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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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368.他人事

ーーディメンションルーム内。


「……疲れましたわ。」

キャシーちゃんには、珍しくテーブルに突っ伏している。食堂でランチを取れなかったので、ベルと共にランチの準備をする。皆んな精神的に疲れて、あまり食欲がないという事なので、ベーコンとタマオンのトメットリゾットとショートパスタのコンソメスープ、ミモザサラダ。

「まずは、食べよう。お腹空いて、イライラするしね。」

「そうね。まあ、美味しそう。これもコメなの?」

と、初めて見るリゾットに皆んな興味深々。

「そう。トメットソースでコメを煮たの。リゾットって言うの。」

「「「「美味しい!」」」」

「良かった〜。やっぱり、美味しいものは正義だ!」

「うふふ、その意味がわからないけど、美味しいのは確かね。」

と、キャシーちゃん。

「美味しいと何か幸せな気分で、さっきのイライラもなくなる感じだね。」

と、ベル。


ランチを食べ終え、アイスリップルティーとクッキーを準備し終わると、飴ちゃんについて話し出す。

「そう言えば、飴ちゃんの言ってる『殿下』って……。」

と、キャシーちゃんに聞けば

「ええ、恐らく明日から学院に通われるアニア国のラムディール殿下ですわね。」

「だよね〜。まあ、『殿下』には間違いないんだけど……。」

「でも、ラムディール殿下は獣人特有の耳があるんでしょ?」

と、クロエ先輩。

「あー、ありますよ。でも、髪の毛がふわふわな髪型なのでよく見ないと気づかないかも。」

「そういう事なのね。昨日、挨拶した時は、髪を纏めていたから見えたわよ。」

と、エレーナ先輩。


「で、飴ちゃんはどっちの『殿下』狙いなの?」

「ん〜、でも、それはフレッド殿下じゃないのかな?フレッド殿下の婚約者だと思って、キャシーちゃんに絡んでくるんでしょ?」

と、ベル。

「確かに。じゃあ『殿下』間違いってこと?それって……かなり面倒くさいよね。」

「「「「間違いないわ。」」」」


ヒロインが攻略対象を間違えるって、どんだけお馬鹿なの?

天然キャラを演じてるの?



*****



翌日になり、ラムディール殿下が文官科の1-Aに転入した。他国の留学生が来る事に、学院中がザワザワとしていた。

ランチタイムになると、食堂はラムディール殿下と接点を作りたい生徒達が、押し寄せていた。その中には、あの飴ちゃんもいた。


「うわぁ〜囲まれてるね。」

と、ベル。

食堂へ来た私達は、奥のテーブルで囲まれているラムディール殿下を見て驚いた。ラムディール殿下と同学年だけなら予想もしていたが、他学年の生徒や一般科の生徒も中にはいたから。

「……なんか砂糖に群がる、アリンコーーこの世界では、蟻はアリンコという名前だったーーみたい。」

そう呟く私にキャシーちゃんは、私の制服の袖を引っ張って窘めるが

「でも……的確な例えね。あら?彼、こちらに気付いたみたいよ?」

キャシーちゃんの言葉に、ラムディール殿下の方を見ると明らかにこちらに対して手を振っている。それに気付いた飴ちゃんは、顰めっ面でパタパタパタと駆け寄ってくる。令嬢にはあるまじき行為だ。


「ちょっと〜、何で教えてくれなかったのよ!」

キャシーちゃんに掴みかかろうとしたところを、クロエ先輩が間に入る。その行動に対してイラッとしたようだが、そのままキャシーちゃんに話しかけてきた。

「……何がでしょう?」

「何がって、あたしが会っていたのはラムディール殿下だってこと!知ってたんでしょ?」

「いえ、貴女が『殿下』と仲良くなったと聞いただけで、わかるわけないでしょう?」

「でも……あっ、ランペイル辺境伯の娘さんは知っていたでしょ?」


おーっと、私に矛先が向いてきた〜。


「私ですか?」

「そうよ。外見聞いたんだから、わかったんでしょ!!あとで、仲良しの子が聞いたら、フレッド殿下は金色の短髪で水色の瞳だって聞いたんだから!!」


仲良しの子って、取り巻きの令息達だろうな〜。


「我が国の『殿下』ではないと思いましたが、お相手が内緒にしているとなると他国の殿下の事かと……。そのお相手がアニア国のラムディール殿下だと、今初めて知りましたが。」

「もぉ〜、なんなのよ!いつ補正がかかるのよ!あたしはヒロインなのに!!」

と、爪を噛み何やらブツブツと呟きだした。このまま飴ちゃんに関わるのは得策ではないと私達は判断して、そっとその場を離れテラス席へ向かう。飴ちゃんは、未だに気付いてない。


「何か、今までと雰囲気が違うわね、あの子。」

エレーナ先輩がランチのサンドウィッチを片手に話す。

「そうそう、今まであんな風に声を荒げる事なかったわよ。」

と、クロエ先輩。

「それだけ余裕がないのかな?」

私が言うと、皆んながキョトンとした顔になる。

「余裕がないとは、どういう事かしら?」

と、キャシーちゃん。

「あー、私の憶測だけど、思ったように事が進んでないことにイライラしてる感じがする。」

「思ったようにって、えーっと乙女ゲーム通りにってこと?」

と、ベル。


「確か、その乙女ゲームのフレッド殿下ルートでは、夜会で婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を言い渡すのよね?」

と、エレーナ先輩。

「夜会かぁ〜。だと、社交シーズンまで精力的に行動しそう。」


《社交シーズン》

12月ごろから社交が始まり、議会のある貴族たちが、家族や使用人を引き連れて、王都のタウンハウスへ移動する。それに伴って日中に行われるガーデンパーティーや夜会が開かれる。そして6月ごろに、社交シーズンが終わり、それぞれの領地に引き上げる。


「あれ?でも、デビュタント前だと夜会は参加出来ないんだっけ?」

「通常であればね。ただ、成人済みの方のパートナーとしてなら参加可能よ。」

と、キャシーちゃん。

「そうなると、お茶会や夜会でも警護しないとだね。」

と、ベル。

「でも、お茶会や夜会になるとドレス着用だから、近衛隊に任せた方が宜しいのでは?それに、エレーナ様はお相手がいるとして、ジョアンとベルはパートナーを探さないといけないのではないの?」

「あー、そこは大丈夫。私達、訓練したからドレスでも戦えるのよ。それと我が家は自由で、貴族としては珍しく政略結婚とは無縁なの。」

「羨ましいー。私の場合は……やっぱり、探さないといけないかなぁ。」

と、ガッカリと肩を落とすベル。

「皆んな、大変だね〜。」

1人平民のクロエ先輩が、いつの間にかマジックバッグからクッキーを出して食べながら、私達の話を聞いていた。いかにも他人事だという言葉に、私達は苦笑した。





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