335.拍手喝采
料理ができるまでの間に、私は小さいオムレツとキャロジンのねじり梅のグラッセを作る。そして、ミニトメットとミランジを飾り切りをする。それらと小さめに作ったメンチカツと照り焼き味にしたルフバードのステーキ、トメットソースのスパゲッティをワンプレートにのせていく。
「ジョアン、それは?」
「お子様ランチですよ。トニー君用の。大人サイズだと、1つだけでも多いですけど、全てを小さめに作ったら色々と食べれるから。」
「確かにな。ステーキは、味付けも変えているのか?」
「はい。……味見します?」
そう言って、皆んなに一口サイズの照り焼きルフバードを渡して行く。
「「「「うっま!!」」」」「美味しいです。」
「「「「美味い!」」」」
皆んなにも照り焼き味は、大好評だった。
ちなみにアラン兄様とリュークさんは、警護中なので席にはつけないし、まして警護対象と同じ所では食べることは出来ない。なので、厨房でメンチカツサンドと照り焼きサンド、ロールパンのナポリタンドックを先に食べてた。それを、ジーッと恨めしそうに見ているアルバート殿下の視線を気にしながら……。
*****
「大変、お待たせ致しました。準備が出来ましたのでご移動願います。」
グレイの言葉で、応接室にいた全員が動き出す。全員が席についたところで、私が料理について説明する。もちろんアルバート殿下がお手伝いしたことには、お父様も含めて驚いていた。誰もが、散歩でもしていると思っていたから。
「……そして、トニー君の前にあるのが、お子様ランチです。」
「うわぁー、凄い。僕、こんなの初めて見たよ。僕だけ?」
「そうだよ。特別仕様だよ。」
「ありがとう!」
トニー君は、お子様ランチを見て、目をキラキラと満面の笑みでお礼を言う。
白虎の美少年スマイル、いただきましたーー!
かわゆす〜。
「では、お召し上がり下さい」
皆んなが料理に手を付けると、一堂に美味しいと言ってくれた。もちろんトニー君も。さすが、獣人だからなのかトニー君を除くアニア国組は、お代わりをし其々3人前ずつ綺麗に食べてくれた。
ゲータさんに、どのくらい食べるか聞いておいて良かった〜。
食後は、中庭のテラスでお茶をした。
なぜ、ギガトレントのいる中庭でなのか?それは、腹黒様が提案したからですよ。見てみたいと。
もちろん、ギガトレントを見た家族以外の驚きは半端なかった。一応、中庭に行く前に説明はしたんだけどね〜。
『ラッシャイマセー。コチラヘ ドーゾー。』
なんて、ギガトレントに話しかけられたら、誰だって驚くわ。
「なぜ、そのような言葉を?」
エデーン侯爵の質問に、家族以外が頷いている。
「ああ、我が家の末の子供達、双子なのですが、その子達が幼い頃から一緒に遊んでおりまして……。よくやっていた遊びが、飲食店の真似事でして……。」
「なるほど……。」
お父様の説明に、納得していた。
「ジョアン嬢は、このギガトレントとは契約しないのか?」
「それは……。」
アルバート殿下の質問に、なかなか答えられない。お父様とお母様の方を見ると、お父様は目を逸らしお母様は微笑んでいるだけ……。
「ギガトレントはどうなのだ?契約したいのか?」
『ワレハ ケイヤク シタイ。ナマエ ホシイ。』
と、自分は希望していると、ジッと私を見ながら言うギガトレント。
「ジョアン嬢、契約してやったらどうだ?」
「えーっと、もう少し考えます。」
『マエムキ 二 ゴケントウ クダサイ。』
「あ、はい……。」
そんな言葉、どこから覚えて来たのよ……。フーちゃんか?ライちゃんなのか?
ともかく、他国の人がいる前では出来ないわ。
余計な事を言うな、腹黒様。
「ところで、ジョアン嬢の契約獣はどちらに?」
「今、連れて参りますね。少々、お待ち下さい。」
そう言って、一度中庭を出て自室に戻る。
「皆んな、お待たせ。行こうか。」
『ジョアン、本当に大丈夫よね?』
パールが心配そうに聞いて来る。
「大丈夫、パールのことは私が守るから。」
『僕も守るよ。』
『俺もっす!』
『皆んな、ありがとう。』
戻ってくると、ギガトレントと外からやって来た小鳥達が歌を歌っていた。小鳥はさえずり伴奏係。
「アラン兄様、これって……。」
入り口で警護をしていたアラン兄様に小声で聞く。
「ジョアンが戻って来るまでの余興らしい。」
「でも何で、この曲を知っているんだろう?」
「ジョアンが歌っているのを聞いたと言ってたぞ。……前世の曲か?」
「うん。好きだったグループが歌っていた曲。」
♬ Oh〜
ラララ〜
新しい時代の向こう
ラララ〜
歩き出そう〜
前世で、私の推しグループが先輩、後輩グループと一緒に歌った曲。爽快感のあるメロディーに、 “明るい未来に向かって歩みを止めず、共に新しい時代を切り開いていこう” というエールを込めた、大好きな楽曲だった。
そして、私が死ぬ前にMVを見ていた曲……。
それを、ギガトレントがバラード調で歌っている。しかも、意外と上手い。そして、片言じゃなく流暢に歌っている。
「でも、よく覚えられたよね〜。」
『あら?いつも口ずさんでるわよ?』
『鼻歌でも歌ってるし。』
と、パールとロッソ。
「あれ?マジで?」
『姐さん、自覚なしっすか?』
メテオも聞いたことがあると言う。
パチパチ、パチパチ。
『オミミ ヨゴシ シツレイシマシタ。』
「いや、とても良かった。」
「ええ、小鳥達のハミングも綺麗でしたな。」
皆んな、ギガトレントに拍手喝采している。
おぉ、何とも入りにくいな……。
著作権侵害行為のために、歌詞は削除しました。
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