497.身内にも容赦なし
長いことお休み頂きまして、申し訳ありません。
身内が剥離骨折したり、5年ぶりに帰省したりとバタバタしておりました(^_^;)
少なくても週一で、『82才』か『連勤術師』を更新する予定です。
3周目スタートと同時に、私達は個々に走り出した。スタートダッシュを決めたのは、私とエド。カリム、ソウヤ、ベルは後のことも考えてスピードを落とし完走することを選んだ。
私とエドは早々に、魔術部門の決勝進出者の最後尾を捉えた。魔術部門の先頭は、ノエル兄様、そのすぐ後ろにアルバート殿下。
「お疲れ様でーす」
「クッ……。お前達、もうここまで来たのか……ハァハァ」
「ジョー……。まだ余裕そうだね……ハァハァ」
「えへへ。まぁ、まだ大丈夫でーす。じゃ」
私が挨拶した事に、まだ余裕があると察したノエル兄様とアルバート殿下は、悔しそうに私を見たけど笑顔で返し、手を振ってその場を離れた。
3周目では、体術部門の先頭を走っていたエリック様と同時にゴール。その後に、エドとメルヴィンさんが続いた。
「ハァハァ、ハァハァ……マジか……。ジョアンちゃん、早すぎだって」
「ほ、本当に……。ランスにも……見習って……欲しいぐらいだ……ハァハァ」
「いやいや、ランスは他の事頑張ってますから」
「いーや!アイツは、弛んでる!」
「まぁまぁ、メルヴィンさん、スポーツドリンクでも飲んで落ち着いて下さい」
スポーツドリンクを飲んで、ようやく落ち着いたメルヴィンさんを見てエリック様、私、エドは苦笑いしかない。そんな中、カリム達も合流した。そこに、お祖母様の声が演習場に響く。
「4周目からはグループ関係なく、着順で10人ずつスタートするように。よって、ペナルティーもなくなるわ。ここからは、個々の戦いよ」
「「「「「「「「「「おぉー」」」」」」」」」」
4周目がスタートし、私は更にスピードを上げた。前を走る中には、剣術部門のジーン兄様とアラン兄様、カズール先輩。槍術部門のノア先輩とツヴェルク国第一騎士団の副団長レギンさん、アニア国の第二王子ラギール様。弓術部門のレベちゃん兄のレオさんとヘイデンさん、アニア国の第二王女ジャンヌ様がいる。
でも、どうしても私はトップ5に入りたい!
どんな褒美があるかわからないけど、ここで魔物討伐団に入りたいことを改めてお父様に伝えたい!!
まずは、弓術部門の騎士達を捉えた。レオさんとヘイデンさんを捉えたのは、泥の中の飛び石を飛んでいる時だった。2人共驚いた拍子に足を滑らせ、泥の中に転んでしまった。
「えっ!?あっ……マジか……」
「ジョアンちゃん!?うわっ……嘘だろ?」
次は槍術部門の騎士達。ファイヤーボールを避けながら、レギンさんに近づくと、やはりレギンさんも驚いていた。
「えっ?ジョアン嬢!?あつっ……」
4周目を終える頃、私の前を行くのはジーン兄様とアラン兄様、カズール先輩、ノア先輩、ラギール様、ジャンヌ様となった。
「ハァハァ、ハァハァ……ジョー、マジか」
「ハァハァ……マジです。ジーン兄様、ハァハァ……」
「ハァハァ……ジョアン、そろそろ限界だろ。無理するな」
「あは、はは……。限界なのは、アラン兄様じゃないの?ハァハァ……」
「……ランペイル一族は、凄いな」
「ええ、私達も負けられないですね」
私達の会話を聞いていたラギール様とジャンヌ様は、呼吸の乱れもすぐに治っていた。これが獣人族と人族の体力の差かな?と思い、ふと気になってカズール先輩を見ると、やはり獣人族の血を引いているだけあって、既に呼吸は整いノア先輩を甲斐甲斐しくお世話していた。
「ハァハァ……ノア先輩、大丈夫ですか?これ、飲んで下さい」
「ハァハァ、ハァハァ……あり、がと、ジョアン……ちゃん。膝枕も、してくれたら……すぐ回復しーー」
「「ノア!!」」
「はい!スミマセン!」
ノア先輩にスポーツドリンクを渡すと、いつもの軽口を言おうとしてジーン兄様とアラン兄様に名前を呼ばれ、すぐ様謝るノア先輩。これには、カズール先輩も私も、ラギール様とジャンヌ様も苦笑いするしかなかった。
そんなインターバルが終わり、遂に最後の5周目がスタートした。スタートダッシュを決めたのは、アニア国の両殿下。続いて、アラン兄様とカズール先輩。その後に、ジーン兄様と私、ノア先輩が続く。
最後の1周は、お祖父様達も魔術科の生徒達も全力でトラップを仕掛けにきていた。
魔術科の魔道具コースの生徒が投げるスティッキースライムの粘着液に足を取られる人、幻影かどうかわからないがマグマの様な状態の池から火の玉が飛び出す所を飛び石で進むが、怖くて動けなくなる人、走っていると地面からストーンヘンジの様な石柱が出て来て上空へ飛ばされる人など、リタイヤする人が続出した。
それらを乗り切って走っていた先頭集団のラギール様とジャンヌ様は、誰かが風魔法で飛ばしたマタタビ系植物と痺れ粉を思いっきり吸い込んでしまい一時動けなくなっていた。そのすきにジーン兄様が先頭を取ったが、雲梯に似た障害物を攻略中にお祖父様の雷に打たれて落下し腰を強打していた。
『さすが身内にも容赦ないランペイル家』と誰しもが思った瞬間だった。
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