112.お祖父様のお屋敷
季節は巡って学院の夏季休みに合わせて、お祖父様の所へ遊びに来ました。
今回のメンバーは、私、お兄様×2、ネイサン、ザック、サラ、アニー、ナンシー、護衛としてダイさんとキラさん。両親は妊婦の母を気遣いお留守番。
「ん〜、疲れたー。」
お祖父様のいるファンタズモの街まで、最後の休憩で馬車の外へ出た私はぐーっと伸びをする。
ランペイルの屋敷を出発したのは昨日、途中の街で一泊してあと1刻間ぐらいで着く予定。
途中でオーク3匹?頭?に出会ったが、兄達とナンシーでいともあっさりと片付けてしまった。ノエル兄様は【火】属性で燃やし、ジーン兄様は【風】属性でオークを足止めしたところを太刀で、ナンシーは【水】属性で氷漬けにしてしまった。
ダイとキラは、俺ら必要なくね?と疑問を呟いていたけど、ジーンとナンシーの倒したオークを解体してもらうので必要です。ちなみにノエル兄様のは燃やしてしまったので、肉がダメになってしまった。勿体ない。
だからノエル兄様を正座させて
「ノエル兄様、そんな事をしていると勿体ないオバケがやってきますよ。」
いきなりの私の勿体ないオバケ発言にノエル兄様は驚いている。だけど、そんな事は知ったこっちゃない。
「勿体ないオバケというのはですね、粗末にされた食べ物の怨霊で、夜な夜な枕元に立って『もったいない……もったいない……』って囁くんです。だから、勿体ないことをしてはいけないのです!!」
「……はい、ごめんなさい。」
「わかったなら、良いです。これからは気をつけて下さいね。」
若干周りの人達が引いている気がしたけど、気にしない。
そんなこともありつつ、ようやくお祖父様のお屋敷に着いた。
ランペイル領のお屋敷より小さいけれど、白い壁のお屋敷には綺麗な花が所々に咲いている。気候が合うのかしら?椰子の木のような庭木に、あの赤いのはハイビスカス?白いのはプルメリアかしら?まるでハワイね……。
「よく来たなぁ〜。待っておったぞ。」
ウィルがリンジーと共に玄関ポーチで手を振っている。
馬車寄せに止まった瞬間に、馬車からお祖父様にダイブする。驚いたがなんなく私を受け止めるお祖父様。
「わっははは、元気だったかジョアン。」
「はい、お祖父様もお元気そうで。」
「ジョアンちゃん、元気なのは良いけど危ないでしょ?後でお話しましょうね。」
「………はい。」
早速、お祖母様に怒られてしまった。
「お祖父様、お祖母様、お久しぶりです。お元気でしたか?」
ノエル兄様が挨拶をする。
「おう、ノエルもジーンも変わりないか?」
「はい。しばらく宜しくお願いします。」
「まずは、中に入りましょう。」
お祖母様に促されて、屋敷の中に入る。
玄関ホールが明るい。上を見ると真上に大きな天窓があり光がさしている。内装も白壁を基準として家具は赤褐色の木材の物が多い。
「「「いらっしゃいませ、お坊ちゃま、お嬢様。」」」
こちらの使用人たちが出迎えてくれた。
「私はこちらで家令を勤めております、セバスチャンと申します。宜しくお願い致します。」
わぁ〜、やっぱり執事さん=セバスチャンよ。しっくりくるわ〜。しかもダンディーな人ねぇ〜。
「私は、メイド長のロッテンマイヤーと申します。何かございましたら何なりとお申し付け下さい。」
ロッテンマイヤー……最恐のメイドじゃない?アルプスの女の子に厳しい感じの?こちらのロッテンマイヤーさんも厳しいかしら?見た感じ優しそうだけどねぇ。
そんな事を考えていると、ナンシーが側に寄ってジョアンに囁く。
「お嬢様、私の両親です。」
「え?」
「ですから、セバスチャンとロッテンマイヤーが私の両親です。」
「えーー!?そうなの?……いつもナンシーにお世話になっております!!ジョアンと申します。」
いきなり頭を下げて挨拶をするジョアンに、セバスチャンとロッテンマイヤーは困惑している。
「すみません。ほら、ジョアン頭上げて。みんな困惑してるから。」
と、ノエル兄様に言われる。
「こちらこそ、ナンシーの家族だけではなく、ケイト夫婦までお世話なっているそうで…ありがとうございます。」
セバスチャンがお礼を言うけど、私が助けられてる方が多いのに。
使用人たちとの挨拶が終わり、リビングに通される。
ナンシーたちチーム使用人は荷物の整理に客室に向かった。チーム私兵団はお祖父様の所の私兵団に挨拶に行った。
「わぁ〜、素敵なリビング!こっちは、ウッドデッキまであるー!!」
リビングの大きな窓を開けると、そのままウッドデッキに出られるようになっていた。ウッドデッキには籐素材で作られたソファとテーブルがあった。
「ジョアンちゃーん、まずはお茶にしましょう。」
「はーい。」
お祖母様に呼ばれて、リビングに戻る。
「スタンリーとマーガレットはどうじゃ?息災か?そろそろ予定日じゃろ?」
「はい、一応予定では3週間後ぐらいです。」
お祖父様の質問にノエルが答える。
「でも、初産ではないから早まる可能性もあるわよね?」
「そうなの?」
お祖母様が不安を口にする。ジーンは不思議そうに聞く。
「そうですねぇ。経産婦だとそうかもしれないです。私の産まれた時はどうでした?」
「ジョアンちゃんの時は5日早かったわ。」
「だと、今回は1週間前ぐらいかもですねぇ。」
「そうねぇ〜。」
お祖母様と私が話しているのを、不思議そうに見るノエル兄様とジーン兄様。
「ねぇー、なんで2人はそんなことわかんの?」
「「経験上。」」
ジーン兄様にお祖母様と同時に答える。
「えっ!?ジョアン?あっ、前世の。なんだそういう事。」
ふふふっとお祖母様と顔を見合わせて笑う。お祖父様とノエル兄様は苦笑いだ。
夕食は、ファンタズモでよく食べると言う魚料理が中心だった。アクアパッツァ、アヒージョ、ソテー、ムニエル、ポワレなど。海が近いから魚が美味しい。
デザートのフルーツは、温暖な気候だからマンゴウ(マンゴー)やスイッカ(スイカ)が有名らしい。
どれも美味しかった。
でも、私は刺身が食べたいなぁ〜。




