108.ランペイル家 No.1
作業小屋から厨房へ向かう。
「はいはい、ちょいと邪魔するよー。」
厨房の扉を開けて、声を掛ける。
「くくくっ、お嬢、ばーさんみたいな、挨拶だな。」
「ふふふっ、どうしたんですかぁー?」
と、エイブさんに笑われ、アニーが聞く。
「あれ?アーサーとベンは?」
「休憩中だが、何か用だったのか?」
「うん、今度孤児院のお友達が来るから、その時に冒険者の話をしてもらいたいの。だから、そのお願いに来た。」
「冒険者の話?何でまた。」
「孤児院のお友達が冒険者になりたいんだって。私も興味あるし、ちゃんと聞いたことなかったから。」
「なるほどな。あいつらなら、たぶん演習場じゃねーかな?打ち合いするって言ってたから。」
「わかった。行ってみる〜。」
そう言って、厨房を出て辺りをキョロキョロ見回す。
よし!誰もいない…演習場の隅、演習場の隅…【テレポート】
シュン…。
うん、よし!今回は大丈夫だった。アーサーとベンは……あっ、いた。
うわぁ〜凄い気迫だわ。あんなに真剣な2人見たことないわ…。
「くっ。あっ、ヤバい!!」
ベンがアーサーから弾いた模擬戦用の剣が私の方に向かって弾き飛ばされた。それを私は、柄を蹴り飛ばしてキャッチする。
うっわ。凄くない?私。
自然に身体が動いたわ…。2人が驚いているけど、私が1番驚きよ。
「ジョアンちゃん、本当にゴメン。大丈夫!?」
アーサーとベンが駆け寄ってくる。
「う、うん、なんとか。あっ…はい、どーぞ。」
「でも、凄いっすね。まさか、模擬刀を蹴り飛ばしてキャッチするなんて。」
「あぁ、さすが大奥様に鍛えてもらっただけあるな。」
ベンは驚き、アーサーはお祖母様の指導の成果に納得をしている。
あっ、そうか。お祖母様の鍛練のお陰か。
きっと、あれね。お祖母様が小石を投げるのを避けるやつ。当たると痛いのになかなかのスピードで投げるから、避けるのに必死なのよねぇ。でも、きっとそのお陰で反射神経と動体視力が鍛えられたのねぇ〜。
「ところで、どうしたんすか?こんな所で。」
と、ベンが聞く。
「あっ、アーサーとベンにお願いがあって。今度、孤児院のお友達が来るんだけど、お友達が冒険者になりたいんだって。だから、来た時に2人に冒険者について教えてもらいたいの。」
「冒険者について?まぁ、いいですけど。意外と地味だよ?」
と、アーサー。
「うん、だって面白い話だけ聞いて実際冒険者になったら地味だからって辞めるより、最初から聞いておいた方がいいんじゃない?」
「まぁー確かに。うん、いいっすよ。」
と、ベンが言うとアーサーも頷く。
「ありがとう。でも、2人ともやっぱりランクAなだけあって、凄い気迫だったね。」
そう言うと、2人は照れたように頭を掻く。
「いやーまだまだっすよ。」
と、ベン。
「そうかな?でも、料理人になっても鍛練怠らないのはなんで?」
「あれ?知らないっすか?この屋敷の人間は全員、鍛練欠かしてないっすよ?」
「えっ?全員って、使用人全員?」
「そうだよ。まぁ、みんな鍛練するのが早朝か仕事終わってからだから。ジョアンちゃんは寝てる時間だから知らないのかもね。」
「へ、へぇ〜。そうなんだ。」
ランペイル家の使用人って凄いわ…。
まさか、トム爺さんもなんて言わないわよね?
この時、私は知らなかったが、トム爺さんが元ランクSの腕利きの冒険者で、今は庭師をしながら屋敷の武器の管理人だった。そしてトム爺さんと一緒にお茶をする作業小屋に隠し扉があり、その中には多種多様な武器、暗器が揃っている。トム爺さんが日々手入れを行なっている。その妻のザーラさんも、トム爺さんとペアを組んでいた元ランクSの冒険者で、今は花屋を営みながら主に街の情報を集めお父様に報告している《影》だった。
その2人の孫マイクは庭師をしながら現役のランクAの冒険者で、主に冒険者達からの情報を集めている《影》としての一面もある。ちなみにマイクの両親は、タイキさんと同じように商人として各地を渡り歩く《影》として、諜報活動をしている。
その他の侍女や従僕達も、元冒険者や現役冒険者など武力に特化した者が多く、表の顔と裏の顔を持ち合わせている。
「じゃあ、ランペイル家だと誰が1番強いのかな?」
ふとした疑問を投げかけてみる。
「ん〜状況にもよるだろうけど、魔術攻撃なら奥様かな?武力攻撃なら旦那様……あっ、いやナンシーさんかも。」
と、アーサー。
「武力攻撃でお父様よりナンシーなの?グレイとかエイブさんでもなく?」
「料理長もナンシーさんも身体強化のスキル持ってるけど、ナンシーさんの方が身軽だから。たぶん最強はナンシーさんっすね。」
と、ベン。
「へぇ〜。お母様もナンシーもーーー」
「あーー違う。最強は大奥様っす!」
私の言葉を止めてベンは言う。
「あー確かに。大奥様がランペイル家の中で1番だね。」
アーサーも同意する。
「そんなに強いんだ、お祖母様。王妃様付き近衛隊だったのは知ってるけど。」
「それだけじゃないっすよ。大奥様、ランペイルギルドのランクSSっすよ。」
「えっ!?ランクSS?」
「うん。冒険者ギルドの中でもランペイルギルドは他の領のギルドよりレベルが高いんだけど、その中のランクSSだからね。俺たちも他の領のギルドでランクSだったけど、ランペイルギルドでランクA。だから、ヤバいレベルだよ。」
「おふっ、マジか…。」
「「大マジ!!」」
お祖母様、さすがです!!
どこまでも付いて行きます!!
あぁー私も早く冒険者登録したいなぁ。
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