332.シルバーウルフ?
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『改めまして、ジョアンの契約獣、フェンリルのパールです。』
『僕は、同じくジョアンの契約獣、カーバンクルのロッソだよ。』
『俺は、姐さんの舎弟兼契約獣のホワイトデーモンオウルのメテオっす。宜しくっす。』
私からの紹介を諦めたパール達は、自分達で自己紹介をし始めた。
「あっ、ご、ご丁寧にありがとうございます。アニア国、ティガー公爵家の四男、トニー・ティガーです。こちらは、私の護衛のゲータ・オーダイル子爵令息です。」
「トニー様の護衛を務めております、オーダイル子爵五男、ゲータ・オーダイルでごさいます。」
2人は、騎士のような片膝をついてパール達に挨拶をする。
「トニー君、そこまで丁寧な挨拶じゃなくても……。」
「いえいえ、ジョアン嬢、我がアニア国ではその昔、まだ1つの集落でしかかなったアニアが、強く賢いフェンリル様によって他国からの脅威を制され、今のアニア国が建国したと語り継がれておりまして、今でもフェンリル様を崇めているのです。ですからーー」
アニア国の祖となる、フェンリルのパールを目の前にして、興奮しながら語るトニー君。その横では、涙目のゲータさん。
「へぇ〜。そうなんだ。……だってよ、パール?」
『何で、私に振るのよ。』
「あー、なんとなく?で、私もパールを崇めたらいい?」
『止めてよ。私は、ジョアンに助けてもらって今があるんだから、アニア国がどうとか関係ないわ。』
そう言うパールの言葉に
「なんと……。パール殿はジョアン嬢に助けられた恩で、契約獣になられたのですね。では、ジョアン嬢はアニア国の恩人ですね?」
「いやいやトニー君、違うから。頭上げてーー!ゲータさんまで、止めよう。ちょっ、パール、どうにかして!」
『止めろと言われているのに、やるのはどうかと思うわ。』
パールが呟くように言うと、トニー君とゲータさんはガバッと頭を上げる。
『あははは、人族では僕を探して自分の物にしようとするけどアニア国ではパールが対象だね〜。』
『確かにそうっすねー。』
「「「『……。』」」」
今まで、こちらの話を聞きながら無言で肉を食べていたロッソとメテオの言葉に私達は黙ってしまった。そして誰もが、あり得ると思ってしまう。
「ト、トニー君!ゲータさん!パールは、シルバーウルフってことで!!」
『そ、そうよ。私は、シルバーウルフのパール。いいわね?』
「「はい!!かしこまりました。」」
一応、この場はなんとか落ち着いたけど、アニア国の使者にはパールの存在を知られないようにしないと……。
*****
トニー君とゲータさんが我が家に滞在して5日、ようやくアニア国とエルファ国の使者達が来訪した。その翌日、当初の予定通り使者の立会の下、罪人の処刑が行われた。
全ての後処理が終わったと王城から連絡をもらい、トニー君とゲータさんを連れて転移扉を使い、王都の屋敷から王城へ向かっていた。
「トニー君、ご家族が迎えに来てくれて良かったね。お兄さんだっけ?」
「はい。1番上の兄上です。それと、我が家の騎士団長が。」
「あっ、ゲータさんのお迎えが騎士団長なんだね。」
「そうです。ゲータは、孤児だったようで、騎士団長が養父なんです。」
「そうなんだね。じゃあ、2人共家族のお迎えで安心だね。」
「はい!」
王城に着くと、謁見の間に通されると思いきや、案内されたのは応接室のような所だった。といっても、もちろん一般的な貴族の屋敷の応接室よりも広く、煌びやかな部屋だった。
他国からの来賓客と歓談するための部屋だと、お父様が教えてくれた。
部屋に入ると、既にレルータ伯爵夫妻、エド、サエルミラ嬢、ラビィちゃんが到着していた。部屋に入ってきた私達を見て、レルータ伯爵が声をかけてきた。
「ランペイル辺境伯、この度は色々とご尽力頂きありがとうございました。改めてお礼申し上げます。まさか、姪が巻き込まれていたとは……。本当にありがとうございました。」
「レルータ伯爵、頭を上げてくれ。今回のことは、陛下が迅速な指示をしてくれたからだ。私は臣下として動いたまでだよ。」
「それでもですよ。妻やエドラヒルから聞いた話では、ジェネラルでの看護も適切だったとか。」
「ああ。あれは、ジョアンの【サーチS】のお陰ですよ。」
「ええ、エドラヒルから聞きました。スキルもそうですが、料理も美味しいと。お礼と言ってはなんですが、我が領の特産品をお送りしたいのですが……。」
お父様達が話している横で、私はエドと話していた。
「サエルミラ嬢とラビィちゃんは、どう?落ち着いた?」
「ああ、徐々に食欲も戻ってきたしな。ジョアンから教えてもらった、病院食も美味しいって言ってたぞ。」
「あっ、お粥ね。食欲のない朝でも食べやすいから良いよ。消化も良いしね〜。」
「確かにな。……そうそう、父上が言ってるように、ウチの領の特産品送るから。」
「レルータ領の特産品って?」
「小麦だ。」
「嬉しい。じゃあ、また寮で作ったらお裾分けするね。」
「ああ、それは楽しみだ。」
「ジョアン嬢に、喜んで貰えそうで良かった。」
「レルータ伯爵様。ありがとうございます。」
「いやいや、お礼を言うのはこちらですよ。姪を助けて頂きありがとう。小麦で申し訳ないんだが……。」
「いえいえ、小麦があればパンやお菓子だけじゃなく、うどんなども出来ますし。頑張ればパスタも。ソバ粉があれば蕎麦も出来るんですけど……。」
「うどん?パスタ?蕎麦?」
「あ、えーっと、麺料理なんです。東の国の料理です。」
麺料理のことをレルータ伯爵に話していると、レルータ伯爵夫人がやって来た。
「ジョアン様、ソバとは白い花ですか?実を挽くと黒い小麦の。」
「はい、ご存知ですか?」
「はい。私の実家でよく食べておりました。もし、宜しければ取り寄せ致しますわ。」
「本当ですか!?ぜひ!!出来たら挽く前の物を頂けますか?」
「挽く前ので宜しいのですか?」
「はい!出来たらジェネラルで育てたくて。」
「えっ?エグザリア王国で育ちますか?」
「はい、私の知っているソバは、生命力が強くて痩せた土地でも育つという特徴なので、同じ物なら大丈夫だと思います。」
あれ?お父様とレルータ伯爵が何か考え始めちゃったけど、どうした?
えっ?何か私、おかしな事言った?
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