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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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195.小さきもの

何かしらの生き物を助けるようです……。

はれて念願のDランカーになったジョアンは、入学まで残り半月、学院の準備を……な〜んてやるわけもなく、日々ギルドの依頼をこなしていた。そして、今日も……。


今日の依頼は、南の森クリムゾンウッズでホーンラビットの討伐。


《ホーンラビット》

一本角が額から生えた兎。体毛は白や茶色で、一番弱いタイプの魔獣。目が合うと突撃してくる。

肉はとても美味しい。毛皮は加工して装飾品に、角は毒消しの材料になる。


今回は、料理屋と防具屋、薬師から同時に依頼があったようでホーンラビットが大量に必要らしい。

今日の相方も、もちろんパール。

「さあ、着いた。ウサちゃん、いるかな〜?」

『ん〜、まだここら辺だといないみたい。』

「じゃあ、奥の方に行ってみようか。」

『了解。』


春の季のクリムゾンウッズは、木々が青々とした葉をいっぱい茂らせ、新緑の香りを含んだ優しい風が吹き抜けている。

「ん〜、春の森は気持ち良いねー。」

パールの背に跨った状態で、伸びをする。

『ホントだね〜。……あっ、あっちにいる。』

パールは走りながら話しているが、ちゃんと目的のモノは探してくれていた。

向かった先には、白いホーンラビットが。

こちらを見ると、キューっとひと鳴きして突進してくる。

「い〜ち。」

『あっ、こっちにも……にーい。』

ジョアンから少し離れていた所で、パールが茶色のホーンラビットを捕まえていた。

「じゃあ、この調子でどんどんいってみよ〜!」

『おー!』

小1刻間で、白いのが30羽、茶色のが20羽捕まえた。


予定していたより、早く終わったのでパールの案内でクリムゾンウッズの奥にある泉に来た。

「わあ〜……。」

連れて来てもらった所には、清涼な清水が湧き出る泉があった。信じられないほどの透明度。この世のものとも思えないエメラルドグリーン。よく見てみると、水の色ではなく底の砂の色だった。泉の周りには、色とりどりの花が。木の上では、小鳥たちがさえずり、なんとも神秘的な所だった。

「凄い綺麗な所だね〜。」

『でしょ〜。私が小さい時に、よくお母さんに連れて来てもらったの。』

「そうなんだ。……いいの?私がパールのお母さんとの思い出の場所に来て。」

『もちろん。確かに、お母さんとの思い出の場所だけど、これからはジョアンとの思い出の場所になったら良いなって。冒険者になったら連れて来てあげたいと思ってたの。』

「ありがとう、パール。」

『えへへ、どういたしまして。』


手を泉に入れると、雪解け水なこともあってとても冷たい。

そこでパールと一緒にティータイムをしていると、急に小鳥たちがさえずるのを止める。

周囲を見渡すと、風もないのに一本だけ揺れている木がある。

「ん?」

よく見ると、その木が泉の方へ向かって歩いてくる。

『あっ、トレント。』


《トレント》

歩く樹木。森を巡りながら外敵が森に入るのを防いだり、時には木々にその方法を仕込んだりするほか、草むしりや種まきなどを行い木々の面倒を見ることも。

堅固な岩でもたやすく砕く力を持っており、弓矢も毒も効かない。深手を負わせるには斧か、火を放つぐらい。


トレントは泉の所まで来ると、手の部分にあたる枝を上に上げる。そして、しばらくすると手を下ろすように枝を下に動かす。その動かす枝には、花でも葉でも実でもない何かがのっている。トレントは、何ものっていない方の手をーー枝だけどーーを、泉に入れて葉を濡らすとそっと何かを撫でる。また濡らして撫でる……。

「ねぇ、パール。あれ、何してるんだろ?」

『さあ?……聞いてみる?』

「へ?……話せるの?」

『話すって言うよりは、念話?』

「あー、なるほど。うん、じゃあお願い。」

そう言えばパールって、犬じゃなくて魔獣側だったなぁ〜と思い出しながら、パールの報告を待つ。


『ジョアーン、わかったよ。トレントが言うに、森を歩いてたらグッタリしてる小さきものを見つけたから、泉に連れて来たんだって。』

「パール?その小さきものを私が診ることできるかな?もしかしたら、助けられるかも知れないし。」

『うん、聞いてみるね。………うん……うん、わかった。ジョアン、トレントが人の子に助けられる可能性があるならって。』

「ありがとう。トレントー、側に行くよ。」

言葉が通じるかわからないけどトレントに声をかけると、空いてる枝をワサワサと手を振るように動かす。

ゆっくりと恐る恐る近づく私にパールは

『普通に近づいて大丈夫だよ。トレントには、ジョアンに何かしたら雷落とすって言ってあるから。』

「お、おう。あ、ありがとう、パール。」

ウチの子が、トレントを恐喝してました……。


トレントに近づくと、小さきものを持った枝をこちらに出してきた。その小さきものは、フロスティブルーの体毛で小さく丸まり、どこか苦しいのか呼吸が荒かった。

(状態を教えて……【サーチ】)



[小さきもの(仮)]


状態:毒。


補足:キラービーに刺された為、毒が身体に回ってる。



「ヤバッ。早く解毒しなきゃ。トレント、その小さきものを渡してくれる?治せるかやってみる。」

するとトレントが、さらに枝を突き出す。ジョアンは、そっと受け取ると

「わあ、超もふもふ。頬ずりしたい……。」

『ジョアン、まずは解毒。』

「あっ、はい……。」

ジョアンは小さきものを膝に敷いたタオルの上に乗せ、ストレージからスープ皿を出すと、そこに【アクア】で常温の水を出す。

「ねえ、解毒作用がある水よ。飲める?……あっ、パールお願い。」

『了解。』

パールが小さきものに飲むように言ってくれたことで、わずかに頭を上げて水を飲んでくれる。3分の1程の飲んだところで、また丸くなってしまったが、呼吸は安定したようだった。

再び【サーチ】をかけてみると



[小さきもの(仮)]


状態:健康だが空腹。


補足:ジョアンの水で、解毒完了。



「良かった。ふふふ。君、お腹空いてるの?でも、何食べれるかな?」

『何でも食べると思うよ?』

「そう?じゃあ、パンとホットミルク?」

先程のスープ皿にホットミルクとパンを入れる。即席のパン粥だ。

ミルクの匂いに反応して、小さきものが頭を上げる。パールが再び話をしてくれて、小さきものは恐る恐るパン粥を食べる。一口食べたことで美味しい物だとわかり、顔を皿の中に突っ込んで食べ始めた。





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