144.芋煮
クリムゾンウッズが紅に染まった頃、私の愛しの待ち人はランペイル領の屋敷にやって来た。
「きゃ〜〜、待ってたよ〜〜!!私の愛しいーーー」
「えっ!?そんな俺のこと待ってたん?」
「お米様〜〜〜!!!」
「「「「「………。」」」」」
「「「「ぶーっ、あっははははーーーっ。」」」」
ん?なんでチーム料理人、大爆笑?
そして、なんでタイキさんは四つん這いになってるの?
「……せやな、ジョアンちゃんが俺のこと待っとるわけないわな。しょせん俺はしがない商人やし……。」
「は?何かよくわからないけど……まー、頑張れ?」
「なんでジョアンちゃんに励まされなあかんねん!」
「えっ?知らんけど?」
「知らんのかーい。……まっ、ええわ。お察しの通り持ってきたで。そのお米様を。その他にも色々あんで。ばーさんからの頼まれもんも。」
「やったーーー!さっちゃん大好き!!」
「俺わい!」
「ん?何が?」
「……もお、ええわ。」
今回、タイキさんが持って来てくれたのは……
お米、みりん、餅、乾物セット、東の国の酒、そして、茶色のドロドロした液体……。
「タイキさん、この液体なに?」
「あっ、それな。ソウスっちゅうもんや。知らんか?」
「ソウス?ソウ…ス、ソ…ウス……。あーーーっ!ソース!?」
「お嬢、知ってんのか?」
「うんうんうん、知ってる知ってる!イェーーイ!」
「お、おう……。嬉しいんだな。」
これで、フライも美味しく食べれるし、お好み焼き、たこ焼き……ん?タコっているのかしら?クラーケンはイカだし……。まっ、イカでもいっかー。なんちゃって。
「で?お嬢。1人でニヤニヤしてるとこ悪いんだが、この米とやらはどうやって食うんだ?」
「ん?炊くんだよ?」
「「「「炊く?」」」」
「まずは、やってみるね。……あっ、タイキさん今日はココにお泊まり?」
「あーどうやろ?旦那はんに会うてないからな。何でや?」
「せっかく持ってきて貰ったし、ご馳走しないと。」
「ええの?」
「うん、だってまた色々お願いするには、やっぱり賄賂でしょ〜。」
「また、賄賂かーい。ジョアンちゃんは、相変わらずやな。」
「タイキさん……覚えておいた方が良いよ。人間はね……そうそう変わらない。」
「「「「「ぶふっ。」」」」」
「なんやねん!!そないな真剣な顔で何言うかと思たらしょーもなっ。」
その後、お父様に聞いたらタイキさんがお泊まりOKってことだった。
「さっと言う事で、米を炊きまーす。まずは洗って……ちなみにこの白くなった研ぎ汁で大根や里芋を下茹でするとアクが取れて、味が染み込みやすくなるの。だから、取っておきまーす。」
アニーがメモ取ってるわ。偉いわねぇ〜。
そう言えば、仕事している時の新入社員で、言わないとメモも取らなかった子いたわねぇ〜。教えたこと1回で覚えることできないくせに……。結局、自分には合わない仕事だって理由ですぐ辞めたけど、アレは何処に行ってもやっていけないわよねぇ〜。
「次に鍋に米と水を適当に入れて、米をならしたら手の平を米に当てて、手首をほぼ90度近くまで曲げて手の甲がぎり隠れるぐらいが水の量になるの。そしたら30分ぐらい放置。その間に、他の物作りまーす。」
そう言ってパントリーに向かう。
パントリーに来たものの、おかずとスープをどうしようかしらね?
んーと、ジャガト、キャロジン、これは…かぼちゃ?こっちは里芋かしら?里芋ならアレかな?
あっ、ごぼうだ。きのこもいっぱい、秋ねぇ〜。
「で、お嬢。何作る?」
「コレを使って芋煮会をします!」
「「「「芋煮会!?」」」」
「それって、ヌルイモっすよね?」
と、ベンが聞く。
「あっ、ヌルイモって言うんだ。」
「そうですよ。皮剥くとぬるぬるするじゃないですか。」
とアーサーが教えてくれる。
「んじゃ、コレは?」
とごぼうを見せる。
「これは、ゴンボですよ〜。」
とアニーが教えてくれる。
「へぇー、まっいいや。芋煮はコレを使った具沢山スープのこと。他の材料は、牛肉、ネーギ、きのこでセウユ味なの。前世の私の故郷では、秋になると河原で大きな鍋に作って食べたのよ。だから、皆んなで食べたいの。」
「BBQみたいな感じだな。」
「じゃあ、ヌルイモの皮剥こう。」
「俺、苦手なんすよねー、ぬるぬるして剥きづらくて。」
「そんなベンに、簡単に剥く方法を教えてあげる。まずは、たーっぷりの水にヌルイモ入れて茹でまーす。」
沸騰したら弱火で5分ぐらい茹でて取り出す。
「で、熱いうちに……ほら、簡単。」
「「「「おおーー。」」」」
ヌルイモの皮を剥き、ゴンボをささがき、ネーギを斜め切り、牛肉を小間切れに、きのこはーーシメジの事だったーー株をバラす。
皆んなで食べる為に、寸胴鍋で作る。
寸胴鍋にヌルイモ、ゴンボと被るぐらいの水を入れて沸騰したら一度水を捨てる。次にたーっぷりの水にヌルイモ、ゴンボを茹で、沸騰したらセウユ、みりん、酒、砂糖を入れて味付け、その後に牛肉を入れてアクが出たら取る。最後にネーギときのこを入れて火が通れば出来上がり。
「おっ、完成か?」
「そうだね。味見しよっか。」
「「「「おーーっ。」」」」
「「美味しいー。」」
「これは、美味いな。」
「「うっまーー。」」
「ヌルイモに味が染み込んでいて美味しい!久しぶりに食べたわ〜。」
「コレがお嬢の前世の故郷の味か。」
「秋の材料たっぷりですねー。」
良かった、皆んなの口に合ったようだわ。
コレにポン酒をくーっと呑みたいわ〜。
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