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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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345.思い立ったが吉日

契約獣達の衝撃から立ち直った、ソウヤ達はその後、スノーやブラウに乗っての空中散歩に再び固まっていた。でも、通常見ることのない上空からの景色に、感動もしていたようで、ホストとしては一安心。


夕食は、演習場で家族総出で歓迎会を兼ねたBBQ。

「遠慮せず、いっぱい食べてくれ。」

「「「「「「ありがとうございます。」」」」」」

今回のBBQは、肉、イカ、野菜、そしておにぎりだ。本当は、焼きそばも作りたかったけど、未だに中華麺は試行錯誤中で無理だった。


そう言えば、前世で見たコミックに、アゴの大きいオッサンが、日本蕎麦と麺つゆで焼きそばにしてたなぁ〜。

食べたことないけど……ん?これは、試してみるべきでは?


ジュージュージュー。

『思い立ったが吉日』『百聞は一見にしかず』そう思い、私は蕎麦で焼きそばを作り出した。

鉄板の周りに漂う、炒めた麺つゆの香ばしい匂い。

「よし、完成!……うおっ!!」

作り終えて顔を上げると、皿とフォークを持った家族と友人が笑顔で私を囲んでいた。

「……食べる?」

「「「「「「「「「「もちろん!」」」」」」」」」」

ハッキリと言われれば、呆れるしかない。


皆んなに配っては作りを、チーム料理人に手伝って貰いながら何度か繰り返して、私にもようやくまわってきた。

「んー、美味しい!うん、コレもありだわ。」

『うん、美味しいね。僕、これ気に入ったよ。』

と、ロッソ。

『私としては、ナポリタンの方が好きだわ。』

と、パール。メテオにいたっては

『俺は、断然肉っす!生肉も好きですけど、焼肉も好きっす!』

と、焼きそばの感想ではなかった。


「蕎麦って、こんな食べ方もあるんだな。これ、伯父上に教えても大丈夫か?」

「うん。でも、まずエルファ国でBBQ自体する?」

「エルフ族のイメージって、森で読書って感じだな。」

「あー、ダガーの言ってることわかる。学者とか頭が良い人が多そうだな。」

「そうそう、肉とかあまり食べなそう。」

ダガーとブラッド、リキのイメージもわからなくはない。私の考えるエルフ族も、森に住んでいて大人しくて、食べるのは木の実ってイメージ。

「いやいや、大人しいのは一部だから。元々、森に住んでいるから狩猟民族だし、魔獣から村や人を守るために幼い頃から弓は使えるように習うし。肉は、今でこそ輸入したりするが、基本魔獣だぞ。」

「「「「「「「へぇ〜。」」」」」」」


「じゃあ、エドが弓が得意なのも?」

「ああ、幼い頃から母上に指導された。」

「レルータ夫人に戦うイメージないんだけど……。」

「あー、見た目はな。でも、実際は……。」

「実際は?」

「……怒らせたらヤバい。」

「「「「「「「……。」」」」」」」

返答に困るような事を言わないで欲しい。あんなに深窓のお嬢様みたいな、可愛らしいレルータ夫人がヤバいなんて……。

「父上が外相としてエルファ国に行った際に、魔獣から襲われたところを冒険者をしていた母上が助けたのが、縁らしいからな。父上は、他国で魔術を使うことを躊躇っていたところに、颯爽と魔獣を倒したらしい。」


「やっぱり、戦える女性は格好良いよねー。」

「ねー。憧れるー。」

私とベルが、レルータ夫人を称賛していると、ブラッドが聞く。

「そういやジョアンとベルって、なんで騎士を目指すようになったんだ?」

「私は【無】属性だから、自衛出来る様になりたくて。それに、戦える家族が格好良いって子供の頃から思っていたの。」

「戦える家族……。確か、ご祖父上様とお父上様とジーン様が魔獣討伐団、ご祖母上様が近衛隊、お母上様とノエル様が魔術師団だったか?」

と、カリムが聞く。

「うん。叔母様も魔術師団だったし、従兄弟達も近衛隊と魔獣討伐団。それから、私兵団にも使用人にも魔獣討伐団出身だったり、冒険者だったり。尊敬する人達に囲まれてるから、私も必然的に強くなりたいって思って。」


「ああ、確かに。そこまで強い人達に囲まれて育てばな。」

「ベルは?」

「私は……幼い頃、身体が弱くてよく寝込んだりしていたの。だから、叔母様と従兄弟から身体を鍛えるようにって鍛練のやり方を教えて貰ったんだ。それで成長するにつれて、丈夫になったんだけどね……。お母様に付いてお茶会に出るようになると、他のご令嬢から、鍛練する事を馬鹿にされたんだ。それで、お茶会に行くことが苦痛で……。」


あー、確かに。初めて会った時に、そんな事言ってたな。


「そんな時にジョアンに会ったんだ。ジョアンは、私が鍛練する事を笑わないし、誰かに言われたら言わせておけって言ってくれて……。あの時の言葉にどれだけ救われたか……。初めて会った私と友達になりたいって言ってくれたジョアンに、ずっと感謝してるんだよ。」

「ベル……。もおー、泣かせる気?」

「その後も学院に入るまで、ずっと手紙をやり取りしたよね。内容は、どんな鍛練をしてるとかだったけど。」

「あはは、そうだったね。鍛練と家族の話がメインだったね。」


「なんて色気のねー内容なんだ。」

「ソウヤ、うるさいよ。」

「うぅ……。ジョアンーー、お前いい奴だなぁーー。」

「えっ!?ブラッド?泣いてんの?」

ベルの話を聞いていたブラッドが、何故かボロボロと涙を零していた。

「あー悪い。コイツ、酒飲むと涙脆くなるらしくて。ごめん、ちょっとコイツ連れて行くわ。」

ダガーがそう言うと、ブラッドに肩を貸して屋敷の方へ歩いて行った。途中で、反対側の肩をザックが支えていたのが見えたから大丈夫だろう。




誤字脱字の報告、ありがとうございます。

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