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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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474.萬屋本店

ランチの後は、チグサ様のご実家《萬屋(よろずや)本店 越後屋》へ向かった。


まさかの越後屋……。何?悪代官とお知り合い?

チグサ様のお父様、悪そうな感じなのかな?


店の暖簾をくぐると……


「「「「「「「お待ちしておりました」」」」」」」

「ひぃっ」


盛大なお迎えに驚いてしまった私は悪くない。スタッフ全員が声を揃え、一斉にお辞儀されたら誰だって驚く。中には団扇に『ジョアン LOVE』や『こっち向いて』と書いて振っている人や紙吹雪を撒いている人もいる。後の掃除が大変そう……。

ちなみに、隣にいる越後屋の娘チグサ様は手をおでこに当てて溜息をついていた。


「いやいやいや、お待ちしておりました "食の女神” ジョアン様。ようこそ越後屋へ」


と、ぐいぐいと両手握手をして来たのはチグサ様のお父様。私の中での『越後屋』の勝手なイメージは、贅沢で太って脂ギッシュだったが、それに反してシュッとした白髪のイケオジだった。


「お父様!あれほど、歓迎はほどほどにと申したではありませんか!」

「あぁ、だから、こうして店の中だけで歓迎しているではないか。元々は店の前の大通りでパレードする予定だったのだぞ」

「「………」」


いや、マジか……。これで、ほどほどって。

パレードはさすがにないわ〜。


一先ず、店の奥にあるVIP用の商談室に通され、挨拶を交わした。応接セットの誕生日席にはチグサパパ、私の正面にはチグサ様に似た美魔女のチグサママ、その隣のチグサパパの若い頃を想像させるイケメンはチグサ様の弟さんのケンタロウ様で私と同じ年らしい。そして私の隣にはチグサ様。


「ジョアン嬢に会えるのを楽しみにしていたのですよ。あなた様のお噂は、色々と聞いておりますからな」

「噂とは?」

「よく聞くのは料理に関してですかな?その他には、伝説の魔獣との契約だとか……最近では、()()ランペイル家に喧嘩を売った強者がいたが、今は見る影もないと」

「え?」

「おや、知りませんでしたか?ジョアン嬢に謂れもない言いがかりをつけた侯爵家は自ら降爵を願い伯爵家に、元侯爵夫人に連なった者には商人達が取り引きをしなくなったともっぱらの噂ですぞ」


チグサパパの話は、ピグレート侯爵の話よね?元侯爵夫人は平民落ちで修道院って聞いたけど、他の人までは知らなかったわ。でも、なんで商人が?


「あの、なぜ商人の方々が取り引きをしなくなったのですか?」

「それはそうでしょう。エグザリア国だけではなく、各国で知られている "食の女神” に言いがかりをつけただけではなく、商人の中では凄腕のバイヤーと有名なランペイル辺境伯夫人に睨まれた家などに関わっていては、商人としては終わってしまいますよ」

「あー……なるほど。納得しました」


でもお母様が関わっているとはいえ、今まで取り引きしていた貴族の家との取り引きをしなくなったら、商人さん達に危害が及ぶのではないの?


そう考えていた私に、チグサママとケンタロウ様はにこやかに私の知らなかった後日談を話してくれた。


「それに聞いた話では、商人達だけではなく他国でもファンが多いグッドマン夫人や “グロッシー・バタフライ” もジョアン嬢を非難した者には出入りを禁止したということですわ。ですから、ドレスは着回しするしか出来ず社交界でも後ろ指を差されているそうですわ」

「俺の聞いたのは、武器商人が件の令息だけではなくその友人達も販売拒否したってことかな」

「武器商人が?なんで?」

「あー、武器商人の話では、その令息達に関わるなら取り引きをしないって有名な鍛治師と魔法付与が出来る細工師が言ったらしいよ」


どうやらグッドマン夫人、ニッキーさん、イジョクさんにガンダルさんも私の事に怒ってくれていたらしい。その業界では敵に回したくない重鎮達に、商人達も睨まれたら終わると元侯爵夫人や連なった者達との取り引きを一切止めたらしい。


誰もそんな事教えてくれなかった……。

文のやり取りも、いつも通りだし言ってくれたら良いのに。


「ジョアン様は、皆に愛されているのね。だからこそ、あなたに告げなかったのでしょう。きっと、それを知ったらあなたは気にしそうな性格のようだから」

「え?」

「あなたは相手の機微を察することが上手いようだから、もしあなたの為に周りが動いていると知ったら、それを申し訳なく思うでしょう?だから誰も知らせなかったのでしょう」


チグサパパ達の話を聞いてモヤモヤしていた気持ちが、チグサ様にそう言われて少し晴れた。そして、皆んなへの感謝は帰ってからこれでもかというぐらい伝えようと決めた。


それからチグサパパの案内で、店内をぐるっと見せてもらった。萬屋というように多様な商品を扱っている。食品、衣料品、生活雑貨から魔道具まで。

もちろん色々と買わせて貰った。お代はいらないとチグサパパは言うけど、いつも通りに『ただより怖い物はない』と言い、割引き価格で販売してして貰った。


買い物が終わり、再び商談室でお茶を頂いているとチグサパパからジョウ商会の商品を越後屋で取り引き出来ないか聞かれた。私個人としては、和食調味料が手に入る越後屋との取り引きはありがたい。でも、我が家の営業部長はどう判断するかが問題だけど……。チグサパパ&ママとチグサ様に断り、お母様に文を飛ばす。ちなみに、ケンタロウさんは予定があるようで出掛けられた。

返信が来る間に、ジョウ商会での売れ筋商品をプレゼンしておく。取り出したのは干し甘露芋、クッキー各種、ケチャップ、ドライフルーツ、そしてアニア国でも人気になった古米のおこし。色々と試食をして貰っていると、来客の知らせを番頭さんが持って来た。


まさか?


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