48.BBQ②
同時3話更新の2話目です。
「いっぱい食べてますかー?」
私兵団のグループに声を掛ける。
「あっ、お嬢様。今日は本当にありがとうございます」
「「「「「「「ありがとうございます」」」」」」」
みんなから、お礼を言われる。
「っ!!ど、どういたちまして……あっ、えへっ」
予想以上の大きな声で、ビックリして噛んでしまった。首を傾げて笑って誤魔化しておく。
「「「「「「「っ!!(やべー可愛い)」」」」」」」
なぜか、みんな顔が赤い。
いきなり大きな声出したから酔いがまわったのかしら?
「で、どうですか?お腹いっぱいなりました?」
「はい、こんなに美味いご飯久しぶりっす…です」
そう言うのは、ナットさん。
私兵団の中の同世代では1番小柄だけど、その身軽さを生かして戦っているらしい。
「ふふっ、敬語無理しなくていいですよ。あと、私のことは名前呼びでお願いします」
「いや、いや、いや、それはーー」
「あっ、名前呼びはお父様から許可貰っているんで大丈夫ですよ」
「ジョ、ジョアン様……敬語、使い慣れてないですけど、頑張りますから」
「えー無理しなくて良いんですよー。これから、ちょくちょく私兵団の寮にお邪魔しますし」
「本当に料理を教えてくれるんですか?」
聞いてきたのは、ガンさん。
実家は大工と木工工房を営んでる所の三男。甘いマスクのイケメンさんで、街に行くと女の子からよく声をかけられるらしい。さらにノエル兄様と同級生で、今は週末私兵団。
「はい、教えるのが私なんで申し訳ないですけど。頑張りますので、宜しくお願いします」
意気込みを伝えて、頭を下げる。
「あーーーー、頭を上げて下さい!!お、俺、平民なんで!!」
「でも、貴族でも平民でも関係なくお願いする場合は、頭下げるべきだと思うんですけどねぇー」
「それは旦那様とかは知ってるんですか?」
マツさんが聞いてくる。
私兵団の中でもベテラン枠に入る、大剣使いのマツさん。エルさんと同じく魔物討伐団にいたらしい。
「もちろん。私が頭下げるのは、屋敷の人間はみんな知ってますよ」
「変わってますね、ジョアン様」
そう言うのは、マーティンさん。
バーベキューの鉄板と網を作ってくれた、鍛冶屋の次男。ジーン兄様と同級生で、ガンさんと同じく週末私兵団。
「おい、マーティン!失礼だぞ!!」
紫色の髪のオーキさんが怒る。
私兵団の中で1番大きい人で、立っていられると私の首がもげる。
「オーキさん、大丈夫ですよ。変わってて良いじゃないですか、私の個性だもの。でも、頭を下げるのは止めないですよ?私は、それが誰に対しても礼儀だと思いますもの」
「「「「「「「……」」」」」」」
「それと、私としては私兵団の皆さんと仲良くなりたいので、敬語は禁止で。ねっ?」
「本当に、良いんですか?不敬になりませんか?」
「大丈夫です。お父様たちにも話してありますから」
もちろん、既に許可は取ってある。
ただし、相手に無理強いをしないということが前提だが。だから、ダメ押しで。
「お願い、ダメ?」
と、手を合わせながら、あざとく首を傾げる。
末孫ニコの真似してみたけど、どうかしら?ニコがやると、効果抜群だったけどねー。息子なんてメロメロだったわ。
「ちょっと待って下さい」
オーキさんは、そう言うとみんなで円になって小声でコソコソ相談する。
「おい、どうするよ?」
「いや無理だろ、さすがに」
「でも、俺、ジョアン様のお願いが可愛くて、無理だと言えない」
「旦那様の許可も貰ってるって言ってたぜ」
「じゃあ、良いんじゃないっすか?」
「だな」
「敬語じゃなくなったら、仲良くなれるかも知れない」
「「「「「「うん」」」」」」
ようやく戻ってきたわ。
で、結局どうなのかしら?
「じゃあ普段の言葉使うから、料理教えてくれる?」
ニコッと、人懐っこい笑顔でマーティンさんが聞いてくる。
「うん、私で良ければ教えるー。よろしくね」
私もニコッと笑ってみる。
((((((((可愛いーー!!)))))))
よーし、これで無理して喋らなくて良い所ゲットーーー!!
これで厨房と私兵団は、私の憩いの場所となるわ。
小さくガッツポーズをする。
それを見ていた私兵団は……。
(ヤバい、可愛いくてヤバい!!)
(ぎゅーってしたいと思うの俺だけ!?えっ?俺ヤバい?)
(抱っこしてあげたい)
(頭撫でてあげたい)
(今、5才……俺と6才差。イケるか!?貴族か。でも本当にジーンの妹なのが信じらんねー)
ヒョイッ。
いきなり目線が高くなった。
「よっ、お嬢。楽しんでるか?」
エイブさんだった。
「もぉー!お嬢じゃなくて名前で呼んでって言ったのにぃー」
頬を膨らませる。すると、なぜかjr.メンバーが顔を赤くする。
「こら、お嬢。そんな可愛い顔すんな。若いのが勘違いするぞ」
と、エイブさんに頬を摘まれる。
「ん?」
「まっ、わかんねーならいいや。オマエら、お嬢に料理教えてもらうんだから、ちゃんとしろよ」
「「「「「「「はい!!」」」」」」」
こうして何とか私兵団に受け入れてもらった。
次は使用人たちの所に、行ってみようかなぁ〜。
私が、今後動きやすくなる為の賄賂配らないと〜。
エイブさんに抱っこされたまま、使用人グループの所に連れて行ってもらった。




