、小麦粉を加え粉っぽさがなくなるまで炒める。水、塩を加えて煮立たせ、ふたをして弱火で七〜八分程煮る。そして牛乳を加えてとろみがつくまで弱火で温める。隠し味にメソを少し入れて完成。


「良い匂いがするな」

「だよな。朝からちゃんとした物食えるなんて、初めて遠征来て良かったと思うよ」


 ヘイデンさんから聞くと、遠征の朝食は硬いパンとコーヒー、ソーセージやベーコンを焼いただけのものらしい。たまにちぎっただけの野菜のサラダが出たり、塩だけで味付けたほぼ海水のようなスープが出たり、目玉焼きを焼いても何故かぐちゃぐちゃな炒り卵になったりと中々酷い朝食らしい。それを聞いて、私の眉間にシワがよったのは致し方ない。


 そろそろリキ達も起きてくる時間になるので、フレンチトーストを焼き始める。こんがり焼けたものから、ヘイデンさんに手伝ってもらい班のストレージに入れていく。その後は、ベーコンをカリカリになるまで焼いて目玉焼きを焼く。全てが焼き終わった頃、テントからシェルトンさん達が出て来た。


 眠そうなリキは、寝癖の酷いマットさんと川へ顔を洗いに行った。その間に、スープを温め直して皿にフレンチトースト、カリカリベーコン、ジャガトサラダ、目玉焼きを盛り付けて行く。最後にスープをカップに入れて、皆んなに配る。


「すげぇ〜。遠征なのにちゃんとした朝食だ」

「昨日もそうだけど、もうジョアンちゃんやリキなしでの遠征は嫌かも」

「わかる〜。もうさー、学院飛び級卒業して欲しい!」

「取り敢えず、食べるぞ。この後もあるんだからな」


 カズール班長の声で皆んな食べ始めると、口々に「美味い!」を連呼してくれる。ここまで喜んでくれると、作った甲斐がある。


「スープはお代わりありますけど……」

「「「「「お代わり!」」」」」


 スープも多めに作ったけど、あっという間に空になった。後片付けは、リキとマットさんが率先してしてくれた。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★好評発売中★

html>
書籍情報はこちらから
★マグコミ様にてコミカライズ連載スタート★

html>
マグコミはこちらから
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ