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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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438.余計なことを……

私は、入室して来た方々にソファーから立ち上がりカーテシーをとる。


「あー、良い良い。ここには限られた者しかいない、頭を上げよ」


と、王様から声がかかり私は頭を上げた。


「改めて……ようこそアニア国へ。ジョアン嬢とお呼びしても良いか?」

「はい。光栄にございます」


全員が座り、侍従さんと侍女さんがお茶を配り終え応接室から出て行くと……


「ジョアン嬢、私の家族を紹介しよう。王妃は先程紹介したが、こちらから第一王子のレオナール、第二王子のラギール、面識がある第三王子のリジャルと第四王子のラムディール。そして、王妃の隣りは第三王女のジャクリーヌ。第一王女と第二王女は、本日来れなかったがいずれ会えるであろう」


レオナール様は、金色の長い髪のサイドテールを三つ編みにし、メガネをかけた細身の優しそうな文官タイプ。ラギール様は逆に金色の短髪でゴツい身体の騎士タイプ。ジャクリーヌ様は、金色のツインテールがとても似合う可愛らしいお姫様で、ご兄弟の中の末っ子だった。


「ご紹介ありがとうございます。改めまして、エグザリア王国から参りました、ランペイル辺境伯家が長女、ジョアン・ランペイルと申します。こちらが私の契約獣です。皆んな、挨拶を」

『ジョアンの契約獣、フェンリルのパールでございます』

『僕は、契約獣のカーバンクルのロッソだよ』

『俺も姐さんの契約獣、ホワイトデーモンオウルのメテオっす』

『ジョアン様の契約獣、緑の精霊、ベルデと申します』


すると案の定、ザザッとアニア国の方々が私に……いや、パールに片膝をついて頭を下げる。それを見ているパールは、げんなりした顔。


「我がアニア国の守り神であるフェンリル様。私めは、この国の王、ハウザー・スカラー・デ・アニアと申します。この度は、ジョアン嬢のお取り計らいでフェンリル様にお目通りが叶い、大変嬉しく存じます」

『はぁ〜。……私はジョアンの一契約獣。ジョアンに命を救われ、主と共にいる。貴殿の国、アニア国の守り神ではない』


パールは、溜息を吐きながら言う。アニア国の人に会う度に、毎回言ってるのでさすがに面倒になってきてるようだ。

そして今回もどうにかこうにか納得をしてもらい、皆んなに座ってもらった。


「ジョアン嬢には、この度のお目通りだけではなくエグザリア王国でのことを謝罪するために、ここへお呼びしたのだ。エグザリアでは、本当にラムディールが迷惑をかけた。本当に申し訳ない!」

王様が頭を下げるとそれに倣って皆んなが頭を下げる。


「頭をお上げ下さい。そもそものラムディール殿下を危険に晒したのは、我が国の貴族です。謝るのはこちらの方ですわ。申し訳ありません」


と、謝罪をする。


「いやいや、ジョアン嬢にはそれ以前に奴隷事件ではトニー達を助けて頂いた御恩もある。トニーは私の従甥でもある。本当にありがとう」

「お役に立てて嬉しく思っています」


お互いに謝りあって落ち着いた頃、再び入室して来た侍女さん達がお茶と共に出されたのは私が手土産として持って来た焼き菓子。今回は、マドレーヌとクッキー。マドレーヌにはミランジピールが入っているものを選んだ。クッキーは、塩バターと紅茶とジャムサンド。


皆んな特に女性陣からは好評を頂いた。男性陣も食べないわけではないが、せいぜい1つ摘む程度。


やっぱり、お菓子よりも酒や肉かな?

でも、さすがにこの場所で唐揚げとか出すのはどうよ?


と、考えていると、リジャル殿下が話しかけてきた。


「ジョアン嬢、折り入って頼みがあるのだが?」

「はい、なんでしょう?」

「私は【お子様ランチ】なるものが食べたい」

「へっ!?」


予想もしない言葉に変な声を出してしまい、皆んなの注目を浴びることに。


「えっと、あの、なぜに【お子様ランチ】ですか?」

「トニーが話していたんだ。エグザリアのランペイル家に滞在している間、色々な珍しいものを食べさせてもらって、どれも美味しかったけど、1番は【お子様ランチ】だと」


あー、確かに帰る時のランチにトニー君だけ【お子様ランチ】にしたっけ。アレか……。


「まあ、リジャ兄様、それは一体どんなものなの?」


と、ジャクリーヌ様が目をキラキラさせてリジャル殿下に聞いている。


「私もどんなものかは知らないんだよ。でもね、ジョアン嬢は知っていると思うんだよ。ね? “食の女神様”?」

「「「「「「「「“食の女神様”!?」」」」」」」」


どうして、その二つ名をリジャル殿下が知っているの?

誰だ?誰がリークした?


そう私が考えていたのが顔に出ていたのか、リジャル殿下がアッサリと犯人を白状した。


「ふふふっ。アルから聞いたんだよ。ジョアン嬢の作る料理は、とても美味しく各国でも評判が良いと。もちろんアニア国でも、BBQのタレや唐揚げは好評だよ」

「アルって、もしかして……」

「うん。そちらの国のアルバート殿下」

「っ!!」


あの、腹黒殿下め!!

何、余計なこと言っちゃってくれてんの!?


「えっ!?ジョアン嬢があの噂の ”食の女神様” ?」

「もしかして噂のドライフルーツの生みの親……」

「どんな物でも美味しく食べるという噂の?」

「幻の酒を生み出すという?」

「もしかして、この手土産で頂いた焼き菓子もか?」

「エルファの食糧難をソバーで救ったという?」

「ねぇねぇ〜【お子様ランチ】って何?」


私が “食の女神様” ということがわかり、興奮した皆んなが口々に話し出した。それに私は圧倒されて、何も言えず苦笑するしかない。


「で?食べさせてくれる?【お子様ランチ】?」

「……はい。かしこまりました」


リジャル殿下の笑顔の圧力に負けました。だって、その後ろに期待している顔の王族の皆様がこちら見てるし……。





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