153.理想は高く
執務室を覗くと、お父様とノエル兄様、グレイの他に1人の男性がいた。
「今、大丈夫ですか?」
「ああ、ジョアン入っておいで。今、ジェイコブから状況を聞くところだったんだ。」
「お久しぶりですね、お嬢様。私のこと覚えておりますか?」
「はい、ジェイコブ様。年始のパーティー以来ですね。」
「お嬢様、私は平民ですので様付けはなくて結構ですよ。」
「いえ、尊敬に値する方にはちゃんと敬意を示さなければ。それに、私が目標とする魔物討伐団の方ですもの。」
これには、全員が苦笑するしかなかった。
「で、ジェイコブ。状況はどうなんだ?」
「はい、ダイヤウルフ4匹の群れを発見し、先程、討伐完了致しました。現在、手分けして群れの残りがいないか確認をしているところです。」
「そうか……討伐完了か。ありがとう、助かったよ。」
「あっ、あの、怪我した方はいませんか?」
「擦り傷や打身、捻挫程度で、全員無事です。」
「良かったです。」
「残りのダイヤウルフがいなければ、夕刻には戻れるかと思います。」
「報告ご苦労だった。」
「お父様、魔物討伐団の方はすぐ王都に帰るのですか?」
「いや、さすがに早くても明日だな。……先程言っていたカレーとやらか?」
「はい。ぜひ、皆さんに食事を振る舞いたいのです。頑張って頂いたので。」
「ジェイコブ、ジョアンの食事は美味いぞ。冒険者の者たちも帰宅せず、こちらに来るように言ってもらえるか?」
「了解致しました。では、私はこれで。」
「あっ、ジェイコブさん。これを……スポーツドリンクとチーズショートブレッドです。多少はお腹に溜まるかと思います。」
ストレージからスポーツドリンクとチーズショートブレッドーージョアン特製の携帯食。前世のカロリーメ○ト風のショートブレッドーーを渡す。
「ありがとうございます。これならば騎乗したままでも食べられそうですね。では。」
そう行って、ジェイコブさんは執務室を出て行った。
「はぁ〜、カッコいい〜……。」
「「えっ!?」」
お父様とノエル兄様が何故か驚く。
「ジョーは、ジェイコブさんみたいな男性が好みなの?」
「えっ!?いえ、違いますよ。魔物討伐団の騎士服がです。」
「あー、そういうこと。容姿かと思ったよ。」
「あー、ジェイコブさんも格好良い方だとは思いますけど……私の好みではないですね。それに、容姿だけでは決め手にならないと思いませんか?」
「じゃあ、ジョーなら何が決め手になるの?」
「ん〜、容姿は格好良ければいいですけど、仕事出来て、人望があって、尊敬出来る人?あっ、あと私より弱い人は嫌です。」
「あっはははは。なかなか条件が多いね。」
「だってー。じゃあ、ノエル兄様は?」
「僕?んー、優しくて、話が合って、家族や友人を大切にして、料理が美味しくてーーー」
「ほら!ノエル兄様も理想は高いじゃないですか。それに、ノエル兄様と話合うって、かなりの魔術バカーーー」
「な〜に〜?」
「何でもありません。じゃ、私カレー作らないと。」
シュン…。
「あっ、逃げた。……じゃあ、父上、僕も失礼します。」
「はぁ〜、2人とも結婚は遠そうだな……。」
「いや、意外と早かったりして……。」
「それはそれで、寂しい……。」
「どっちなんだよ……。」
そんなスタンリーとグレイの会話を聞いていた者は、誰もいない。
*****
「さっ、カレー作ろう!」
「「「「「「「「「「おーー!」」」」」」」」」」
「ジャガトとキャロジンを一口大に、タマオンをくし切り、鶏肉も一口大かな?野菜を切ったら炒めて、タマオンが半透明になったら、鶏肉も炒める。その後、水入れて火がとおったら、カレールーを入れて弱火で煮込んだらOK。」
簡単に作り方を説明する。
「ルーの時より、簡単だな。」
「でしょ?でも、どうしよう?お米も炊かないといけないから、コンロが足りないね。」
「炊き出し用の大鍋で作るか?」
「どのくらいの大きさなの?その炊き出し用って。」
「あ〜っと、300人ぐらい分のスープを作るやつだな。」
「さ、300人分?何に使うの?」
「何って、お嬢。炊き出しだよ。何かしら災害があった時に領民に炊き出ししたりするんだよ。この数年、そんな事ないから知らねーだろうがな。」
「「「「「「「「ああ〜。」」」」」」」」
私とアニーと私兵団 jr.が納得する。
「じゃあ、それで作ろう。どこにあるのかな?大鍋。」
「確か……トム爺がしまってくれてるはずだ。」
「んじゃ、外でかまどを作ってかな?」
「俺ら、かまど作りますよ。」
と、リュウジス、オミ、オーキが手を挙げる。
「お願いします。じゃあ、残りのメンバーは材料を切ろう。ジャガト300、キャロジン200、タマオン300、鶏肉3キロぐらいかな?」
「「「「「「「「「はーー!?」」」」」」」」」
「お嬢、マジか?」
「だって、皆んなで食べるでしょ?お腹空かせて帰ってくるんだもん。……でも、さすがにこの人数だと難しいかな?」
その時、厨房の扉が開く。チラッと顔を出したのはノエル兄様とジーン兄様だった。
「ジョー、何か手伝う?」
「きゃ〜ノエル兄様、ジーン兄様大好きですー!!」
ノエル兄様とジーン兄様に抱きつく。
「えっ、な、何?どうしたの?」
「今から、カレー作るのに手が足りなかったんです。」
「あっ、そういうこと。わかった、手伝うよ。」
「あとは……サーラーー。」
扉を開けて、サラを呼ぶ。
シュタ…。「お呼びですか?」
「うわっ!!」
えっ!?今どこから来た?サラは忍者なの?
「あっ……あの、手の空いてるメイド達に手伝ってもらいたいんだ。」
「かしこまりました。呼んで参りますね。」
「お願い……って、もういない。サラは何を目指してるのかしら?」
サラはうちのメイドさんだけじゃなく、王都のお屋敷にも声を掛けてくれて何人かメイドさん達が来てくれた。それから、トム爺の手伝いで通っているコア君、裁縫のミトさんに弟子入り中のタニちゃんも。
そして、運良く?アーサーとベンに指導してもらおうと屋敷を訪れたルーとデニス君。
人員は集まった、さあ、カレーを作ろう!
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