190.テンプレ
ご感想、メッセージをありがとうございます。
とてもうれしく読ませて頂いております。
アラン兄様に別れを告げ、当初の目的地王妃様のところへ向かう。
「うぅ〜、髪の毛グシャグシャになっちゃった……。」
「あはは。でも、アランってあんな感じに笑うんだな。」
「えっ?いつもは笑わないんですか?」
「ああ、ほぼ無表情で笑っても口角を少し上げるだけだな。だから、あんなに表情が変わるの初めて見たかも。」
「へぇ〜。あっ、そうだ。リュークさんにコレあげます。」
「ん?何これ。」
「飴ちゃん。アラン兄様がお世話になってるから。」
ストレージから、べっこう飴の入った赤いリボンのついた小瓶を渡す。
「いいのか?ありがとう。」
リュークさんの爽やかな笑顔プライスレス。
*****
ーーー王妃様の自室にて。
「ジョアンちゃーん。この間ぶり〜。」
「あっ、草餅出来たよー。」
「イェーイ!!みんな、お茶しよー。」
「「「はーい。」」」
王妃様の一言で、侍女トリオがいそいそとお茶の準備をする。
最近では、3人も同じテーブルでお茶をする様になった。
「「「「ん〜、美味しい!!」」」」
「ジョアンちゃん、餅つきしたの?杵と臼で?」
「うん。ランペイル家皆んなで。」
「えー、私もやりたかったー!」
「あはは、じゃあ今度やろう。」
「そう言えば、ジョアン様噂になってますよ〜。」
侍女トリオの最年少、ピアさんが言う。
「あっ、私も聞きました。」
セーラさんまでも。
「何なに?噂って。」
「王妃様、身を乗り出さない!」
「はーい。」
スージーさんに言われて、渋々返事をする王妃様。
「なんでも〜『氷の貴公子』の氷を溶かした白い犬を連れた美少女だとか〜。」
「私のは、あの『氷の貴公子』は謎の美少女を溺愛している、と。」
「………。」
マジか。ついさっきの事よね?
なのに既に噂になってるとかって……こっわ〜。
「『氷の貴公子』って、あの近衛隊の?ジョアンちゃん心当たりは?」
「あります……というか、私ですね。それ。」
「「やっぱり〜。」」
ピアさんもセーラさんも、話を聞いてすぐに私だと気付いたらしいが知らないふりをしていたらしい。
「で、どうしてそんな噂が?」
王妃様に言われるが
「さあ?さっき、食堂に会いには行きましたけど……。」
「ジョアンちゃん、『氷の貴公子』と知り合い?」
「知り合いも何も従兄弟だよ。アラン兄様は。」
「「「「そう言えば……。」」」」
「たぶんアラン兄様が、王城の女性たちに愛想笑いさえもしないのに、私にはいつも通りの接し方だったから、食堂で見ていた方達が噂をしたんじゃない?さっき、ここへ連れて来てくれたリュークさんも、アラン兄様は普段は無表情だって言ってたし。」
「「「「あ〜確かに。」」」」
やっぱり、そうなんだ。
王妃様や侍女トリオも、アラン兄様=無表情って思うんだ。
「でも、ジョアンちゃん気をつけなよ。」
「ん?……あー、そうだね。テンプレだとあるかもね。」
「「「ん?」」」
王妃様と私の会話の意味がわからず、3人は首を傾げる。
「あの、お2人の話の内容がわからないのですが……。」
申し訳なさげにスージーさんが言う。
「あー、えーっと私がアラン兄様と身内だっていうのがわかっている人は、今の段階でほぼいませんよね?」
3人とも頷く。
「で、自分が好意を持っている人が、いつもは無表情なのに知らない子に笑いかけている。それって、見てて面白くないでしょ?」
「「「あー。」」」
「でも、気をつけるって何ですか?」
平民のセーラさんにとっては思い当たる節がないらしい。
「万が一、面白くないどころか私に対して殺意を覚えたら?」
「あっ。」
「だから、気をつけなよって言ったの。どこで誰が見ているかわからないしね。」
「あっ、でも、ココに来るのも敵意持たれる原因になるかも……。」
「「「「あっ、確かに…。」」」」
「まっ、大丈夫でしょ。そん時はそん時で何とかなるって。」
「ジョアン様、そんな悠長なことで良いのですか?」
スージーさんが心配してくれる。
「一応、コレがあるから。」
首元からペンダントを出す。
「それは?」
「解毒と結界と睡眠・麻痺耐性が付与されたペンダント。」
「うっわ、エゲツないアイテム出してきたね。ジョアンちゃんが作ったの?」
「ううん、誕生日プレゼント。ロンゲスト兄弟とジュリエッタ叔母様の合作。」
「「「「あー、ジュリエッタ様。」」」」
「うん。なら納得だわ。でも、ないかも知れないけど誘拐とかは?」
「んー。転移できるし、その前にパールが簡単に誘拐させないんじゃないかな?いつも一緒だし。」
『私、ジョアンに向ける敵意わかるよ。』
足元にいるパールが言う。
「じゃ、大丈夫かな。」
「王妃様まで悠長な……。」
「「大丈夫、大丈夫……うふふ。ね〜。」」
「「「はあ〜。」」」
2人の楽観的な考えに心配した侍女トリオは、こちらでも従兄弟同士だと噂を出しておくからと言ってくれた。
王妃様曰く、侍女トリオの情報だと、信憑性があるからきっと根も葉もない噂は消えるだろうとのこと。
「そう言えば、ジョアンちゃんは制服お願いしたの?」
「うん、午前中に。」
「どんなのにしたの?ジョアンのことだから、ザ・御令嬢のロング丈じゃないでしょ?」
「まあね。あっ、ちなみに皆さんは?どんな感じでした?」
「私は平民だもの、膝丈プリーツよ。セーラもそうよね。」
「はい。そうでした。」
「私は……ロング丈でした。」
とスージーさん。
「私は、膝下辺りの丈でした〜。」
ピアさんは子爵令嬢でも、ミモレ丈なのね。時代なのかしら?
「で、ジョアンちゃんはどんなのにしたの?」
「えっと、膝下辺りの丈のフレアジャンパースカートと膝丈のラップキュロットスカート。」
「へぇ〜、2種類あると使い分けが出来て良いわね。」
「あの〜、ラップキュロットスカートってなんですか〜?」
ピアさんが言うので、イラストを描いて説明する。
「貴族令嬢が膝丈でも珍しいのに、どうして中にキュロットを穿くのですか? 普通にしていれば膝丈でもはだけませんよ?」
自分も膝丈で通学していたから不思議でしょうがないセーラさん。
「え?だって、走ったり戦ったりしたらはだけるよ?」
「「「えっ?」」」「ぶふっ…。」
侍女トリオは理由に呆気に取られ、王妃様は吹き出した。
「……その理由で、奥様お怒りになりませんでした?」
スージーさんは、エイブさんの奥さんだからお母様のこと奥様って言うようになったんだ〜。初めて知ったわ。
「えーっと……。学院に何しに行くの!って怒られた……。」
「はぁ〜、そうでございましょうね。その光景が目に浮かびますわ。」
「あは、さーせん。」
『スージーさん。しょうがないよ、ジョアンだもん。』
「「「「「………。」」」」
パールから、身も蓋もないことを言われて誰もが黙ってしまう。




