024 推しに迫るギャル
遠足の班は3人から!? つまり私と未来ちゃんの他に、最低もう1人誰かを入れなきゃいけないってこと!?
先生が説明を終えてホームルームが終わる頃には私は脱力していた。ど、どうしよう……
「ねぇ文ちゃん、もう1人どうしようか?」
「えっと……その……」
入学してから半年経ったものの、未来ちゃん以外のクラスメイトとはろくに話したこともない。そんな私がどうしようと言うのか。
「未来ちゃんはクラスで仲良くなった人はいないの?」
「うーーん……話すことはできるけど、仲良くなった人はあんまり?」
ぐっ……間違いなく私が未来ちゃんを独占しているせいだ。日頃あれだけアニメの独占配信に怒っているのに、その私がまさか独占する側になるなんて!
本来なら未来ちゃんはクラスの中心人物になって然るべき存在なんだよなぁ……。
「ねぇ星ヶ丘、ちょっといい?」
「えっ?」
未来ちゃんの机に近づいてきたのはクラスの金髪ギャルだった。未来ちゃんも金髪だけど、少しオレンジ色寄りなのに対してこの人は白色寄りの金髪だ。あとデコを丸出ししている。
「あーごめん、ウチは八田夕美」
「名前覚えられていなくてごめんね、八田さん」
「いいって。初絡みだし」
ギャルが未来ちゃんに何の用だ? なんかすごい気になるんだけど。
「てか隣の人ずっと睨んでるんだけど。ウケる」
「え? ……文ちゃん?」
「あ、ご、ごめんなさい……気になって」
「ま別にいいけど。てか名前なんだっけ」
「と、東山文です」
「あーね」
聞いたこともないって顔しただろ!
……まぁいいや、存在感ないのは分かってるし。
「それで八田さんの用事は?」
「あぁ、星ヶ丘にウチらの班に入ってもらいたいなーって」
やっぱりか! このタイミングで未来ちゃんに話しかけるといったらそれしかないもんね!
くっ……脳が破壊されかけている! 耐えろ私!
「私は文ちゃんと班を組んでいるんだけど、それでいいかな?」
「おけおけ。モモいいっしょ?」
「う、うん……」
「うわっ!? え……いつからそこに!?」
ギャルの八田さんの足に隠れるように、黒髪ツインハーフの女の子が座っていた。私が言えたことじゃないけど存在感ないな!
「えっと……」
「高畑百花」
「高畑さんね。他には?」
「ウチらは2人だけ」
何から何まで意外だな。ギャルっぽいし、もっと大勢とつるんでいると思ったけどそうでもないし、なんか暗い子と一緒にいる。不思議な2人だ。
「文ちゃんがいいなら私は歓迎だよ!」
「あ、うん。いいと思います」
そう言う以外にないよね〜。本当はギャルはしんどいけど、まぁ何人もいるグループにくっつけられるよりはマシだ。
八田さんは未来ちゃんとおしゃべりして、高畑さんは無言でスマホをいじっている。対照的な2人だけど、元から組んでるということは仲がいいのだろう。
「えっと……高畑さん?」
「……何?」
「いやその……熱心にスマホいじって何してるのかな〜って」
「別に」
「そうですか」
「……」
「……」
会話続かねー!
ゲームでもしててくれたら少しは会話できるかもだけど、八田さんと仲良いということはどうせSNSとかそっち系だろう。
それ以上私が言葉を発することはなく、1限の予鈴がなった。
「んじゃ星ヶ丘と東山、昼にまた来るからよろ〜」
げっ! 昼一緒に食べるの!?
ご飯が喉を通るか心配になってきたんだけど。




