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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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328.被害者たち

誤字脱字の報告、ありがとうございます。

ブクマやポイントでの応援、とても励みになっております。

お父様の話では、獣人の国アニア国、エルフ族の国エルファ国には、王城から既に連絡をしたらしくあちらからの使節団を待っている状態。ただ、被害者達が自国でどのような素性の人物なのか、知る為に私に【サーチ】をして欲しいと言う。一度、筆談を持ちかけているらしいが、文字が書けないのか何も書かないという。


私はお父様、グレイと共に、診療所に向かった。

2階の一室に行くと、そこは2人部屋の病室で虎人族の男の子とリザードマンの男性がいた。2人は、部屋に入って来た私達を見ると警戒心を露わにする。

「具合はいかがかな?声はまだ出ないだろうか?」

お父様が聞くことに、2人は頷くだけ。

「そうですか……。今日は、私の娘を連れて来ました。この子はスキルで【サーチS】を持っていまして、あらゆる物、人の状態をサーチすることが出来ます。宜しければ貴殿達のことをサーチさせて頂けないだろうか?貴殿達の国に詳細を連絡する為にも。」

そう説明すると、リザードマンの男性が虎人族の男の子の方を見る。まるでその男の子に決定権があるように。


虎人族の男の子は、少し考えた後に頷いた。それを見て、私は一歩前に出る。

「初めまして、ランペイル家が長女、ジョアン・ランペイルと申します。今回は、私がサーチを致します。では、早速宜しいでしょうか?ちなみに私の【サーチ】は表示も出来ますが表示しますか?」

その質問に、2人は驚いたようだが、男の子が頷く事で表示することにする。


最初にサーチするのは、男の子の方。

「では、失礼致します。【サーチ オープン】」



----------------------------------------------------------------------


[トニー・ティガー]

アニア国出身。虎人族。ティガー公爵、四男。8才。


状態:栄養失調。毒薬による失声症。


補足:アニア国から奴隷として連れて来られた。

   奴隷商に毒薬を飲まされて失声症に。

   【アクア】の水で回復するまで、あと1日。


----------------------------------------------------------------------



「「「「「っ!!」」」」」

男の子改めトニー君とリザードマンの男性は、サーチ内容が本当に表示出来ることと、失声症の回復までの期日がわかることに驚いていた。そして、お父様とグレイはトニー君の素性が、公爵家令息という事に驚いていた。私はというと……


虎でトニー君……。

おー、コーンフレークやないかい。その名前は、もう完全にコーンフレークやがな。

しかも、姓がティガー……。

ご家族に、ハチミツ大好きな黄色いクマさんいるかな?


なんて、どうでもいい事を考えていた。


「……ここに表示されているのは事実で間違いないでしょうか?トニー公爵令息殿。」

お父様の問いかけに、うんと頷くトニー君。

「では、続けて貴殿も宜しいか?」

今度は、リザードマンの男性が頷く。

「では、失礼致します。【サーチ オープン】」



----------------------------------------------------------------------


[ゲータ・オーダイル]

アニア国出身。リザードマン。オーダイル子爵、五男。

ティガー公爵家騎士団。23才。


状態:栄養失調。毒薬による失声症。


補足:アニア国から奴隷として連れて来られた。

   奴隷商に毒薬を飲まされて失声症に。

   【アクア】の水で回復するまで、あと1日。


----------------------------------------------------------------------



あっ、トニー君の護衛だったのか……。だから、さっきから窺うような素振りだったんだ。

にしても、オーダイル……。ポ◯モン?進化したのかな?


「ありがとうございました。明日には、声が出るようですので、また明日以降に話を聞かせて頂けますか?」

とお父様。それに対して、2人は頷く。

私達は、2人の部屋から退出する。


「「「ふぅ〜。」」」

誰からともなく溜息をつく。

「まさか、公爵家とはな……。」

「ええ。でも、事実ですよ。お父様。」

「……お2人共、レルータ伯爵夫人がご到着のようですよ。」

窓から外を見ていたグレイが言う。お父様と窓に近づいて見ると、我が家の家紋の入った馬車が敷地内に入って来たところだった。王都の屋敷経由でお越し頂いたようだ。


レルータ伯爵夫人は、私の同級生でハーフエルフのエドのお母さん。エルファ国出身と言うこともあり、意識不明のエルフの女性に心当たりがないか、確認の為にお呼びした。

私達は一階に下りて、出迎える。馬車から下りて来たのはレルータ夫人だけではなく、エドも一緒だった。


「レルータ伯爵夫人、ようこそジェネラルへ。お忙しいところお呼びだてしてしまい申し訳ない。」

「ご無沙汰しております、レルータ伯爵夫人。」

私とお父様は、挨拶をする。

「とんでもないことでございます。私に出来ることならば、喜んでお手伝い致します。」

「では、早速病室へご案内いたします。」

そう言って、お父様が先頭に立って病室へ向かう。


病室は兎人族の女の子と同室で、そこに我が家からの侍女の1人が看護兼護衛として、配属していた。私達を確認すると、立ち上がり黙礼をして、病室の壁側に立つ。

「こちらの者は、我が屋敷の侍女です。いつ目が覚めてもいいように、交代で側についております。」

お父様の説明に、レルータ伯爵夫人とエドは頷く。そして、意識不明の女性を見ると、目を見開いて驚いている。

「レルータ伯爵夫人?エド?」

「あっ、ランペイル辺境伯様、ジョアンすまない。こちらの女性は、私の従姉妹だ。」

「「えっ!?」」


「私の従姉妹、サエルミラ・エデーン。エデーン侯爵家の四女だよ。サエルミラ……ミラはアニア国に交換留学生として、滞在していたんだ。だが、2ヶ月前から連絡が取れないと聞いていたんだ。まさか……エグザリアにいるだなんて……。」

そう言うと、エドはサエルミラ様の手を握って祈っているレルータ伯爵夫人を辛そうに見る。

「レルータ伯爵夫人、エドラヒル殿。こんな時に申し訳ないが、ジョアンにサーチをさせて貰えないだろうか?ジョアンのスキル【サーチS】は、あらゆる物、人の状態をサーチすることが出来る。今のサエルミラ嬢の状態もわかるはずだ。」

レルータ伯爵夫人とエドは、私とお父様を交互に見る。2人に対して、私は頷く。



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