27.カクテルが飲めない
セラーは、パントリーの奥にある扉の中だった。
ここもまた、綺麗に整頓され所狭しと色々な酒が並んでいた。しかも、スゴい量で。
「こ、こんなにあるの?」
「おう、旦那も使用人も酒呑みが多いからな」
(【サーチ】)
「ジン、ラム、ウォッカ、テキーラ、ウイスキー、ワイン……スゴい、色々と揃ってる」
「お嬢、すげーな。子供のくせに、酒がわかんのか」
「あっ、まぁ」
まさか、呑んでいたなんて言えない。しかも、スキルのこともエイブさんに話して良いのかわからないもの、今は誤魔化すしかないわ。
「で、そのカクテルってヤツは出来んのか?」
「これだけ、あったら色々出来るよ。ちなみに、お父様はどんなお酒好きか知ってる?」
「旦那はなんでも呑むが、甘口より辛口の方が好きだな」
「じゃあ、エイブさんは?」
「俺は、アルコール度数が強いのだな。あははっ」
間違いなく、酒に強いな。
「じゃあ、今日はジンをベースに作ろうかな」
「よし、じゃあ戻るぞ」
厨房に戻ってきた私は、ようやく下ろしてもらってカクテルを作る。
カクテルを作ろうとして気付いた……シェイカーがない!混ぜる為にも、冷やすためにも、酒のカドをとって飲みやすくするにも必要なのに。何か代用出来ないかキョロキョロと探す。
あっ、これならイケるかも。
「これ、使ってもいい?」
「えっ?ピクルスの入っていた瓶だけど、何に使うんだ?」
牛乳瓶よりも2回り程大きく、厚めのガラスで出来ていて、蓋もガラス。クンクン……。匂いもない。
よし!イケる。
「カクテルをシェイク、振るのに使うの」
「お、おう。なんだか知らないがいいぞ。あっ、念のためクリーンしとくか?」
「ん?クリーン?」
「あぁ、洗浄っていえば良いか?おい、アーサー、クリーン頼む」
「わかりました。【クリーン】。はい、どうぞ、お嬢様」
「わぁ〜スゴい。アーサーさんのスキル?」
「そうですよ。魚を使う時も、一度クリーンをして虫をなくすんですよ」
「わぁ〜便利。これなら安心ね。ありがとう、アーサーさん」
「どういたしまして、いつでも言って下さいね」
シェイカーの代用品も見つかったし作ろう!
「じゃあ、今日はジンベースのカクテルを作ります。えーっと、ジンとレイム(ライム)ジュースを3:1、氷を入れて、振る……お、重い」
「お嬢、貸せ。これを振るんだな」
「はい、上下に振って下さい」
さすがに瓶のシェイカーは重かった。
「どのくらいだ?」
「瓶の表面が冷たくなったら終わりでいいです」
「出来たぞ。完成か?」
「はい。《ギムレット》の完成です」
「味見していいか?」
「はい。アーサーさんも。師匠は、飲める?」
「飲めるっすよ。18っすから」
この世界では、16才から成人だった。
あと、11年は作るだけで飲めないのか……。
昨日のラムレーズンもどきで我慢するかねぇ。
成人設定を18才→16才に変更しました。




