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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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408.王家の別荘

結局、どこでも料理しちゃってる……

ーーー翌日。


王城にお祖母様と共に向かう。今日は契約獣全員も一緒。お祖母様は、王太后様には契約獣のことも話しているようで全員に会いたいとのこと。王城に着き、王妃様と合流するとベルデが別荘近くに【転移】をする。ベルデの【転移】は、私と違い人数や場所の制限がなく使用できる。別荘の場所は、昨日お祖母様から地図を見せてもらい知ったと言う。羨ましいと思い、アシストちゃんに聞くと、もう少したてば私も人数制限がなくなるらしい。


別荘といっても、さすがは王家。エグザリア国の北部にある湖の小島に浮かぶようにして建つ古城だった。ドイツの「湖上の宝石」と呼ばれるシュヴェリーン城のような優雅なたたずまいで、私は口を開けて見上げ、お祖母様から注意されてしまった。

「いらっしゃい。久しぶりね、リンジー。アミー。」

応接室に通されると、ホワイトゴールドの髪に水色の瞳で、モスグリーンのドレスの貴婦人が読んでいた本を閉じお祖母様に話かけた。

「お義母様、ご機嫌いかがですか?」

と、王妃様。

「ええ、変わりないわ。」

「ご無沙汰しております、王太后様。」

「あら、嫌だわ。いつものように、話してちょうだい。」

「はぁー。……久しぶりね、レティ。今日は、私の孫を連れて来たわ。」

と、お祖母様は私の背に手を添えた。


「お初にお目に掛かります、王太后様。ランペイル家が長女、ジョアン・ランペイルと申します。」

と、カーテシーをする。

「ようやく会えたわ。私は、レティシア・エグザリアよ。あなたのお祖母様とは、学院時代からの友人なの。……あなたのことは、アミーやリンジーから話だけは聞いていたのよ。でも、2人ったら中々連れて来てくれないのだもの。酷いと思わない?あっ、ごめんなさいね。どうぞお座りになって。」

私達がソファーに座ると、侍女達が紅茶と共に私が先程執事に渡した紅茶のシフォンケーキが生クリームを添えて配られた。

「こちらは、ランペイル嬢よりお土産でございます。紅茶のシフォンケーキというものだそうです。」

「まあ、美味しそうね。……ん〜、美味しいわ。食べると鼻に抜ける紅茶の香りが良いわね。」

「お義母様、ジョアンちゃんの手作りですわ。」

「まあ、そうなの。聞いていた通りに料理が上手なのね。狡いわよ、リンジー。」

「ふふふ、良いでしょう?」


その後、パール達を全員紹介すると、王太后様は初めは驚いたけど、その後ベルデ以外を近くへ呼びモフモフを堪能していた。

「あっ、そうだわ。ジョアンちゃん、何かお昼ご飯を作ってもらう事は可能かしら?」

「ちょっと、レティ!?」

と、お祖母様は慌てるが

「わ、私で宜しければ……。」

断ることは出来ないと思いすぐに返事をすると、お祖母様は溜息をついてしまった。

「嬉しい!チリンチリン……ウォルター。ジョアンちゃんがお昼を作ってくれるから、厨房に案内してくれるかしら?」

「かしこまりました。お嬢様、どうぞご案内致します。」


執事のウォルターさんに案内され、厨房へ入ると休憩をしていた料理人達が一斉にこちらを見た。

「こちらのお嬢様が、お昼を作ってくれるという事ですので、協力するように。」

「「「「は、はぁ。」」」」

「急に申し訳ありません。ジョアンと申します。皇太后様からのお申し出でお昼を作りに参りました。」

と、頭を下げる。

「「「「「っ!!」」」」」

私が頭を下げることに、ウォルターさんや料理人達は驚く。

「お、お嬢様、何も頭を下げずとも宜しいのですよ。」

と、ウォルターさん。

「いえ、人にものを頼む時は、頭を下げるのは当たり前ですから。」

「それが、お嬢様の家の考えですか?」

「いえ、私の考えです。貴族といえども誰に対しても礼儀を欠かしてはいけないと思います。しかも厨房は、料理人の方にとっては神聖な場所だと私は思っております。そこを、部外者の私がお借りするのですから、頭を下げるのは当たり前です。

「な、なるほど。……フィン。」

「は、はい。」

「彼はここの料理長のフィンです。何かあれば、彼に聞いて下さい。」

「フィンさんですね。宜しくお願いします。」

「ヒィッ。……あ、頭を上げて下さい。な、何でもやりますから。」


ウォルターさんが厨房から出て行ったので、私はストレージから柑橘類のピール入りのパウンドケーキを出す。

「休憩中でしたよね?これ良ければ、どうぞ。」

「あ、すみません。……ん?これってダッシャー商会のミランジケーキだと思ったら、何か違う。」

「あっ、確かに……。ミランジだけではないな。」

「ああ、これは……リモンか?」

「それに、何かスパイスの香りもするな。」

料理人達が口々に、ケーキについて話すのを紅茶を飲みながら聞いて待つ。

「お嬢様、このケーキは一体……。」

「皆さんの言う通りですよ。このケーキにはミランジとリモンのピールの他にシナモンを香り付けに入れてあります。それからそれは、ダッシャーさんの所のではなく私が作ったものです。」

「「「「えーーっ!?」」」」


わぁー、久々の驚き、良いねー。

最近誰も驚いてくれないから。


「えっと、ダッシャーさんって……もしかしてレシピを教えてもらったんですか?」

「いえ、私が教えた方ですけど?」

「「「「はーーーっ!?」」」」


くぅ〜。やっぱり、人を驚かすのって楽しーー。


「も、も、もしかして、“食の女神”?」

と、フィンさん。

「あ、あの、ジョアン・ランペイル様!?」

「コメを美味しく食べると言う?」

「魔獣も全て食べると言う?」


あっ、それ止めて。魔獣全てってそんな悪食じゃないし。


「はい、そのジョアン・ランペイルです。でも、魔獣全ては食べませんよ。」

「いや〜、光栄です。“食の女神”と一緒に料理出来るなんて。で、何を作ります?」

「えーっと、王太后様はどんな食事を好まれますか?」

「そうですねぇ〜。さっぱりしたモノを好まれますね。肉よりは魚とかですかねぇ。」

「ん〜。さっぱり……蒸ししゃぶに、白身魚のマリネ、お稲荷さんにあんかけ蕎麦かな。」

「「「「???」」」」


それから、私はフィンさんを始めとする料理人達とランチタイムに間に合うように、急いで作った。さすがに間に合わないと思い、蕎麦と麺つゆ、お稲荷さん用の油揚げはストレージから出した。

全て作り終わった後、フィンさん達から感謝され握手を求められた。蕎麦以外は使用人達の分も作り、お稲荷さんは油揚げが足りなかったからちらし寿司にした。さらに油淋鶏も追加で作ったので全員に行き渡るだろう。





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