宇宙
地球から宇宙へと旅立って50年。ようやく地球へと帰還することができる。
我々は進歩したが、それぞれの国に別れて主義や思想、政治や宗教の枷があるために、偽りの平和しか結ぶことができない。
私の任務とは、それだ。『真の平和』を探す旅。宇宙のどこかにいるであろう、知的生命体に出会い、我々より進歩しているであろう、そのものたちにやり方を聞く。
漠然とした任務であったが、私はそれをクリアすることができた。友好的な知的生命体に出会うことが出来たのだ。たしかに、彼らと同じ道を歩むなら、我々人類も永遠の平和を築くことが出来るに違いない。
故郷への帰り道。冷凍睡眠から目が覚める。
目の前には青い地球があった。帰ってきたのだ。なんとも懐かしい。
その時だった。
青い地球は真っ赤に染まり、ポツポツと各地で核爆発が起きているのが分かった。
あと一歩。あと一歩で──。
私は間に合わなかった。
目的地を失った私は、宇宙船を自動操縦に変えて、深い深い冷凍睡眠につくことにした。
もう起きる必要などない。




