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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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388.実際は……

「おい、見ろよ。ランペイル辺境伯とディーゼル侯爵家が談笑しているぞ。」

「え!?辺境伯は中立じゃなかったのか?」

「でも、ホルガー公爵家もいるぞ。」

「ってことは、辺境伯も宰相殿も第二王子を推しているって事か?」

「でも、ディーゼル侯爵令嬢がフレッド殿下の婚約者になったのは、ただの噂だったんじゃないのか?」

「確かに。でも、見ろよ。バースト伯爵やこの前爵位をもらったダッシャー商会までいるぞ。」

「一体、どんな話をしているんだ?」

と、遠巻きにジョアン達を見ていた貴族達が内緒話をしていると


「テッド・カッター公爵様、並びにルイーズ・カッター様、ルーカス・カッター様、ご入場。」


第一王子の婚約者、キャサリーヌ・カッター公爵令嬢の生家、カッター公爵家の入場に周囲の貴族が息を呑む。カッター公爵は、誰かを探すように周囲を見回し、一点に目を止めると公爵夫人を伴い歩き出す。もちろん後ろには、公爵令息がついて行く。カッター公爵家が向かったのは、今まさに噂をしていた辺境伯達の所。


カッター公爵家が近付くと、辺境伯達はそれぞれ挨拶をする。一触即発か?と周囲は気が気ではない。しかし、いくら耳を澄ましても、あちらの声は聞こえず、宮廷音楽隊の演奏だけが聞こえている。それは、もちろんジョアンが結界を張り、盗聴防止の魔道具を使っているから。


実際の会話は………。


「いや、この前ジョアン嬢がルーカスに持たせてくれた土産、あの蕎麦は美味かった。今度、ぜひ我が家の料理人に教えて頂きたい。」

「本当に、天ぷらという揚げ物は美味しかったわ。ついつい食べ過ぎてしまったのに、以前頂いたドライフルーツで無かったことにできるんだもの。」

と、カッター公爵と公爵夫人。

「まあ、何ですの?蕎麦?天ぷら?」

「私達も食べてみたいですわ〜。」

と、エマ様とオリビア様。


「蕎麦も美味かったが、私はこの前食べたシャーモンのお茶漬けが好きだ。」

「ええ、あれは飲んだ後には最高でしたな。それに、米は腹持ちも良く、軍の方で導入を検討している。その時は、宜しく頼む、バースト伯爵。」

「ほ、本当ですか?あ、ありがとうございます。……ジョアンちゃんに足を向けて寝れないですな。」

「やはり、ジョアンちゃんは ”食の女神” ですな。」

と、話しているのは宰相様、リバークス侯爵、ベルパパ、ダッシャーさん。


「“食の女神”!?」

「あれ?知らなかった?ジョアン嬢は、料理人や商会、農家と食に関係のある人達から、“食の女神” と呼ばれて崇められているんだよ?」

と、ルーカス様が教えてくれる。

「ええーーっ!?」


何?その称号。

まあ確かに、食いしん坊とか大食漢よりは、マシかな?


……なんて、仕事や後継者について一切話さず、ただ単に料理の話をしていただけなのを、周りにいる貴族達は知らない。



*****



陛下を始めとした王族とアルバート殿下の婚約者のキャシーちゃん、そしてアニア国の皆様が入場されると拍手と歓声で出迎える。


今回のラムディール殿下失踪事件で、伯爵家は外交問題に発展し掛けたこともあり一族郎党、終身労働の刑になった。そこで、得られた賃金は、全てアニア国に支払われる事となった。そして、ラムディール殿下は、自ら志願した留学にも関わらずエグザリアに迷惑をかけた事、従僕兼警護のイデアさんに薬を盛った事で、強制帰国。その後の処罰については、アニア国王子が決めるそうだ。イデアさん自身については訓告処分となったが、本人はもう一度己を鍛え直したいという事で、軍の下っ端からやり直すらしい。それについては、イデアさんのお父様も弟さんも、良く言ったと肩やら背中やらを叩いて励ましていたそうだ。


陛下のお言葉の後、陛下と王妃様、アルバート殿下とキャシーちゃん、リジャル殿下とシア様がペアとなりダンスを踊る。一曲踊り終わると、今度は皆それぞれパートナーを伴いダンスに興じる。

ダンスが苦手な私も、お母様と最低三曲は踊る事を約束してしまった手前、踊るしかない。まず、ヴィーと。そして、お父様と。あと1人、どうしようと考えていると、先程までリジャル殿下やお父様と話していたアルバート殿下が私の元へ来る。

「ジョアン、一曲どうだ?」

「はい、喜んで!これでミッションクリア。」

アルバート殿下のエスコートでダンスフロアに出る。


「で?何のミッションだ?」

「お母様から、三曲は踊るとミッションを受けました。」

「あー、そういうことか。相変わらず、ダンスが苦手なんだな。それでは、婚活などできんぞ。」

「あー、しないんで大丈夫です。」

「は?貴族令嬢で、そんなこと言うのはお前ぐらいだ。」

「でも、普通の貴族令嬢のように、人から与えられるだけの衣食住って面白くないじゃないですか。」

「面白くないって……。そういうものだろ。夫人は家を守るっていう役割がある。」

「でも、そう言うのって本当の家族じゃない気がするんです。守るだけなら家令で十分じゃないですか?我が家は、お父様が領の仕事を、お母様が私の作った商品の管理、販売をしています。私は前世でも共働き、夫婦共に仕事をしていました。互いに稼いだ賃金で生活をしてきたんです。だから、どちらかだけが仕事をして、何もしていない片方に施すような関係にはなりたくないんです。」

「でも、前世でも仕事をしない既婚女性はいたんだろ?」

「はい。でも、育児だったり家事だったり、こちらでの乳母や侍女の仕事をしていたので何もしていないのには当てはまらないですよ。」

「なるほどな。確かにジョアンの考え方もあるな。そういう何もしていない夫人が、家の権力を振り翳すのがいるからな。」


「あっ、そうだ。リジャル殿下が帰る前にパールに会いたいと言っていたんだが……。」

「わかりました。今日と明日とどちらが良いですか?」

「良いのか?」

「良いも何も既にお父様に話してあるのでしょう?」

「まあな。だが、辺境伯はジョアン次第と。」

「そうですか。でも、大丈夫ですよ。」

「感謝する。では、夜会が終わった後にでも。」

「かしこまりました。」

私が返答をしたところで、ちょうど曲が終わる。

「ミッションのご協力ありがとうございました。」

「クッククク。ああ、役に立ったのなら良かった。」





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