147.偶然の再会
エイブさんも武器屋から戻り、マーケットを散策していると前から黄色のストールを頭から巻いた女性がもう1人と2人で前から歩いてきた。
「ん?」
「どうしたんですかー?」
「んー?知り合いに似ているような?」
「ジョアンちゃんの知り合い?」
そんなことをアニーと話していると、その女性と目が合う。女性は驚いたように目を大きくし
「あーー、ジョアンちゃん。久しぶり〜。」
「……やっぱり。どうしたんですか?こんなとこで。」
「えへへ、お・し・の・び。ってか、ジョアンちゃんはどうしたの?いつ来たの?」
「今朝ですよ。スパイスを買いに。」
「スパイス?」
「お、お嬢……もしかして、こちらの方って……。」
「うん、王……うぐっ……。」
「ジョアンちゃん、ココではダメ。あっちに行きつけの店があるから、そこに行こう。皆さんも。」
連れて来られたのは、庶民派の料理屋。
「おじさーん、奥いい?」
「おう、いいぞー。」
店の奥にある10人ぐらい入りそうな個室に入る。
この前と同じフォンという空気の動きを感じると、女性はストールを外す。すると、エイブさんとケンさんが片膝をついて頭を下げる。アニーはその光景に困惑しながらも跪く。
「あー、堅っ苦しいから止めて。防音してるし、今の私は、ただのアミーだから。」
「「「御意。」」」
恐縮しながらもなんとか椅子に座る3人。
「で、ジョアンちゃんは何で王都にいるの?」
「スパイスを買いに来たの。」
「あーそうそう。何でスパイスなの?」
「カレーライーーー」
「カレー!?マジで?食べたい食べたい!!」
「あははは、作ったら持って行きますよ。」
「イェーーーイ!」
「あ、あの、どうしてそんなにお嬢と仲が良いんです?」
「えっ?あー、私と前世が同郷だから。……ん?エイブ?魔物討伐団にいた。」
「は、はい。そうです。俺…私のことを覚えているんですか?」
「そりゃあ、スージーが……うがっ……。」
「アミー様、それはダメです。」
顔を真っ赤にした侍女トリオの1人が王妃様の口を押さえる。
「ちょっ、スージー苦しいから。……あはは、真っ赤だね〜。」
「あれ?もしかして、もしかする?」
「さすがジョアンちゃん。せいかーい!!」
「ジョ、ジョアン様、内緒でお願いします…。」
「でも、気になるんでしょ?」
「……はい。」
「聞いてみたら?今はなんともなくても、言われたら気になっちゃうよ?」
「……そうでしょうか。でも……。」
「もー、スージーさん。女は度胸だ!」
「はい!あ、あの…エイブ隊長……その……。……ダメです……。」
なんて可愛いらしいのかしら、スージーさんってば。
名前呼ばれたエイブさんは俯いているし……あっ、ケンさんとアニーは気づいたみたいね。優しい笑顔で……じゃない、ニヤニヤしてるわ。
「ねー、そう言えばエイブさんって彼女いないの?」
「な、何を。お、お嬢、王……じゃなくてアミー様のいる前で聞かなくても……。」
「いや、だってそんな話聞かないし、いるのかなぁ〜って、ふと思ったから。」
「い、いねーよ!俺みたいなのがモテるわけもないだろ?」
「じゃあ、好きなタイプは?」
「は?いや、別に……あー、飯を美味そうに食べる子かな?マナーが出来てても美味いんだかわからない無表情で食われると、美味いもんも不味くなるだろ?」
「あー、確かに作った人間としてはわかる。頑張ったものを食べて笑顔になってくれたら嬉しいよね〜。」
「おう。やっぱりお嬢は料理人だな。」
「いやいや、私は貴族令嬢ですけど?……だって、スージーさん。」
「「えっ!?」」
エイブとスージーが驚き声をあげる。
「ほら、スージー。ジョアンちゃんがお膳立てしたんだから……。」
「あの、で、でも……。あ、あのエイブ隊長……ずっと………お、お慕いして……おりましゅ。あっ……。す、すみません王妃様……少々失礼します。」
バタンッ……。
あー、一世一代の告白が噛んじゃって涙目で出て行っちゃった。
「お、お嬢、すまん、俺も外す。」バタンッ……。
「「「「………。」」」」
「あれ?これはどっちなの?」
「あー、お嬢様……実はエイブさん前からスージー様のこと知ってましたよ。魔物討伐団にいる時から。王宮の食堂で美味しそうに食べる侍女がいるんだけど、貴族令嬢だし話もかけられないって……たぶん、スージー様のことだと思うんです。」
「マジで?」
「はい、さっきも会った瞬間に気づいたけど恥ずかしかったらしく、ずっと俯いていたみたいなんで。」
「ア、アミー様?……なんで泣いてんの?」
「うぅ〜、だって、だってスージー、ずっとエイブのこと好きで拗らせてたんだよ〜。うぅ〜良かったよ〜。」
「あーあ、ほら泣かない泣かない。目を擦らないで、ハンカチどーぞ。」
「ありがどぉ〜。ジョアンぢゃーん。」
「ケンさん、何か飲み物と軽食を適当に注文してきてくれます?」
「わかりました。……ちょっと時間かかるかも知れないです。」
「うん、ありがとう。」
ケンさん、紳士だわ〜。
王妃様が泣いてるの見られたくないだろうから、席を外してもらいたくてお願いしたら、ちゃんと意図をわかってくれたみたいね。
「アニー、ちょっとお屋敷行ってマーサから化粧品借りてくるから、ここお願いしても良い?」
「えっ?私が行きますよ。」
「大丈夫、この距離なら転移出来るから。良いですよね、アミー様?」
「う、うん……ごめん。お願いするわ。」
「アニーお願いね。」シュン…。
シュン…。
「きゃっ。」
「あっ、ごめんマーサ、驚かして。急ぎでお願いがあるの。ちょっと化粧道具貸して。」
「はい……お嬢様が使うのですか?」
「ううん、ある方の化粧が崩れちゃって……。」
「では、私も参りお化粧を施しますか?」
「あっ、本当?お願いできる?じゃあ、私と手を繋いで。転移するよ。」シュン…。
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