346.酔いすぎ注意
飲み過ぎはダメですよ〜。
「ブラッド、大丈夫かな?」
「大丈夫じゃね?まあ、いつもより飲んではいたな。そう言う、ジョアンは飲まねーの?」
リキが言うには、ブラッドはあまり強くないらしい。
「え?飲んでるよ?」
「は?それ、水じゃねーの?」
「違う違う。ドワーフ族の知り合いから貰ったお酒。飲んでみる?」
「あー、じゃあ。……ゴクッ……くぅぅぅわぁーー!」
「リ、リキ、大丈夫か?ほら、水飲め!」
慌ててカリムが水を渡す。
ゴクッゴクッゴクッ「何なんだよコレ?喉が焼けるかと思ったぞ。」
「『火酒』だからね。」
「『火酒』って、ドワーフの秘酒だろ?貰ったってすげぇな。」
エドが、言う。
ツヴェルクの『火酒』は、ウォッカに近い味わいで、アルコール度数が強いドワーフ族の秘酒らしい。貰った時にサーチしてみると、アルコール度数99度。スピリタスよりも高かった。そんなお酒を何故持っているか?それは、ガンダルさんに貰ったから。去年の冬に、私が『どぶろく』を前世以来に作り、それを飲んだガンダルさんが気に入り、お礼と称して『火酒』をくれた。
「ってか、それを平然と飲んでるジョアンがすげぇよ。」
そう言うリキは涙目だ。
「そうかなぁ?でも、やっぱり男の人にとっては、酒に弱い女の子の方が好ましい?」
「んー?何でそう思うんだ?」
エドが『火酒』をチビチビ飲みながら言う。
「前に、守ってあげたくなるような子を紹介してくれって、先輩に言われたから。」
「それは、人によるんじゃね?ジョアンとベルは違うけど、貴族のご令嬢って、大体は何でもやってもらうのが当たり前って思ってるだろ?俺は平民だから直接関わりはねーけど、アレを対応すんのは無理だな。」
と、ソウヤ。
「確かにな……それは、俺も思う。一般科の時、他のクラスの女子から、相手の家格が上だからか、さも当たり前のように「付き合ってあげますわ。」って言われた時には、は?ってなったし。」
と、エド。
「あっ、それ俺もあった。あと、俺の前を歩いていて、必ずハンカチを落とすヤツとか?」
と、カリム。
「あーあるある。あと、偶然を装って至る所に現れるヤツ。あれは怖かった……。」
「「「「うわぁ……。」」」」
カリムとエドの話に、ソウヤとリキ、私、ベルはドン引きだ。
「……ごめん。まさか私の質問から、そんなホラー話になると思わなくて。お詫びにカクテル作るから。」
そう言って、ストレージからシェイカーとミランジジュース、リップルジュース、氷を出す。
「カクテルって何?」
と、ベル。
「えーっと、お酒とジュースを混ぜたドリンク。もちろん、ノンアルコールでジュースとジュースを混ぜることも出来るよ。」
そう説明しながらも、シェイカーに氷と火酒、ミランジジュースを入れシェイクする。
シャカシャカ「はい。スクリュードライバー。」
「あっ、さっきと全然違う。飲みやすい。」
「うっま。」
「でも、美味しいー。」
シャカシャカ「次は、ビッグリップル。火酒とリップルジュースだよ。」
「あっ、うまっ。飲み過ぎそうだな。」
「俺は、甘すぎてダメだな。」
「じゃあ、辛口の方が好きなエドにはコレかな?……はい、火酒マティーニ。」
「あっ、コレ良い!コレは何と混ぜたんだ?」
「ドライベルモットだよ。」
「なあ、ジョアン。俺にも俺にも。」
「んー、リキは甘めが良いんだよね。……じゃあ、コレは?」
「ブゥーーーッ!まっず!!な、な、何だよコレ?」
一口飲んで吹き出したリキ。
「あっははは……クッククク、あははは。」
それを見て、何かツボって爆笑する私。
「あっ、コレなんか油浮いてるぞ?……あっ、焼肉のタレか?」
「あははは。ソウヤ、せいかーーい!あははは、ヤバ、腹筋痛い。クッククク、あははは。ウケる。」
「なあ?ベル、もしかして……ジョアン酔ってるか?」
「たぶん……。いつも、寮だとそんなに飲まないから。」
「アイツずっと火酒飲んでたんだろ?そりゃ、酔うよ。」
「笑い上戸なんだな。まあ、楽しそうで何より……。」
「いやいや、俺、被害者だから。」
上から、エド、ベル、ソウヤ、カリム、リキ。皆んなが話している間、私は笑いが止まらなかった。
その結果……
バシャ「きゃっ!?冷た!!」
「「「「「えっ!?」」」」」
気づいたら、私は頭から冷水を被っていた。
「えっ?なに?なんで?」
上を見ても、満天の星空が輝いてるし、濡れているのは私だけ。
『ジョアン、良い加減にしなさい!飲み過ぎだから。』
パールの水魔法だった。
「パール……。」
『飲んで楽しくなるのは良いわよ。でも、人に迷惑をかけるのは、どうかと思うわ。』
「ごめんなさい……。」
『謝る相手が違うでしょ?』
「……リキ、ごめん。」
「えっ、あっ、いや、大丈夫だから。うん。」
『ジョアン、ほどほどにね〜。』
ロッソが言いながら、火魔法と風魔法のミックスで温風を出して、私を乾かしてくれた。
「ありがとう、ロッソ。」
『姐さん、パール姉に感謝っすよ。パール姉がやらなきゃ、今頃、奥方の朝まで説教コースっすよ。』
メテオに言われて、お母様の方を見ると、笑顔でこちらを見ていた。もちろん目は笑っていない。その近くではお父様とフーゴは苦笑い、ライラは呆れ顔だった。
「っ!!ありがとう、パール。止めてくれて。」
「なあ、契約獣って契約主の世話もするの?」
『ジョアンだからよ。』
『うん。ジョアンだからね。』
『姐さんっすから。』
「皆んな、酷い。」
『『『酷くない!』』』
「「「「「「「あははは。」」」」」」」
「ところで、明日の予定聞いても良いか?」
「おっ、さすがカリム。そうそう、それ聞きたかったんだよ。」
カリムが明日の予定を聞いてきた。ソウヤ達もそれが気になっていたらしい。
「えーっと、明日は7刻30分に朝食。私兵団との鍛練は、その後かな。午後からは……冒険者ギルドでも行く?」
「「「「「「「行く!」」」」」」」
「じゃあ、そんな感じかな?」
「了解。ダガー達には……明日で良いか。」
「そうだな。」
こうして、ジェネラルの初めての夜はふけていった。
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