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第26話 最終的な現在の「四姉弟」と林忠崇の関係2

 そして、野村雄は、それなりに父の言葉に抗いましたが、篠田りつが既に別の男性と付き合っている、との嘘話まで野村家の家族が吹き込んだことで、篠田りつと別れて、岸忠子との結婚を決意します。

 それに、冷静に考える程、岸忠子と結婚する方が、野村雄にしてみれば、将来的には有利な筈でした。

 でも。


 そんな事情は、篠田りつにしてみれば、寝耳に水としか、言いようのない話です。

 更に、自分が浮気女の汚名まで被せられた訳で、野村雄から事実上の婚約破棄を告げられた時点で、完全に逆上する事態にまで至りました。

 それで。


 私を抱いてから別れろ、と篠田りつは、半ば野村雄を脅迫し、野村雄にも、少なからず篠田りつに未練があったので、篠田りつを野村雄は抱くことになりました。

 もっとも。


 篠田りつの方が、完全に上手の考えをしていました。

 今の時期に、私と野村雄が関係を持てば、自分が極めて妊娠する可能性が高い。

 そして、自分が妊娠出産して、野村家に怒鳴り込めば、野村家は、野村雄と自分との結婚を認めざるを得なくなるだろう。

 また、岸忠子も掠奪女の汚名を被るよりは、ということで、野村雄と離婚するだろう。

 そう考えたのです。


 もっとも。

 そんなことになったら、野村雄自身も海兵隊を辞めざるを得なくなり、再就職にも苦労することになる、というのが、冷静になればわかりそうなものですが。

 完全に恋に盲目になっていた、その時の篠田りつには分からない話でした。

 そして、篠田(土方)千恵子が産まれたのです。


 更に、篠田りつの存在を隠し通して、野村雄と岸忠子は結婚して、10日余りを過ごして、野村雄は欧州へと赴き、また、岸忠子は、岸総司を妊娠、出産することになります。

 ですが。


 実際に10日余りを共に過ごしてみて、野村雄は篠田りつに未練があったこともあったのか、岸忠子の性格等に難を感じてしまい、このまま結婚生活を営めるだろうか、と想いつつ、欧州に赴くのです。

 そして、野村雄が欧州に赴いて早々に直面したのが、ヴェルダン要塞攻防戦です。

 同期生や先輩が、そして部下達が、相次いで戦死していく、という現実に直面して。

 自分も、どうせ日本に生きて還れない、と野村雄が想っているところに。

 当時、街娼だったジャンヌ・ダヴーに声を掛けられ、野村雄は一目ぼれしてしまいます。


 そして、もし、生き延びられたら、ジャンヌ・ダヴーの下へ、と野村雄は思い込むようになります。

 日本に生きて還っても、岸忠子と温かな家庭生活を営めるか不安だし、篠田りつも色々と言ってくるだろう、それを想えば、フランスに自分がいた方が、そして、ジャンヌ・ダヴーと暮らせたら、と思うのです。

 ですが、そのことを知った義父の岸三郎提督に、野村雄は厳しく訓戒され、ジャンヌ・ダヴーを街娼から足抜けさせる代償として、ジャンヌ・ダヴーとの別れを強制されることになりました。

 その後、野村雄は、ヴェルダン要塞攻防戦で戦死することになります。

 また、ジャンヌ・ダヴーは、アラン・ダヴーを妊娠、出産することになります。


 そして、野村雄が戦死する直前、篠田りつは、(自分の計画通り)千恵子を妊娠して、臨月になったことから、自らの両親に(半ば演技で)泣きついて、その上で野村家に両親と共に怒鳴り込んでいました。

 野村雄に騙されたの、将来、結婚するのだから、と何回も抱かれていて、それで、妊娠してしまったの、と(本当は1回しか抱かれていなかったのに)泣いて、それを周囲にも訴えたのです。

 篠田りつと野村雄が幼馴染みの恋人だったのは、同級生らにしてみれば、周知の事実だったので、簗瀬真琴らは、篠田りつの話が本当だとして激怒し、野村家を攻撃することになりました。 

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