183.暇だからギルドへ
事件です!
甘露芋農家のマックさんの所で、ゴブリンが暴れているようです。
ーーーリビングルーム。
ランチの後に、草餅を皆んなの前に出す。
「おお、これが草餅か。この鼻に抜けるヨモギの香りが良いのぉ。」
「ええ、本当に。餡も甘すぎなくて良いわね。」
お祖父様、お祖母様は好評だ。
「ん〜。コレは磯部焼きと交互に食べたら、止まらなくなりそうだな。この甘さも疲れた時に欲しくなる。」
「本当、さっきのお餅がこんなお菓子になるなんてね。美味しいわ、ジョアン。」
「「姉様、おいしーー。のびのびーー。」」
お父様にもお母様にも双子ちゃんにも、喜んで貰った。双子ちゃんは草餅が伸びるのが楽しいらしい。
「うっま!うっま!」
「うん。僕、ケーキよりもこのぐらいの甘さが好きかも。」
ジーン兄様の食レポは……ダメだわ。ノエル兄様、甘いのあまり得意じゃないのに、このぐらいの甘さならいいのね。
お祖父様たちがファンタズモに向けて旅立った。ブラウを連れて……。
ジョアンが自室で読書をしていると、サラがやって来てお父様が執務室で呼んでいると言う。
「お父様、お呼びですか?」
「ああ。王城に行く話だが、来週でどうだ?」
「はい。私はいつでも大丈夫です。でも、なんで呼ばれているんでしょう?」
「さあ?私にもわからん。」
「王妃様とこの前王都で会いましたが、何も言ってませんでしたよ?」
「だとすると、ジョアンに用があるのはアイツか?」
「陛下ですか?なおさら、何故呼ばれているかわかりませんね。」
「「ん〜。」」
お父様とグレイが悩み始めちゃったわ。
「あの〜、他にもなければ良いですか?」
「ああ、何か予定があったのか?」
「いえ、暇なんでちょっとギルドに行って来ようかと。」
「お嬢様……一般的な貴族令嬢は暇だからって、冒険者ギルドには行かないですからね。」
「えっ?そうなの?じゃあ、何するの?」
「刺繍の練習したり、読書したりじゃないですか?」
「ふ〜ん。でも、刺繍は飽きたし、読書は夜でも出来るし……。うん、やっぱりギルド行きます。失礼します。」
ガチャ。
「「……。」」
「グレイ……俺は、どこで娘の育て方を間違えたんだ?」
「……わからん。でも、お嬢様だからな。」
「はぁー。」
*****
週末の冒険者ギルドは、普段学院に行っている子供達もいて賑わっていた。
「今日は、どれにしようかなぁ〜。」
依頼ボードを見ながら考える。
この前は採取依頼だったから、今度は討伐依頼が良いなぁ〜。ん〜と、コレはランクCだから無理だし。こっちは、ランクD。ランクEは……あった。えっと、畑を荒らしているゴブリンの討伐か。じゃあ、コレにしようかな?
ボードに貼ってある依頼票を軽くジャンプして取り、受付に持って行く。
場所は、偶然にも甘露芋農家マックさんの畑だった。冒険者ギルドから馬車で行っても20分はかかる所。
「パール、マックさんの家まで。お願いね。」
『OK〜。……はい、乗って。』
ギルドを出て、ライオンサイズになったパールに跨がる。このサイズになると、やっぱり目立つようで周りにいる人たちがもれなく二度見する。そしてパールと私を交互に見るから、私はいつも営業スマイルで誤魔化す。
街を抜けるとパールは一気にスピードを上げる。馬車で20分。パールだと、ものの5分。ただし体幹がしっかりしてないと落ちる危険性あり。
『ここら辺かな?』
「たぶん。ん〜、あっ、第一農家さん発見!……すみませ〜ん。マックさんのお宅ってどこですか〜?」
「マックのとこは、ほら、あの赤い屋根の所だよ。」
「ありがとうございま〜す。」
赤い屋根の家まで来た。玄関先で、声をかけると奥さんのサマンサさんが出て来た。
「ど、どうしたんですか?ジョアン様。」
「えっと、今日は冒険者として来ました。ゴブリンが畑を荒らすっていう依頼の。」
「ジョアン様が?他には誰もいませんけど?」
「はい。私とこのパールだけですよ。」
「えっ!?大丈夫なんですか?」
「はい。討伐依頼は初めてなんですけどね。」
「えーっ。ま、まあ、ともかく主人を呼んできますね。」
「マックさんは畑ですか?なら、私から行きますよ。」
「そうですか?じゃあ、お願いします。あっ、ジョアン様。」
「はい?」
「ジョアン様のお陰で、ここらの甘露芋農家は助かりました。ようやく王都からも注文が入るようになって来て。本当にありがとうございます。」
「いえいえ、私は甘露芋の食べ方を教えただけですし。」
「それでも……ジョアン様から教えて貰わなかったら、きっと今のように生活出来てません。だから、ジョアン様には感謝しかないです。」
「どういたしまして。じゃあ、畑行ってみますね。」
畑はマックさんの家の裏手にあった。
「こんにちは〜。」
「ん?あれ?ジョアン様?どうしたんです?」
「今日は冒険者として依頼を承りました。ゴブリンの被害を受けているとか?」
「ジョアン様が!?」
「はい。これでも冒険者ですよ。まだ新人ですけど。」
「はあ、しかしゴブリンの数がここ何日かで増えているんですよ。1人で大丈夫なのか……。」
「あっ、このパールもいるから大丈夫です。こう見えても強いんですよ。」
「犬が?……っと、来やがった。アレですよ。あの大きいのがボスみたいなんで。」
マックさんが指差す方に何体かのゴブリンがいる。そして大きいのは、ゴブリンの進化したホブゴブリン。
「あー、ホブゴブリンまでいるんだ……。あっ、マックさん危ないから家に入っていて下さい。」
《ゴブリン》
ランクE相当の小型の醜い人型の魔物。肌の色は緑色で鼻や耳が尖っていて禿げ頭で目つきが悪い。知能は小学生程度。
《ホブゴブリン》
ランクD相当でゴブリンよりも大きい醜い人型の魔物。ゴブリンよりも知能が高く中学生程度で、群れを作りゴブリンを従える。時たま人間の子供を攫う。
「1、2、3、4……。6ゴブに、1ホブ。まっ、なんとかなるでしょ。じゃあ、やりますか。パール、行くよ。」
『はいはーい。』
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