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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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364.実戦訓練

ジョアンとエレーナ先輩の実力はいかに?

ーーー王城内、騎士団演習場。


私とエレーナ先輩は、場違いな文官科の制服を着て演習場にいた。何故制服なのか?学院で襲撃を受ける前提の実践訓練だから。ちなみに制服のスカートは、私デザインの膝丈ラップキュロットスカート。そんな2人はストレッチ運動をしながら、陛下達を待っている。私の足元にはパール、上空にはメテオがいる。


「本当にやるのか?」

心配そうにエレーナ先輩に聞いているのは、フレッド殿下。

「やるよ。キャサリーヌ様を護りたいから。」

と、エレーナ先輩。

「いや、しかしお前が危険な目に遭うのは……その……。」

「何?私の実力を疑っているわけ?」

「いや、違っ、そういうことじゃなくてだな……。」

「何なのよ。ハッキリしなさいよ!」

「……心配なんだ。お前が少しでも怪我するのが……。」

「……フレッド。」


アツいわ。アツい、アツい、ヒューヒューだよってか?

近くに私がいるの見えてる?


そこへ、陛下を始め王妃様、宰相様、アルバート殿下、リバークス侯爵、お父様、ディーゼル侯爵、そして説明を受けに来た攻略者と共に行動する人達が演習場へやって来た。どうやら、共に行動する人への説明が終わったようだ。陛下と宰相様、リバークス侯爵、アルバート殿下以外は、演習場の見学席に座った。陛下達の後ろから演習場に入って来たのは、近衛隊の男性騎士達が5人と女性騎士1人、騎士団の騎士が5人、そしてローブを羽織った男性が3人。近衛隊の男性騎士の中には、アラン兄様とリュークさん、ユージンさんもいた。


「2人とも、本当にやるのか?」

と、フレッド殿下と同じように心配そうな陛下。

「「はい。」」

「そうか……。では、リバークス侯爵。」

「はい。では、2人には今から騎士団との対人物の実戦訓練を行って貰う。開始と終了はこの笛で伝える。それからキャサリーヌ嬢の代わりとして、近衛隊の女性騎士を護って貰いたい。」

「宜しくお願いします。」

近衛隊の女性騎士が頭を下げる。

「「宜しくお願いします。」」

「襲撃者役は、ちゃんと訓練を受けた騎士団の人間だから遠慮はいらないよ。あーそうそう殺さなければ、どんな状況でも大丈夫だから。母上がちゃんと治すからさ。」

アルバート殿下の言葉に、ちょっとだけ背筋が寒くなった。対戦する騎士達もそれを聞いて、ちょっと顔色が悪いように見える。


「では、開始する。」ピーッ。


宰相様の開始の合図と同時に私はキャシーちゃん役の女性騎士に結界を張る。騎士団の5人は、私達を取り囲むように散らばる。エレーナ先輩は、マジックバッグのウエストバッグから剣を出して構える。パールは元の大きさに戻り威嚇し、メテオは先程より低めに飛んでいる。2匹には、殺さないように攻撃をするようにお願いしている。私は、ストレージからクナイを取り出して構えた。5人のうち2人の騎士が同時に動きだした。1人はエレーナ先輩に、1人は私の方へ来た。


私に斬りかかってきた騎士は、上段から模擬刀を振り下ろす。それは私の肩に当たる軌道を辿っていた。肩に模擬刀が当たる直前、鋭く踏み込んで騎士の懐に入り、騎士の脇に肩を入れて模擬刀を振り下ろす勢いを利用する。騎士はぐるりと1回転して、背中から地面に叩きつけられた。

「ぐへっ」

肺の中の空気が一気に吐き出され、騎士は息を吸うことができない。追い討ちで、鳩尾に突きをすると騎士は意識を失った。


よし!1人目。エレーナ先輩もあと少し。

パールは……うわっ、腕に噛みついてるけどアレ大丈夫なの?


ーー姐さん、後ろ!!


メテオからの念話で、背後からの中段蹴りをかわし一旦距離を取る。相手を確認すると、190cmのダガーよりも大きい騎士が丸腰で立っていた。相手は私を下から上へと見るとニヤリと嫌らしく笑う。


ゲッ、ヨダレ拭いたよ……キモッ。本当に騎士?

さっさと、終わらそう。

ーーメテオ、目潰し。

ーー了解っす。


私の指示で、メテオが一気に降下して巨漢騎士の頭に卵を落とす。ちなみにこの卵は普通の卵ではなく、きれいに中身を抜いた卵の殻の中に、山椒の粉末とチリペッパーを詰めたもの。それが頭で割れ、メテオが羽ばたくことで起きる風で目や鼻、口に香辛料が入る。

「ぐわぁーー。」

と、巨漢騎士が顔を押さえて痛みに苦しんでいる。更にメテオに羽ばたいてもらう事で巨漢騎士の近くで舞っていた香辛料を飛ばしてもらうと、巨漢騎士に近寄り股間にサッカーボールキックを決める。


「「「「「「「「「「ヒュッ。」」」」」」」」」」


訓練を見ている男性陣から息を呑む音がするが気にせず、痛みで腰を折った巨漢騎士に向かって軽く跳躍し後頭部に踵落としをする。そのまま巨漢騎士は顔から地面に倒れ込んだ。


その瞬間、私に向かって《火球》が飛んで来た。放ったのはローブを羽織った男性の1人。魔術師団の団員だったようだ。

《火球》が私に当たる瞬間に転移し、相手の真横に立つ。

「ひっ!」

ニコッと笑うと驚いている団員の顔面に裏拳を繰り出す。団員は鼻血を出しながら、そのまま後ろに倒れ確認すると失神していた。


パールを見ると【水】属性の魔術師団の団員の《氷槍》を避けながら、相手に《雷矢》を放った所だった。もちろん相手は感電し失神。

エレーナ先輩は【風】属性の魔術師団の団員の《風刃》の攻撃を受けていた。【土】属性のエレーナ先輩は《土壁》で攻撃を防いでいるが、攻撃のタイミングが掴めないようだった。


私は、【風】属性の魔術師団の団員の背後に転移すると、ポンポンと肩を叩く。団員はビクッとしつつも後ろを向いた。そこにシュッと香水の瓶に詰めた酢を吹きかけた。団員は、激しく咳き込み詠唱が出来ない。一般的な魔術師は詠唱が必要、だから大本(おおもと)を潰す事にした。咳き込んでいる団員の頸動脈に手刀を決めて意識を刈り取った。


周囲を見回すと、演習場には5人の騎士団と3人の魔術師団の男性が倒れていた。結界の中の女性騎士は、唖然とし口が開きっぱなしだった。






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