196.やっちゃった……
また、ジョアンがやらかしました。
あたたかく見守って下さいm(._.)m
小さきものがパン粥を食べているのを見て、先程抑えたもふもふ欲が出てきた……。そーっと小さきものの背中を触るとビクッとし食べるのを止めるが、そのまま撫でているとまた食べ始める。
よっしゃ、受け入れてもらえたー。
はあ〜、もふもふだ〜。パールとは、また違うもふもふだ〜。
あっ、ここ、ちょっと固まってる。お風呂に入れてブラッシングしたい〜。お持ち帰りはダメですか〜?
そしたら、寝る時にパールとこの子に挟まれて……へっへへ。
『ジョアン、よだれ出てる……。』
「あっ、ごめん……。お腹いっぱいなった?他にもフルーツとか食べるかな?」
ーーモグモグ……コレだけ大丈夫。
「わっ……アニマルトーク発動しちゃった。ってか、魔獣にも対応してたんだ。まあ、なかなか魔獣と話す機会はないよな。」
『まあ、基本暴れてるし、戦うもんね。』
「うん。討伐してからは使えないからねぇ〜。」
『うん。死んでるからね。』
そんな話をパールとしてると、パン粥を食べ終えた小さきものがまたビクッとする。
「ん?どうした?」
ーーぼ、僕のことも捕まえる?
そう言って顔を上げて、初めてジョアン達に顔を見せた小さきもの。
「『えーーっ!?』」
顔を見せた小さきものの、額には赤い石が付いていた。
「も、もしかして……君は、カーバンクル?」
ーーうん、そーだよ。
「おうふ……。」
また、珍獣と出会ってしまった……。
《カーバンクル》
額に真紅の宝石を持っており、その宝石を手に入れた者は富と名声を得るといわれる。
ーーで、お姉さんは僕を捕まえるの?
「えっ?ううん、捕まえないよ。」
ーーどうして?
「どうしてって……誰だって無理矢理連れて行かれたりするのは、嫌でしょ?」
ーーうん。でも、人間は僕を捕まえようとするから。
『あなたみたいに、珍しいならそうかも知れないわね〜。』
ーーうん。……ん?えっ、フェンリル?なんでお姉さんと一緒いるの?
『だって、私はジョアンの契約獣だもの。いつも一緒よ。』
ーーどうして?契約獣なの?
『私が小さい時に、ジョアンに助けてもらったからよ。それから、ずっとジョアンは私に優しくしてくれるわ。』
ーー……ぼ、僕もなれる?
『何に?』
ーー契約獣。
「『は?』」
いやいやいや、これ以上契約獣増えたらまた皆んなに何を言われるか……。
「えっと……君は、人間と一緒にいるの嫌なんだよね?」
ーー……無理矢理はヤダ。でも、お姉さんとなら一緒にいても良いと思う。優しいから。
「で、でも、私と一緒だと他の人間とも接することになるよ?」
ーーお姉さんの側なら大丈夫な気がする。
「いや、でもーー」
ーー僕のこと嫌い?
クリクリとしてキラキラな薄紫のつぶらな瞳に見つめられて、首を傾げながらそんなこと聞かれたら……
「はいっ、喜んでー!」
『はあ〜。ジョアン……。』
つい威勢の良い返事をしてしまい、パールに呆れられる。
ーーじゃあ、僕に名前を付けて?
「えっと、君は男の子だよね?えっと……額の赤い魔石だから……ガーネット、ルージュ、ロッソーー」
ーーそれが良い。
「ん?ロッソ?」
ーーうん。それ。
「……最後にもう一度聞くけど、本当に私でいいの?」
ーーうん。お姉さんが良い。
「そっか。じゃあ、宜しくねロッソ。」
ーーうん。よろしくね。
小さきもの改めロッソが返事をすると、パーッとロッソが光る。
ロッソの背中に置いていた手を離しても、会話が出来たからどうやら契約が完了したようだった。
パールとロッソがトレントに、お礼と事情説明をすると嬉しそうに身体を揺らす。それが可愛く思えたジョアンは、つい出来心で【アクア】の水を霧状にしてトレントにかける。
すると、ぐんぐんとトレントが伸びて2mぐらいだった樹高が4mぐらいの高さになる。
「あ………私、やっちゃった?」
『はあ〜ジョアン……間違いなくね。』
『わぁ〜すごいね〜、ジョアン。』
ジョアンがやらかしたことに、パールは再びため息をロッソは単純に感動していた。
トレントはというと、手の部分だった枝の葉がなくなり、まるで指のように5つに分かれしきりに動かしている。人間で言うところのグーとパーを繰り返している。そして、自在に動く事がわかると
『カンシャスル、ヒトノコ。オカゲデ、シンカシタ。』
「うおっ……喋った。進化すると話せるの?」
『シラン。ダガ、タメシタラ、ハナセタ。』
「おおー、そっか……。」
これは、もしかして………私だからとか言わないでよ……。
ほんの出来心なんです。些細な事だと思ったんです……。
『ほら、ジョアン。いい加減に現実を受け入れて、四つん這い止めなさい。』
「はい……。ともかく、お父様に報告かな?」
『当たり前でしょう。報告、連絡、相談は大事!!』
「はい……。」
パールが最近、私よりしっかりしてる気がする……。
なんでだろ?
『ババ様、ママさん、ナンシーに、ジョアンがやらかさないようにちゃんと見ててって言われているからよ。』
「ちょっ、人の考え読まないの!」
『は?口に出てたわ。』
「えっ、マジか。」
『『『マジ。』』』
2匹と1本に言われる。
「取り敢えず、屋敷に戻ろう。」
ジョアンはパールの背に跨り、ロッソはジョアンの肩に。
「トレントは……私と手を繋いで?ん?手でいいのかな?」
『テダ。』
手だと言うが、ジョアンにはただの枝にしか思えないがともかくトレントの手を握る。折れないように、気をつけながら。
「じゃあ、転移するよ。【テレポート】」
シュン。
シュン。
「うおっ。」「わあっ。」
転移したところは、中庭だった。さすがに表に転移して、誰かに見られると面倒だと思ったから。でも、中庭には手入れをしていたトム爺とコアがいた。
「ごめん、トム爺、コア。」
「いやいや、ビックリしたわい。これは、いったい……。」
「ジョアン様……また増えました?」
「あは、ははは。つい……。」
『ジョアン、パパさん。呼んでくるね。』
「あっ、お願いね。」
パールがお父様を呼びに行ってくれた。
さあ、どうなるかな?
……まあ、間違いなく怒られるかな。やっぱり。




