429.信号機に絡まれた
更新忘れてました〜。
スミマセンm(_ _)m
ーー女王陛下に謁見した3日後。
「ジョアン嬢、本日は宜しく頼む!!」
相変わらず声のボリュームが馬鹿になっている、軍務大臣のグリーグ公爵。周りの人は、慣れているのか平然としている。
「あっ、こ、こちらこそ宜しくお願いします」
と、ぺこりと頭を下げる。
騎士団を見回すとドワーフの国だとはいえ、全員がドワーフ族ではなく他の種族の騎士もいた。もちろん少数だけど女性騎士もいた。その騎士団の人達が、グリーグ公爵の横にいる私を、怪訝そうに見ていた。
それもそのはず、今日の私の出立ちはいつもの忍び装束。騎士科で使用している演習着のパンツスタイルでも良かったんだけど、やっぱり動き易いのはこちら。どのぐらいの強さかわからないツヴェルク国の騎士団との演習を、真剣に挑みたいから。
「では、いつも通りウォーミングアップを。ジョアン嬢も、ついていける範囲で」
と、私の監禁未遂事件の時に報告してくれた騎士さん。焦茶色の短髪に、緑の瞳。ドワーフ族にしては背の高い方だが、グリーグ公爵まではゴツくない細マッチョ系。この騎士さん、実は第一騎士団の副団長でグリーグ公爵家の次男のレギンさん。もちろん縁故採用ではなく、公爵家令息だがちゃんと下っ端の雑用から始め、今の地位まで登り詰めた努力家らしい。
ウォーミングアップは、演習場のランニング、筋トレ、素振りと基本的な事だった。それらを騎士団と同じようにこなし、小休憩で水分を摂っていると、男性騎士達から声がかかる。
「おい!お前、中々やるな」
「人族にしてはね〜」
「……まだウォーミングアップだがな」
と、髪の毛が赤、黄色、青のドワーフ族の騎士達。
「はあ、ありがとうございます」
ウォーミングアップぐらいで褒められてもなぁ〜。
この、信号機トリオは何が言いたいの?
「お前……どうやってグリーグ大臣や副団長に取り入った?」
「人族の奴をグリーグ大臣があんたを名前呼びをし、副団長が気遣うなんておかしいだろ」
「……金か。それとも……寝たかだろ」
あー、グリーグ公爵達が人族の私を気遣うからか。
いや、でも私を批判することが間接的にグリーグ公爵を批判してるの気づかないのかな?
私が黙っていると、信号機トリオの中で1番大柄な赤髪がイライラしたのか
「おい、何とか言えよ!」
と、怒鳴る。周りの騎士団達もその声を聞いてこちらを見る。演習場の観覧席には、グリーグ大臣だけではなく女王陛下も座っているのに、観客席に背を向けている信号機トリオはそれに気づいていない。
「では、言わせて頂きますが……私が、身体で大臣や副団長を籠絡したと言いたいのですか?……それが、私だけではなく大臣や副団長に対しても貶める言葉だとは気付いてますか?」
「「「なっ!!」」」
「あなた方の上司である、グリーグ公爵や副団長はそのような事をするような人なのですか?と聞いています」
「そ、そんな事は言っていない!!」
「そうだ!あんたが言ってるんだろ!」
「……」
「いやいや、言ってましたよ。ほら……」
と、録画できる魔道具の髪留めを外し、再生ボタンを押すと先程信号機トリオが私に対して話した映像が流れる。
「「「……」」」
「ジョアン嬢、なぜ魔道具を使用していたのです?」
と、話しかけて来たのは副団長のレギンさん。
「あー、こちらでの演習が勉強になるものであれば、ウチの私兵団でも取り入れようかと思いまして。あっ、一応魔道具の許可は宰相様に頂いてますよ」
「そうでしたか。……で?君達は、ジョアン嬢に対して暴言を吐き、更には我がグリーグ公爵家に対しても貶めた……ということですね?」
レギンさんは、信号機トリオを横目で見、冷静に言うがそれが逆に怖い。
うわ〜レギンさんって、きっと怒らせたらヤバい人だ……。
くわばら、くわばら……。
「ジョアン嬢、何か良からぬ事を考えていませんか?」
と、レギンさんに言われ、首が取れるぐらいの勢いで横に振る。
「まあ、良いでしょう。……では、君達3人にはジョアン嬢との打ち合いをしてもらいましょう」
「「「「えっ!?」」」」
驚きの声を上げたのは、信号機トリオと私。
「しかし、3対1では不公平ですから、ジョアン嬢は契約獣との共闘を許可しましょう」
「ふ、副団長!その契約獣を一度見せて貰い、判断しても良いですか?」
「判断……どうですか?ジョアン嬢」
「あ、私はどちらでも」
「では、可愛らしいパール殿とメテオ殿ではどうでしょうかね?」
と、レギンさん。
一昨日、大臣`sとレギンさんに契約獣を見せていたから、敢えて『可愛らしいパール』っていうことは、仔犬サイズで見せろと?
うわ〜、レギンさんって間違いなく、まっくろくろすけだわ。
ーーパール、仔犬サイズで宜しく。
ーー了解よ。
ーーメテオは、いける?
ーー良いっすよ〜。
ーーベルデは、念の為女王陛下の元で結界を。
ーーかしこまりました。
ーーロッソは……お菓子ばかり食べすぎ!
ーーギクッ。な、何でわかったの?
ディメンションルームから出てきた、パール仔犬ver.とメテオを見た信号機トリオはニヤリと笑う。どうやら、パールがフェンリルだとはわからない様子。
周囲を見ると驚いた顔の人とニヤケ顔の人、そしてモフモフしたくて手が変に動いている人がいた。
驚きの顔は、フェンリルとわかった人。ニヤケ顔は、信号機トリオと同じように力を見誤っている人。そして、手が動いている人は……良い人だ!
「で、君達?契約獣の使用は許可するかな?」
と、信号機トリオに聞くレギンさん。
「「「はい!!」」」
「よーし、わかった。二言はないね?」
「もちろんです!犬とフクロウの契約獣なんて、ものの10分もあれば倒せます!」
と、赤。
「10分も必要ないかも〜」
と、黄色。
「……そこの女も入れて5分だな」
と、青。
今回の打ち合いのルールは、フリースタイルで構わないらしい。要するに、刃を潰している武器であれば何でも構わない。何だったら、治療の為の魔術師も呼んでいるから、死ななきゃ良いらしい。相手チーム全員をノックダウンさせたチームの勝ちという、何とも大雑把なルール。




