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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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516.呼び方

 王都の東側にある山の麓の村、フースまで残り二刻ほどのところで一泊することになった。フースの近隣の村を二刻前に通過したので、ちょうど間ぐらいになる。


 先輩達がテントを張っている間に、食事係に任命された私とリキは夕飯を作っていた。日が落ちてから急に寒くなって来たので、今夜のメニューはホーンラビットのトメット煮込み、チーズ入りマッシュジャガト、ホーンラビットの照り焼き、そしてパン。野菜とチーズ、パンは、第二騎士団が遠征の時に、人数分支給されるものらしい。肉系はソーセージやベーコンなどしか支給されないので、ホーンラビットをここに来るまでに仕留めた。


「「「「うまい!!」」」」

「過去一で最高の遠征飯!」

「さすがジョアンちゃんと王都一の食堂の息子!」

「……俺、いつもの遠征飯もう食えないっすよ」

「間違いないな」


 食事を終えて、ブラックコーヒーを淹れた私は皆んなに配る。


「ありがとう。あーあ、あんなに美味い飯なのに呑めないってのはマジで辛い」

「わかる! あれはワイン呑みたくなった」

「あ、出せば良かったですね」

「えっ!? ジョアンちゃん持ってるの?」

「はい。明日も泊まるようなら出しますね」

「「「よし! 泊まろう!!」」」

「あのなぁー、討伐して帰れるようなら帰って来いって団長に言われただろうが」

「じゃあ、班長はあの料理とワインのマリアージュを諦めると?」

「……それは、悩むな」


 真剣に悩んでいる先輩騎士達を私とリキは、苦笑しながら見ていた。だって、食べたいならリキの実家『オアシス』に来ればいいだけなのに。そう言うと、「それは違う。外で食べるから更に美味いんだ!」と言われてしまった。


 まぁ、食べる場所や一緒に食べる人によっても味って変わるよねぇ。


「いつも通りに順番で見張りをするが、ジョアン嬢とリキは初めてだから三人ずつに分かれる。シェルトン」

「はいよ。この紐を引いて赤い印があるのを引いた人が先に見張りってことで。あっ、ジョアンちゃんとリキは先にこっちを引いて」


 カズール班長に呼ばれたシェルトンさんは、ウエストポーチからくじ引き用の紐を出して説明をした。先輩達が引く前に、私達が分かれないといけないので先に引く。リキが赤い印が付いていたので先に見張りとなった。そして、その後に先輩達がくじ引きをした結果、赤い印で見張りの先行はシェルトンさんとマットさん。


 後から見張ることになった私とカズール班長、ヘイデンさんは交代まで仮眠を取ることになった。交代は、四刻後。テントは、通常なら男女別になるそうだが面倒だからと今回は一緒で良いと言い張って、先輩達が折れることになった。


「あっ」


 テントに入って仮眠の準備をしていて思い出した。以前もこのメンバーでテントで仮眠を取ったことを。あれは、私が他国へ使者として帰国した日の野営をした時。テントの準備を怠ったマットさんのフォローをするのに、私のテントを貸した。といっても、あの時の私はショウだったけれど。


「ん? どうした? ジョアン嬢」

「あっ、いえ。そういえば、なんで班長は私を嬢呼びなんですか? 騎士団では男女関係なく呼び捨てだと習いましたけど」

「あっ、いや、それは職業体験でも適応されるのか?」

「近衛隊では呼び捨てでした」

「班長は、ジョアンちゃんを呼び捨てにするの照れてんだよ」

「煩いぞ、ヘイデン。さっさと飲んで寝ろ」

「はいはい。……クゥー。よし! おやすみ〜」


 何かを飲んで横になったヘイデンさんは、あの時のようにあっという間に寝息をたてていた。


「早っ」

「ははは。ヘイデンは、仮眠を取る時に必ず一杯飲まないと寝れないらしい」

「何を飲んでいるんですか?」

「あー、ウイスキーだ」

「ウイスキーを一杯ですぐ寝れるって、ヘイデンさんはお酒に弱いんですか?」

「そっ。普段は果実酒とかだから。今回は場所的にも仮眠時間も問題ないから、俺も少し呑むかな。どうだ……ジョアン……も」

「あっ……はい。の、の、呑みます」


 自分から呼び捨てでお願いしたものの、急に呼ばれるとドキッとしてしまった。私の心情を知ってか知らずか、カズール班長はウエストポーチからお酒の瓶とコップを二つ出してそれぞれに注いでいた。私は急いで、自分のウエストポーチからおつまみになる物を探して出した。ちなみに出したのは、カレー粉をまぶしたナッツ。


「じゃあ……第二騎士団にいらっしゃい」

「はい。数日ですけど、よろしくお願いします」

チン。

「っ!!……カズール班長、このお酒って」

「あっ、悪い。ツヴェルクのウォッカなんだけど、やっぱりキツかったか? ヴィーとかノアからも断られるんだ」


 カズール班長のお気に入りの酒は、酒呑みの国ツヴェルク産ということもあり、かなり度数の高い辛口のウォッカだった。


「確かにキツいですね。あっ、でもここにミランジやリモンを絞ったら美味しいかも。試しても良いですか?」

「ん? 持っているの?」

「はい。……ん、あっ、呑みやすくなりました」

「俺も良い?……おっ、これはイケるな」

「ですよね? おつまみもどうぞ」

「ありがとう。ん、これ、美味い! あっ、やばい。酒が進む。あー、なんで野営なんだ……」

「あははは。そうですね、野営でした」



 ……その後、楽しく二人で何杯か呑んだ後、私はいつの間にか寝てしまった。






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