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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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319.特許と商業ギルド

《特許》

申請した特許が認可されるとそれに対しての使用料が発生。一度使用料を払えば、支払い者はその特許技術を永続的に使用可能。手数料としてギルドにその2割を引かれる。

もし使用料を払わずに特許技術を勝手に使うと、投獄や奴隷落ちなどの厳しい処罰が待っているため、大抵の人はきちんと払う。もちろん払うのは営利目的で使う人だけ。個人で使う分には支払う必要なし。


という説明を、お父様から受けた。

前世の特許と同じ内容。でも、料理や服飾とかは、前世の記憶だし、私が考えたものじゃないから、使用料を貰うのはちょっと躊躇いがある。


「あの……ちなみに、特許申請したのって何を?」


お父様の答えを聞いて、目を丸くした。

だって、料理はドライフルーツや干し芋からカクテルから、今まで我が家で作った料理や、何故知っているのか、騎士寮で作ったものまで申請されていた。その他は、下着関係や服飾、産後の乳牛にエールを飲ませることまで……。

ちなみに使用料は、料理関係が30,000G、服飾関係が100,000G、乳牛については10,000Gだった。


「あっははは、ジョアン嬢は特許の使用料だけで暮らせていけそうだな。」

カリムパパが笑いながら、恐ろしい事を言う。

「いえいえ、努力もしないで、そんな形で手入れたものに何の価値があるんです?人間、額に汗して働いてようやく手にしたものの方が価値があると思いますけど。」

「「「「「「……。」」」」」」

何故か、お父様もカリムファミリーも、スミス家の家令さんも、口を開けて固まっている。


皆さん、そんな口開けたままだと、虫入りますよ〜。

何か、私、おかしいこと言ったかな?


首を傾げる私を見て、いち早く復活したカリムが

「クッククク、やっぱりジョアンだな。普通の貴族令嬢とは違う。さすがだよ。」

「は?何が?私も普通だよ?」

「いやいや、普通の貴族令嬢だったら、汗水垂らして働くの嫌がるから。まあ、俺はそのままのジョアンで良いと思うけど。たぶんクラスの皆んなもそう思うよ。」

「よくわからないけど……ありがとう?」



*****



「お父様、使用料のお金ってどうなっているのですか?」

私は屋敷に帰って来て、早々にお父様に質問する。

「何です?ジョアン。帰ってきてすぐに、そんな話。何があったのかしら?」

お母様に聞かれ、スミス邸での話をする。


「なるほどね。それでしたら、商業ギルドに預けてあるわ。」

「商業ギルドですか?」

「ええ。そう言えば、ジョアンは行ったことないんじゃないかしら?ちょうど良いから、今から行ってきなさいな。」

「はい……。」

お母様にそう言われては、逆らえるはずもなく、私はパールとメテオと共に商業ギルドに向かった。


『いや〜やっぱり、奥方様には逆らえないっすね。俺なんて、この前やらかした時に怒られたんすけど、ダイヤウルフに睨まれた時ぐらいにビビったっすよ。』

と、パールに騎乗した私に、並走して飛んでいるメテオが言う。

「ってか、メテオ、何やったの?お母様に怒られるって。」

『あー、いや、その畑にいたネズ公を捕まえて、屋根の上で食べようとしたら、落としちまって……それが、ちょうど奥方様の上で。』

『は!?なんて自殺行為を……。そのネズ公どうなったの?っというか、ネズ公って何?』

パールは、器用に走りながらブルッと身体を震わせた。

『あー、ジャイアントラットっすよ。で、ネズ公は、奥方様の風魔法で、切り刻まれたっす……。』

「『あー……。』」

私とパールは、納得してしまった。


やっぱり、逆らっちゃいけない No.1 は、お母様ね……。


ジェネラルの商業ギルドは、噴水広場に面してある。

冒険者ギルドやテイマーギルドとは違って、スウィングドアではなく、観音開きの扉で開店している時は、全開になっている。中に足を踏み入れると入口すぐに受付があり、その奥には壁に沿って横長のカウンターが続いていた。その前には、ベンチが置かれ何人かの人が順番待ちをしている。まるで、前世の銀行みたい。


「いらっしゃいませ。本日はどんな御用でしょうか?」

ボーッと眺めていたら受付のお姉さんに声をかけられた。妖艶なお姉さんは、見事なプロポーションだった。羨ましいぐらいの、ボンキュッボン。


やっぱり受付は店の顔だからね。美男美女を揃えるのはどこでも一緒だなぁ〜。

ってか、何を食べたらそんな立派なお胸になるか聞きたい。


「あ、えっと、初めて来たんですけど……。でも、既に登録はされているらしくて……。」

「では、確認致しますね。お名前は?」

「あっ、ジョアン・ランペイルです。」

「ジョアン……ランペイル?あの?領主様の娘さんの?」

「あー、はい、そうですね。」

「しょ、しょ、少々お待ち下さーーーーい!」

そう言って、綺麗なお姉さんは、受付を飛び出して、2階への階段を3段飛ばしで駆け上がって行った。


「凄い……。あんな高いヒール履いてたのに。」

周りの人も、カウンターにいたスタッフも、お姉さんのダッシュに驚き、2階と私を交互に見ていた。


居た堪れない……。どうしよ?帰ろっかな?


そう考えて、パールと肩にいるメテオに提案しようとした時、2階からバタバタバタバタと、下りてくる足音がした。

「ハァハァ……お、お、お待たせ致しました。」

お姉さんと一緒に下りてきたのは、これまたイケメンなお兄さん。背中まで伸びる金髪を緩く三つ編みにし、緑の瞳に銀縁の眼鏡をかけている。服装はニッキーさんのような中性的な感じで、耳は尖っている……。

「初めまして、ジョアン様。マイローと申します。ギルマスをしております。」


おぉ、ウチの領の商業ギルドのギルマスは、イケメンエルフでした。






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