040 推し、声優、アイドル
そこから私のモチベーションは急激に上昇した。
テストは今までとったことのない10番代に入り、小説もブックマークが15件増えてほくほく顔になったものである。
それもこれも、全部未来ちゃんがチケットをくれたおかげだ。
そして……12月24日。ついに未来ちゃんが出演するトークショーの当日となった!
「ついにか……!」
会場は多くのオタクたちで賑わっている。
もちろん未来ちゃんのファンだけでなく、他の声優さんや、中にはopを担当したアイドルのfelizさんのために集まっている人もいるようだ。
関係者席は通常の入り口とは違うようで、未来ちゃんからメッセージで場所を指定された。
「あ、文ちゃーん!」
「未来ちゃん!?」
本番前の未来ちゃんが目の前に!? 大丈夫なの!?
「おっ、この子が星ヶ丘の好きな子かー」
「星ヶ丘さんが呼びたかった子ね。にやにや」
「ちょっと先輩!?」
ひょええ……! 大人気声優さんたちだ!
もちろん1番の推しは未来ちゃんだけど、他の声優さんだって好きなことに変わりはない。
「あああああの、私みなさんの作品もたくさん見てます! 特に5年前のアニメとかすごくハマってましたし、写真集も買ってもらったりして……」
「あははははは! アタシらのこと褒めるなよ。1人むくれている奴がいるからさ」
「え?」
未来ちゃんの方を見ると確かに頬を膨らませていた。
嫉妬深い星ヶ丘未来ちゃん! 略してSBHM。
「おはようございまーす……ってあれ? ごめんなさい、あなたのこと知らないんですけど……」
「ふぇ、felizの宮野明日香さん!?」
op担当のアイドルまで来てしまった! もうこれ以上何が来ても驚くことはないだろう。
「明日香がちゃんと出演者を確認していないのが悪いね」
「何だよー、じゃあ薫はこの子を知ってるのかよー」
「いや、知らないが」
「何なんだお前は!」
felizは日本一のアイドルに輝きながら、アニメのopも快く歌ってくれる聖人アイドルだ。その上男性スキャンダルとは一切無縁。なぜならこの明日香さんと薫さんがそもそもお付き合いしているから!
「あ、あの! ICL3連覇おめでとうございます! 応援しています」
「ありがとう。ただ……君が応援するべきは別の人じゃないかな?」
「え?」
明日香さんのパートナー、薫さんはすべてを見通すような、優れた観察眼を持つ。
つまり……未来ちゃんの嫉妬は深まっていることを意味していた。
「もう文ちゃんにチケットなんてあげないもん!」
「ご、ごめんって〜〜!」
こればっかりはオタクの性なの! 許してほしい!!!
ちょっと雲行き怪しいイベント開幕になった。
このfelizが活躍する
「犬猿アイドル百合営業中」公開中です!
私の過去作です! ぜひお気軽に読んでみてください♪




