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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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502.顔合わせ

4月にあった武闘会の熱も私主催の打ち上げパーティーの余韻も完全に収まった6月初頭、私達騎士科2クラス合わせて52人は王城の演習場に集まっていた。

私のスパルタンレースの褒美である『騎士科3年の12日間の職業体験』が明日から始まるので、今日は顔合わせとして集められたのだった。各クラス3チームに分かれて、4日間ずつ、4日ごとに2日休みーーそのうち1日は配属先での顔合わせがあるーーが入るので計16日間の職業体験だ。さすがに学生を一気に受け入れることは出来ないということで、私達Aクラスが終わった後に、Bクラスの職場体験が始まる。


「騎士科3年生の諸君、よく来てくれた。明日から16日間の短い間だが宜しく頼む」

「「「「「宜しくお願いします!!」」」」」


私達の前には、近衛隊と第一、第二の騎士団の隊長及び団長が、後ろには私達を指導してくれる予定の数人の騎士達が立っている。その中には、知った顔もちらほら。

近衛隊長が進行及び総責任者のようで、近衛隊と第一、第二の騎士団の仕事について簡単に説明をしてくれた。近衛隊は、主に王族の身辺警護だけではなく王城の内部や周囲を警備・警護。今回は限られた場所にはなるが、王城での警護の予定らしい。第一騎士団は、主に王都での防衛、治安維持のために巡回警備、犯罪者の摘発や門衛。今回は、巡回警備や門衛の予定らしい。第二騎士団は、言わずもがな魔物討伐団。今回は野営をしながら鍛練を行う予定らしい。


3チームの振り分けは、先日受けた春の季のテスト結果の順位だった。私のいるAチームにはカリム、エド、ベル、ソウヤ、リキ、ダガー、ブラッド。……結局、いつものメンバーにみんなで苦笑したが安心したのも事実。


「では、明日からの配属先を発表する。えー、まずはAチームは近衛隊、Bチームは第一騎士団、Cチームは第二騎士団だ。これから各チームごとに分かれて、指導係との話し合いをしてもらう。その際に予定の詳細を確認するように」

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」


Bクラスが学院に戻り、Aクラスの各チームがそれぞれ担当の部署の騎士の前に行く。もちろん私達も近衛隊長と指導係の騎士の元へ向かった。すると近衛隊長から、移動することを告げられて案内されたのは、以前来たことのある近衛隊兵舎の食堂だった。


「改めてAチームの諸君、私は近衛隊長のトーマス・ヘルナンデスだ。そして明日からの4日間、君達を指導してくれるのは……」

「君達の中には面識のある者もいると思うが、改めて俺はリューク・サリバンだ」

「僕はチャッター・ノルデン。よろしくねー」

「「「「「「「「宜しくお願いします」」」」」」」」


指導者はアラン兄様の同級生のリュークさん。ここで初めてリュークさんの家名を知った。私の記憶が確かならサリバン伯爵家は、王都から東に向かった所にあり特産物はワインだったはず。そしてチャッターさんのノルデン男爵家は、クロエ先輩の出身地の領主様。ちなみに近衛隊長のヘルナンデス辺境伯家はツヴェルク国との国境を守っている北の辺境伯様だ。

「じゃあ、あとは任せた」とリュークさんの肩を軽く叩いて隊長は食堂を出て行った。その後、リュークさんから明日からの予定の詳細を聞き、チャッターさんから近衛隊の制服に似た白地に金刺繍の腕章が配られた。騎士科の制服に腕章をつけて行動するようにとのことだった。


「今回のことがあって、作ったらしいよ」

「えっ、そうなんですか?」

「さすがに騎士団の制服を貸すことは出来ないからねぇ。でも、よくこんな事思いついたね」

「ほんとっすよ。俺らの時もあったら良かったのに」

「なんだよ、チャッター。近衛隊に不満か?」

「いやいや、そういうことじゃなくて、他の騎士団の仕事って気になるじゃないっすか?」

「あーまぁな。それは言えてる。君達は色々と吟味して選んだら良いよ」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」


詳細も聞き顔合わせが終わる頃、ちょうど昼時の事もあってリュークさん達がそのままここで食べて行ったら良いと言ってくれた。王宮の食堂もあるが、それは明日からの職務中に食べられるからと。

兵舎の食堂は、日中利用する人数が少ない為に料理人も最低限の人数だが厨房にある時間停止機能付き大容量タイプのマジックボックスから出してくれるので、いつでも食べられるようになっているらしい。不規則な騎士団らしい理由に納得。


カウンターに行くと、マジックボックスにあるメニュー表ーー在庫表とも言うーーを見せてもらえた。その中から私とベルはサンドウィッチとスープを、男性陣はカツカレーや牛丼などを注文していた。サンドウィッチはバケットサンドで具はBLT、スープはクリームスープだった。


「いやぁ、ジョアンちゃんのお陰で食堂の料理が更に美味くなったよ。本当に感謝だな」

「お米もアレから出してもらえるようになったんですね」

「あははは、そうだよ。アレがなかったらここで米が食えなかったな」


リュークさんが言うアレとは、以前各騎士団に料理を運んだ際に近衛隊兵舎の料理人とバトった事だ。その事を知らないチャッターさんやみんなに話すと「ジョアンらしい」と笑われた。何故に?


「でも、あれは元々問題のあった料理人だったからでしょ。あの後聞いて、ディーンさんに利用されたと思いましたよ」

「あー、副料理長だからなぁ」

「やっぱり腹黒い感じです?」

「そうそう」

「ーー私が何です?」

「「つ!!」」


厨房を背にして話していた私とリュークさんは気づいていなかったが、ディーンさんがこちらに来ていたらしい。しかも、気づいた人には黙っておくようにジェスチャーをして。


「ふふふ。はい、食後のハーブティーです。宜しければどうぞ」

「副料理長、人が悪いっすよ?」

「そうですか?致し方ありませんね、腹黒いですから?」

「「えっ!?」」

「あの……いつから……」

「ランペイル嬢のお陰で……辺りぐらいでしょうか?」

「「最初っからかい!」」


やっぱり腹黒いディーンさんだったけど、ハーブティーは相変わらず美味しかった。




4日間ごとに1日休み

4日間ごとに2日休みーーそのうち1日は顔合わせーー


に、変更しました。

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