146.脇道散策
大通りから入った脇道って、なんかワクワクしません?
待ちに待った雷の日(金曜日)、私とエイブさんとアニー、そして王都のお屋敷の料理長のケンさんの4人で王都のマーケットに来てる。
転移扉で王都のお屋敷に行き、そこでリアムさんやマーサさんに挨拶をしスパイスの話をすると、ケンさんが詳しいという事で案内をお願いした。
「いや〜、本当に料理が好きなんですね、お嬢様は。スパイス屋に行きたいなんて言う、ご令嬢は初めてですよ。」
ケンさんは冒険者をしていたが、合同討伐の時にエイブさんから簡単な料理を教えてもらい、料理の楽しさと周りに喜んでもらえる喜びを知ったそうだ。その後、色々あって転職し王都の料理屋で働いていたところを、エイブさんと再会しランペイル家に来たそうだ。
「お嬢はケンが思っている以上にすげぇーぞ。ゴミだって美味い物に変えるからな。」
「ちょっと、エイブさん!言い方に語弊があるから!ゴミじゃないって、それ鶏がらのことでしょ?」
「わっはははは、でもお嬢に教えてもらわなかったらゴミだったな。」
「いや〜すごいですよ。アーサーが教えに来てくれた時は、目を疑いましたもん。」
「えっ!?アーサーが?そうなの?」
「はい、お嬢様がランペイル領で作った料理をアーサーが王都に来て教えてくれるんですよ。だから、毎回こっちの料理人も楽しみにしてますよ。」
「そうだったんだ。アニー知ってた?」
ケンさんとの会話を、ずっとニコニコしながら聞いているアニーに聞くと
「知ってましたよー。私が学院から帰る時に、毎回誰かしらに止められて上手く作れなかったところとか聞かれますもん。」
「そうだったんだー。」
そんな話をしながらマーケットの大通りから脇道に入ってしばらく歩くと
「あっ、お嬢様。あそこですよ、スパイス屋。」
ケンさんが指差した方向には、こぢんまりとしたお店があった。いかにも知る人ぞ知る隠れ家のようなお店だった。
「これは、ケンの案内がなけりゃわかんねーな。」
「うん。私もこの前来た時、脇道に入ってないからこんな所にお店あるなんて知らなかった。」
「そうでしょうね。正直、一般的な店舗と言うよりはマニアックな店舗ばかりですからね。」
ケンさんが言うように、脇道にはスパイス屋だけではなくマニアックなお店が並んでいた。魔獣の店、武器屋、暗器屋、防具屋など。
「ねーねー、魔獣の店って何?」
「あー、アレは魔獣をテイムした後につける首輪や腕輪とか、魔獣専用の道具を売っている所だ。」
「テイム……えっ!?テイマーがいるの?」
「いますよ〜。それに、ジョアンちゃんもある意味テイマーじゃないですか。スノーちゃんがいるから。」
「あっ、そっか私もテイマーだったんだ。」
「なんだ、お嬢知らなかったのか。テイマーにもよるがだいたい1体から2体テイム出来るらしいぞ。」
「へぇー、全員が出来るわけじゃないんだね。」
「まー、一般の人は普通魔獣に会う確率も低いからですからね〜。」
「あっ、そっか。……後で、魔獣の店見てもいい?」
「ふふふっ、気になりますよねー。じゃあ、スパイス屋が終わったらですかね?」
「イェーイ!」
カランカラーン。
スパイス屋の扉を開けると、ドアベルが鳴る。店内に入ると色々なスパイスの匂いがして、奥には褐色の肌のおばあちゃんが、椅子に座り読書をしていた。
「いらっしゃーい。……おや?ケンじゃないか?久しぶりだねー。」
「久しぶり、おばちゃん。今日はうちの屋敷のお嬢様を案内で来たんだ。」
「初めまして、ジョアンと言います。あのー、ターメリック、コリアンダー、クミン、チリパウダーはありますか?」
「おや、貴族のお嬢さんにしてはえらい詳しいねぇー。あるよ、ちょっと待っておくれよっと……あ痛たたた……。」
「大丈夫ですか?」
「あーごめんよ。この前、滑って腰を打ったらしくてそれから痛いんだよ。」
「ちょっと、触りますね。痛いの痛いの飛んでいけー(【ファーストエイド】)。」
「ん?あれ、痛みが引いたよ。不思議なもんだね。ありがとうよ、お嬢さん。」
「いえ、早めに診てもらった方が良いですよ?」
「そうなんだけどね〜。」
と、スパイス屋のおばちゃんは苦笑する。
「お嬢、神殿で治してもらうにはお布施がいるんだよ。」
エイブさんに教えてもらって思い出した。
でも、年寄りの骨は脆いからねぇ〜。腰打ったって、骨に異常がなければいいけど……。
もし、ひびや骨折でもしてたら治りにくいし、下手したら動けなくなっちゃうわよ。
だからと言って、私が連れて行くのは色々と問題だろうしね〜。施しだなんて思われたくないし……。
「ほら、お嬢さん。あったよ。」
「ありがとうございます。全部探してた物です。」
「そりゃあ、良かった。これ、オマケだよ。さっきのお礼。また、何かあったら来ておくれよ。」
「ありがとうございます。これは……マスタード?」
「おや?知ってたかい。そうだよ。お嬢さんなら使い方も知ってそうだね。」
「はい、知ってます。ありがとうございます。」
店を出て、ポシェットに今購入した商品をしまっていく。次は、魔獣の店に行く。
チリンチリーン。
「らっしゃ〜い。買わなくても良いから、ゆっくり見ていってね〜。」
ピンクのツインテールのお姉さんが、カウンターから声をかけてくれる。
店内をみようとすると、エイブさんが
「お嬢、ちょっとだけ隣の武器屋見てきていいか?」
「うん、良いよ〜。いってらっしゃい。」
「悪いな。じゃあ、ケン、アニー頼むな。」
店内には所狭しと色んな物が置いてあった、首輪、腕輪、ブラシ、魔獣の餌まで。
「なんか、気になったのあったら教えてね〜。説明するから。」
「ありがとうございます。……ちなみに、お姉さんの肩に乗っているのも魔獣なんですか?」
「そうだよ〜。モンガーっていう魔獣さ。可愛いだろ〜?」
「はい、可愛いですね。」
それから、しばらく店内を見てまわった。
「お嬢ちゃんも、何かテイムしたらココで色々見繕ってあげるよ〜。」
「ありがとうございます。じゃあ、また来ますね〜。」
モンガー、可愛いかったわ〜。
私も街の中でも連れて歩けるような魔獣テイムしたい……スノーちゃんには言えないわね。怒られちゃうわよね〜。
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