第一章27 《最初の友達》
ゆっくりと時計の針がコツコツ進んでいて、教室内の空気が少し変わり始めていた。 みんながそわそわして、ちょくちょく時間を見ている。
そして――、
キーンコーンカーンコーン
―六時間目終了―
「よし! 今日はここまで、んじゃ! 俺は娘を迎えに来るので、さらばだ、諸君!」
みんながまだため息ひとつすらつかず、永村先生が真っ先に教室から飛び出した。
――はやっ!
「あ! 言い忘れたことがある、雪月花とナイト、今日の掃除当番はお前たちだ。 くれぐれも忘れないように、それじゃ!」
飛び出した直後、先生は顔だけを教室に入って、珍しく先生っぽいことを言った。 そして再び消えた。
――そう言えば、確かに今日は俺と零香の掃除当番だ。 黒板の隅っこに――、「そうじ:雪月花/ナイト」っと書かられている。
「とんだけ娘を可愛がってる?! あの人」
健次が先に先生の態度、というより、娘に対する気持ちをツッコンだ。
「そんなことを言うな、あれは家族を大切にしてる証だ」
しかし俺は健次のペースにのらない、敢えて逆のことを言った。 なぜなら、先生の気持ちわからないでもないから。
「そうかなーそれより、今日もバイトなんだろ?」
いつも通り、健次が放課後になると、俺にバイトがないかどうかを聞く。
「ああ」
「俺は今日のバイトがない、だから俺、家に帰る! じゃねー」
健次が言葉を残し――、
――今日、あいつバイトがないのかー、てかはやっ!
いつの間にか、健次のやろうの姿が消えた。
「あのー、エリヴィラちゃん?」
そして俺の左後ろから、零香の声が聞こえ、彼女がエリヴィラを呼んでた。
「ん?」
対するエリヴィラは、平然な顔で首を後ろに下げて、零香を見つめていた。
でも俺はわかっていた、なぜ零香がエリヴィラを呼んだ理由。 それは――、
「授業も終わったし・・・そろそろ、私の上から、降りてこない?」
そう! 授業中に、エリヴィラはずーと零香のふとももの上に座っていたので、「そろそろ麻痺したのかなー」と思ったんだ。
「あ、ごめんなさい」
彼女はすぐに謝って、零香の上から降りてきて。 しかし零香のやつ、少し自分の太ももを触ったら――、
「あぁ~」
ぬくぬくな温かさに癒された表情した。
――わかるーそれ、まだ冷えるこの時期に、エリヴィラが俺たちくれた、名付けて《天然温もり》!
「おーい、まだ俺がいるぞー」
俺は先に自分の存在を暴いて、零香がどんな顔をするのか、心のどこかが楽しみしていた。 でも――、
――たぶん、零香のやつ、あまりにも気持ちよくて、まわりのことを意識していない・・・まぁ、教室内は俺、零香、そしてエリヴィラ三人にしかいない。
「はっ! 私、もしかして・・・意識が飛んでた?」
少し寝ぼけた顔で、驚く表情をし、まわりをキョロキョロと見回っていた。
「意識が飛んでいたというより、自分の世界に入り込んでいた感じでした。 でもその分、いいモノを見れたし」
「パーパ、いいモノって?」
俺の遠回りの言い方を理解できなかったエリヴィラは、また好奇心な顔、キラキラした眼差しで俺を見ている。
「ん? 詩狼、何の話だ? いいモノってなんのこと?」
しかし俺がエリヴィラに教えようとしていた所、零香が先に質問をした。
「なんでもない、こっちの話だ」
「胡散臭い」
――やっぱ誤魔化せないのかー。
「そ、そんなことより、みんなはもう帰ったし、そろそろ掃除しないか? 今日、バイトがあるので、急がないと・・・」
「ん・・・それもそうだ。 エリヴィラちゃん、一緒にお掃除しよう」
なんとか零香を掃除の方へ集中させた・・・
「うん! 母さんとパーパ、一緒にお掃除!」
嬉しそうなエリヴィラは、両手を大きく広げて、喜びの声で喋った。
――本当にこの子、元気がいいなー。
そして俺と零香、自分のそれぞれの机を片付いた後、零香は教室の出口にあるクローゼットから掃除道具を持ち出し、その中から箒を俺に渡した。
「おう、thank you」
「パーパ、私も掃除してもいいですか?」
まだ掃除すら始めてもいないうちに、エリヴィラは俺の制服を軽く引っ張ってた。
「ん? 掃除? また今度にしよう、今日は俺と母さんがやるから。 エリヴィラは母さんに聞いてみれば? たぶん零香は喜ぶと思う」
さすがに子供に手伝うのがちょっと・・・でも零香のやつなら、ひょっとしたら――、
「本当?! じゃー母さんに聞いてみる! 母さん! お掃除、手伝いたい!」
――って、おえぇぇ!! なに?! 今の動き!
俺と零香の距離は約六メートル余り、その上に机と椅子の障害物。 しかしエリヴィラはそれを一秒もかからずに、零香のそばにたどり着いた・・・まばたきの一瞬で。
俺はまだ状況を呑み込めず、エリヴィラと零香の会話が時計の針のように、進んでいる。
「あら、お掃除が手伝いたい? いいよ、なら黒板をきれいにしてくれる?」
「Да!」
――親子は仲良くしていて、それなのに俺は・・・
まだボーっとして、アホな面で同じ場所、同じ視線でエリヴィラがいるはず場所を見ていた。
「詩狼~、はやく掃除しないとバイトに遅れるわよ? それでもいいのか?」
「はっ! すまん、ちょっと意識が月の上に乗っていた・・・」
――いかんいかん、はやく掃除を終わらせてバイトに行かないと。
「大丈夫? 少し座ったら?」
心配になった零香は、俺に少し休めと提案した。
――零香は相変わらず優しいだね・・・昨日の朝を除けば・・・
「大、丈夫! さぁ、はやく済ますぞ!」
「おおぉぉう!!!」
俺は自分に気合いの言葉を言ったまもなく、エリヴィラが黒板から大きな声で叫んで、右手を強く上げていた。
そしてその後、時間かからず掃除を終わった。
「じゃ、エリヴィラ、行こう」
掃除道具を元の場所に戻した後、俺はカバンを取って、エリヴィラに声をかけた。
「どこへですか?」
しかしエリヴィラは、ボケ顔で俺を見てた。
――あれ?
「あ、そう言えば、まだお前に話していなかった。 これから、今朝にも行った喫茶店に戻るの」
「あ~、紗夜さんのお店!」
エリヴィラはすぐにわかった。
――偉いぞー。
「そう! 俺たちは――」
「『俺たちはBrown Hatと言う店に行くのさ』っと言いたいんだろ?」
「なっ!」
俺が言おうとしたことが、零香のやつに先に言っちゃった・・・
――こらっ! 俺のセリフを取るな!
「あ、詩狼」
――話題をすり替えるな!
「な、なに?」
「詩狼は毎日バイトしてるの?」
――ハァー? なにかと思ったら、案外普通の質問された。 零香のやつにしては・・・
「日曜日以外はそこでバイトしてる」
――別に疲れないし、本当は日曜日もバイトしたいが・・・絢さんに止められた。 「思春期の男は日曜日くらい、ゆっくりと休んでなさい!」っと言われたので、断る理由も見つからなかった。
「なるほどー母さん! 一緒に行きますよね?」
でも零香の先に、エリヴィラがうなずいて、零香に誘った。
「え?」
俺は激しく動揺してた。
「はい?」
そして零香は俺と同様、そして顔は唖然・・・
「違うですか?」
そんな当たり前な顔で見られても・・・
「ええと、エリヴィラちゃん。 かあさん、じゃなくて、私はまだ学校のお仕事があるの。 だから今日は一緒に帰れないよ」
零香はあと少しでミスを犯す寸前で、彼女の一人称である「私」を「母さん」と呼ぼうした瞬間を切り替わった。
――それにしても、丁寧に言ったなーさっきのセリフ、いかにも親が子供に言うセリフだ。 まぁー、きっと無意識で話していただろ。
「ええ~、一緒に行かないの? うん・・・分かった」
エリヴィラがションボリな顔で大人しく零香のことを聞いてくれたみたい。
――意外だ・・・てっきり拗ねると思ったが・・・ハハハ、零香が忙しいを知って、甘えるのをやめたのかー。 偉い!
「大丈夫よ、明日の朝は会えるので、それまでは我慢ね」
「あ~、うん!」
母と娘が仲良くお互いの手を握って、一緒に笑った。
「んじゃ! 行こうか、エリヴィラ」
俺はエリヴィラの頭を撫でて、そして彼女の手をつかんだ。
「詩狼、ちゃんとこの子を守れよ!」
そしていきなり零香が人差し指で俺の鼻に指して、エリヴィラを守れ! っと命じられた。 てか――、
――当たり前だろ? エリヴィラは俺の娘だ!
「ハイ!」
心の声でツッコンだ後、俺は義務感を感じるような警備員みたいに、敬礼なポーズ取った。
「よろし! じゃー私、生徒会に戻るね。 また明日、エリヴィラちゃん」
「うん、またあした~」
こうして零香はカバンを持って、俺たちに手を振ってながら教室から出た。
――俺もそろそろ準備しよう・・・
「じゃーエリヴィラ、俺たちも行きましょう!」
「うん、パーパ!」
俺とエリヴィラは零香の後を追って、教室から出た。 扉を閉めて、途中までは一緒に歩いてて、一階に下りた直後、零香は俺たちと別れ、生徒会室へ向かった。
そして俺が靴箱から自分の靴と学校のスリッパをすり替え、ゆっくりと靴を履いてる間、他のクラスの生徒や先生たちと別れて、俺たちも学校から歩き出した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
黒澤さんの店に着くまで、あと10分。
夕日が綺麗に見える、そして他の学校の生徒とすれ違っていた。 当然、みんなはエリヴィラを見詰めていた、夕日のせいなのか・・・彼女の髪がより一層に輝いている。
――反射のせいだろ、まぁーいいけど。
そして通りかかる人々の視線を浴びてながら、進行していた俺とエリヴィラは、あと少しで店に着くと思ったっら、前方に見覚えの背中が見える。 小学生の後ろ姿だった。
「あれは・・・?」
「紗夜さんだ!」
俺はまだ誰のかが認識していない内に、エリヴィラが先に紗夜ちゃんの背中をはっきりと見えた。
――やっぱいい目をしてるな、この子。
そして俺たちは少しテンポを上げ、すぐに紗夜ちゃんの近くまでに着いた。 しかし――、
「ど、どうしたんだ? 紗夜ちゃん、その足・・・」
紗夜ちゃんの足の様子がおかしい。 歩き方も、少し不安定だ。
「あ、お兄ちゃん、こんにちは。 実は学校に足をくじいてしまったので・・・」
紗夜ちゃんが笑った。 でもその笑顔は少し無理している笑顔であった、笑顔というより、苦笑だ。 つまり、苦笑い。
そしてなにより、紗夜ちゃんの汗の量は尋常じゃない。
――足をくじいて、そしてそのまま家まで歩いていたのか?! 無茶な子だ!
「それ、はやく乗れ」
俺は紗夜ちゃんの前、彼女に背を向けてしゃがんだ。
「え?」
しかし紗夜ちゃんは少し驚いてたみたい。
紗夜ちゃん、フラフラだ。 立ってるのもやっとなんだろ・・・だから俺は、彼女をおんぶすると決めた。
「はやく、このまま店に連れてやるよ」
「え? いいの?」
紗夜ちゃん、驚きの表情で俺を見た。
「今さらなにを言う? いいと決まってるじゃないか、さー」
「じゃーお言葉に甘えて・・・」
紗夜ちゃんは少し微笑んだ。 ほっぺたも少しだけ、赤くなっていた。
「うん、それでいい」
そして紗夜ちゃんは素直に俺の背中に乗った。
――いい子だ。
しかし俺が紗夜ちゃんをおんぶしたら、後ろに睨まれている感覚がビリビリと伝わっている。
「うん? どうした、エリヴィラ。 そんなに顔を膨らんで」
エリヴィラはなぜか顔を膨らんでて、不満な表情で俺を睨んでた。
「ん!! 私もおんぶされたいです!」
――ニャに? ダメ決まっているじゃぇか。 それに、どうやっておんぶするの?
「ダメだ、今は緊急事態なんだ」
俺は厳しくなって、エリヴィラにダメと言った。
「(しょぼん)分かった・・・」
そして予想通り、エリヴィラがしょんぼりな顔をして、頭を少し下げた。
――なんか悪いな、エリヴィラ。 次はお前をおんぶするから、今日は我慢してね。
「それより、紗夜ちゃん、ちゃんと捕まえよ?」
もし転んで、さらにケガを増やしたら大変だ。
「うん!」
紗夜ちゃんが返事をした後、彼女の両手が俺の肩を強くつかんだ。
「よーし! 行こう!」
こうして俺は紗夜ちゃんをおんぶして、エリヴィラが俺の後ろに付き、黒澤家の店へ走ったが――、
「よ、よーし。 つ、着いたー」
俺が全力疾走した直後、息をできず、ただ店の入り口で腰を少しおろして、両手を膝の上にのせていた。 そばに、元気そうなエリヴィラと俺を心配している紗夜がいた。
――つ、疲れたーここ最近、なんだか自分が運動不足に気づいた・・・し、しんどい。
「え、エリヴィラ・・・ドアを、開けろ」
まだ荒い息をしている俺は、先にエリヴィラに店のドアを開けろっと伝えた。
――喉が渇いた・・・水、飲みてぇ。
「分かった」
エリヴィラは店のドアを開け、その次に俺たちは店に入った。
そしてそこに、今朝と同じ、絢さんがそこにいた。
「いらっしゃいませー! あ、お帰り詩狼くん。 あら、どうしたの? 紗夜ちゃん」
店の中は客の一人もいない、いたのはカウンターに立っていた、絢さん一人でした。
絢さんは紗夜ちゃんがなるべく挫いた足を歩けないよう、俺の手を掴んでいたことを気づき、カウンターから出て、俺たちに近づいてきた。
「大丈夫、ママ。 ただ足をくじいただけです・・・家の帰り道に、お兄ちゃんと偶然に出会って、ここまでおぶされたんです。 えへへへへ・・・」
紗夜ちゃんが絢さんに心配を掛けないよう、自分なりに頑張っていた。
「そう・・・ありがとう、詩狼くん。 娘が迷惑を掛けてしまって・・・」
絢さんが俺に謝って、頭を下げようとした瞬間、俺は彼女を止めた。
「謝らないでください、俺は当然のことをしただけです。 それに、紗夜ちゃんは俺の妹みたいな存在だ。 兄が妹を助けるのが、当然のことじゃないですか?」
俺は絢さんに自分のココロが思っていたことを全部話して、そしてそれを聞いた絢さんはなぜか笑った。
「あは、うふふふふ・・・ありがとう、詩狼くん。 これからも、紗夜ちゃんのこと、お願いね。 うふっ」
「はい!」
――なんか絢さんが言った言葉に裏を感じる・・・気のせいか。
それから、俺は紗夜ちゃんを店の裏に、彼女の部屋まで連れていた。 その後、絢さんに冷えピタと包帯を持って、俺に渡した。
そして俺は優しくに紗夜ちゃんの腫れている足の関節部分を冷やして、その上で足を関節の痛くない場所に固定し、それで包帯で巻く。
「これ、よしっと! これなら、はやく回復するだろ」
俺は包帯を巻いた後、それを俺の横に置き、そのまま床の上に正座した。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
紗夜ちゃんは満面笑顔で俺にお礼を言った。
「どういたしまして。 俺はそろそろ店の手伝いをするから、もしなにか困ったことがあったら、エリヴィラに言え」
今日が色々あって、なんか少し遅くなったので、はやく店の手伝いをしないと。 さっきから客が入る音も鳴ってるし・・・
「はい! 頑張ってください」
「いってらっしゃい、パーパ。 お仕事、頑張ってください!」
ふたりがガッツポーズで俺に応援してくれた。
そして俺は微笑んで部屋の扉を閉め、下の階に降り。 店の制服に着替えをして、店の仕事を始めてた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
パーパが紗夜さんの部屋から出た後、私たち、ふたりきりになった。
そして静かになった、沈黙がまだ10秒を経過した後――、
「エリヴィラちゃん、ひとつ、聞いてもいい?」
急に紗夜さんが私を呼んでたので、びっくりして、思わず体がビクッとした。
「は、はい。 なんでしょう?」
「まずその敬語、なんとかならないの?」
――え? けい・・・ご?
予想外の質問で、私が戸惑ってしまった。
「私、なにかいけないことをやらかしてしまったのでしょうか?」
もしそうだとしたら、すぐに――、
「いえ・・・ただ、女の子同士、それも年齢も一歳の差。 そんなに堅苦しい喋り方しなくてもいいーなんて、と思ったんだ」
――え?
また紗夜さんが予想外の返答で、私は反応できなかった。
「どうして、ですか?」
そしてなんとか踏ん張って、紗夜さんに疑問の解決法を求めたが――、
「どうしてって・・・私たち友達だろ?」
まさに雷が降り注げたよう、紗夜さんの言葉に、強烈なслово(単語)が私の耳に響いた。
――え? 紗夜さんが今、なんて言った?
あまりにも強くて、Импакт(インパクト)な言葉だったので、私としたことが、動揺してしまい、肝心な部分を聞き取れなかった。
「えっと・・・よく聞こえなかったので、もう一度言ってくれませんか?」
「だ・か・ら! 私たちは友達だっときいてるの」
トモダチ。 そっか――、
――気のせいじゃなかったー。
「友達・・・私と紗夜さんが、友達・・・」
私は自分の両手を見て、紗夜さんの顔を見て、今でも信じられない・・・
――本当にいいのですか? 本当に・・・?
「そう! と・も・だ・ち! だから、友達は敬語がいらないんだ!」
――そうか・・・私と紗夜さん、いや、紗夜と友達。 あれ・・・? ど、どうして?
「なっ?! どうして泣いてるの? どこか痛いところがあるの?」
紗夜に、私たちは友達、と言われた直後、涙が勝手に出てしまい、溢れてきた。 心も奇妙な感じ、でもそれは悪い意味じゃない。
――暖かい。
「いえ・・・私にもわかりま、分からない。 ココロがぽかぽかして、嬉しいくて、涙が止まらないの・・・」
――私、初めて感じた。 友達呼ばれされたことがこんなにも嬉しいことだなんて・・・
「そ、そう? ならいいけど、エリヴィラちゃん。 これから、よろしくな!」
紗夜は笑って、私に手を伸ばした。
「うん! こちらこそよろしく、紗夜!」
私は涙を拭き、彼女の手を握った。 そして一緒に笑った。
――私の最初の友達、黒澤紗夜。 これからも、もっともっと友達がつくりたいなー。




