表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

397/562

393.リーダス監獄

《リーダス監獄》

東のリーダス辺境伯領にある、海上に浮かぶ孤島にある監獄。島を取り巻く海流の速さと海水温の低さから、泳いで逃げることが難しいことから、主に、スパイ行為ーー他国に自国の情報を流すなどーー、殺人などの終身刑の受刑者が独房に収容されている。全ての受刑者には、GPS機能と魔法封じの魔道具が身体に埋め込められるそうだ。そして、その監獄は、代々リーダス辺境伯一族が担っている。


リーダス監獄は、脱獄不可能な監獄、前世でいう所のアルカトラズ島のような所だったはず……。

飴ちゃん、そこでやって行けるのかな?

魔力暴走だって、したくてやったわけじゃないのに……。

この処罰が重いと思うのは、私だけ?


「あー、ちなみにキャンディ・ブランは受刑者には変わりないが、独房に入るわけでなくリーダス監獄島で下女のような職に就かせる。」

宰相様の話では、極刑の受刑者や再犯の可能性のある受刑者は独房らしいが、それ以外の受刑者でしかも刑の軽い者は、食事の調理や掃除などをする受刑者がいるそうだ。飴ちゃんは、それに該当するそうだ。

「つまり、終身刑でリーダス監獄からは出ることは出来ないが、それ以外は通常の暮らしが出来ると言うことですか?」

と、フレッド殿下。

「そういうことになります。」

と、宰相様。


良かった……。それなら、大丈夫かも……。

あとは、現実を受け入れてくれるだけ……。



*****



ーーー1週間後。


今、私は、王城の地下にある牢獄の入り口前にいる。ここの貴族牢に飴ちゃんはいる。貴族牢とは、罪を犯した貴族が一時的に入る牢屋。

5日後、飴ちゃんはリーダス監獄へ移送される。その前に、私と話したいと飴ちゃんが希望したと言うことで、授業が終わった後、王城へやって来た。

「本当に大丈夫か?無理しなくていいんだぞ?」

立会人として私に付き添ってくれる、アルバート殿下が心配そうに聞く。私達の後ろに控えているルーカス様やリュークさん、メルヴィンさんも心配そうな顔をしている。

「はい、大丈夫です。」


地下牢の牢番に案内され、飴ちゃんの入っている貴族牢に入る。貴族牢に入ると、8畳ぐらいの部屋の中に金属で出来た柵があった。柵の中は6畳ぐらいで普通の部屋のように、ベッドやソファー、机が配置されている。中にある扉は、トイレがあるそうだ。柵は太い金属の棒が格子になっていて、とても頑丈そう。その柵の入り口には鍵が付いていて、こちら側には出て来ることはできない。

飴ちゃんは、ソファーに座り読書をしていたが、私を見ると本を閉じて柵の近くまでやって来た。


「……本日は、あたしの為にすみません。」

先日の夜会とは違って、か細い声で話す飴ちゃん。

「いえ、何か私にご用事でしょうか?」

「あの……この前は……ごめんなさい。……それから……ありがとう。」

飴ちゃんが頭を下げる。

「頭を上げて下さい。……身体は、大丈夫?」

「はい。……ここがゲームの中じゃないことも、ちゃんと理解出来ました。」

「そう。それなら、良かった。」

「あの……どうして、あたしを助けてくれたの?あたし、あなたにもあなたの使用人にも酷いことしたのに……。」

私を見る飴ちゃんの目は不安そう。


「ん〜。どうしてかな?あっ、ザックはもう元気になって、学院通ってるから大丈夫よ。で、どうして……ん〜、私が後悔したくなかったからかな。」

「後悔?」

「ええ。ブラン嬢がゲーム内と混同して、その通りにしようと周りを振り回すのは許せなかったけど……。でも、ブラン嬢の魔力暴走で誰かを傷つけるのも、ブラン嬢が傷つくのも嫌だったの。だから、自己満足かも知れないけど後悔したくなかった。」

「そうなんだ……。」

「それに、出会い方が違えば友達になれたかも知れないなって思って。」

「え?あたしと?」

「ええ、そう。」

チラッとアルバート殿下を見ると、ため息を吐きながら頷く。


「……私もね、前世の記憶があるの。」

「えっ!?嘘?日本人なの?」

「そうよ。とは言っても、享年82才のおばあちゃんだけどね。だから、乙女ゲームはやってなかったわ。あっ、でもラノベは孫から勧められて何冊か読んだけどね。」

「82、孫……。超おばあちゃんじゃん。」

「そうよ。だから、敬いなさい!」

「いやよ、今は10代でしょ!」

「それでも、あなたより年上よ。だから、色々とあなたのこと心配なの。……これから、今までと違う生活が待っているのよ?」

「ええ、それもちゃんと聞いたわ。終身刑なんでしょ。下女の仕事をするって。あたし、元平民だから家事は手伝っていたから大丈夫。やる時はやるんだから!」

「ふふふ、そう。やる時はやる子なのね。」

「そうよ!」

と、言い切った飴ちゃんの笑みは、今まで見た中で1番年相応で可愛い笑顔だった。


「そうだ。餞別じゃないけど、何か食べたい物とかある?」

「何?急に。でも、食べたい物……。ハンバーガーかな。いつも塾帰りにファストフードで夕食取ってたんだ。」

「えっ?家で用意してくれないの?」

「塾の時間が遅いから、あたしの分はなくてお金くれてた。」

「は?何それ?親としてどうなの?出来ることなら、その前世のご両親に説教したいわ!!」

「きゃははは。ちょー説教してもらいたい!」

「ちなみに、何バーガー好き?」

「よく食べてたのはテリヤキかな。」

飴ちゃんの答えを聞いて、私はストレージからテリヤキバーガーを取り出す。

「お客様?ご一緒にポテトはいかがですか?」

と、ポテトも取り出す。

「えっ!?マジで?」

「マジ、マジ。」

牢番にお願いして、柵の小窓から中に入れてもらう。ちなみにドリンクは、ミランジジュース。


「わっ、パンも柔らか!こっちのパンって硬いのばかりだと思ってたのに……。いただきます。……うっま。同じ味だ……ううっ……美味しい、美味しいよ……。」

飴ちゃんは、口の周りにテリヤキソースを付け、泣きながら頬張っている。飴ちゃんが食べ終わる間、私達はお茶をする。ストレージから、テーブルと椅子を出し柵の手前に置いて、お茶を入れてアルバート殿下とルーカス様とお茶をする。

「美味しかった……って、何してんの?」

「え?お茶だけど。ちなみにリップルティー。」

「いや、そう言うことじゃなくて……普通、ここで茶する?」

「だって、待ってるだけじゃあね〜。」

「だからって、テーブルと椅子まであるし……。チートすぎるでしょ。ずるくない?」

「そうかな?で?美味しかった?」

「……まあね。ねぇ、他にも日本食あるの?」


それから、私と飴ちゃんは日本食についてや前世の家族の事を話し、いつの間にか「ジョアン」「飴ちゃん」と呼ぶ仲になるぐらい仲良くなった。

それを見ていたアルバート殿下からは、「相変わらず人たらし」と言われた。


解せぬ。





面白い、もっと読みたいと思ったら、『いいね』でも、ページの下にある【☆☆☆☆☆】でもタップして下さい。あわせて、ブックマーク&評価も宜しくお願いします!


お気に入り登録や感想、メッセージも頂けたら嬉しいです

☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★好評発売中★

html>
書籍情報はこちらから
★マグコミ様にてコミカライズ連載スタート★

html>
マグコミはこちらから
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ