第一章24 《美味しいごはんを食べよう!》
この学校、私立、七紅高等学校は、豊島区のあたりにある新しく建造された高等学校。 設立したのは2002年、つまり十五年前だ。
そして今年の文化祭は十五周年になる予定。 この七紅高等学校の特徴は特になし、強いて言えば、ふたつの理由がある。 ひとつめはこの学校が建造された場所は少しだけ特別だ。 それは、坂だ。 約五百メートルの坂、ちょうどに結構混雑な十字路の東が学校へ行く坂で、九割の生徒はそこを通って登校するのだ。
ふたつ目の特徴はやっぱり女性の制服、かな。 男性は見た通り、学ランですが、そこ学ランに新たなデザインを追加した。 一年生、二年生、三年生の制服に色のラインで分けていた。 例えば、制服の上着、袖の部分のラインとか、肩まで伸びるラインとか、襟のラインとかも、等々。
一年生の学ランは青、サファイアの色。 二年生は緑、エメラルドの色。 そして三年生は紫、アメジストの色。 三つの色は宝石に関係する、これが創始者である学園長が決めたらしい。
そこで女性の制服も色のラインで分けている、普通の学校と違って、うちの学校の女子生徒の制服はまるでお嬢様学校の制服と似て、ドレスにも似てた。 色は白。 普通のドレスと違って、長袖で、ボタンらしきものがない、あるのは腰のよこにチャックがあって、首から足首あたりの長さ。 ドレスの他に、めっちゃ短い上着がある。 ジージャンみたいなモノ。
そして奇妙なデザインは、ドレスのスカート部分が膝の下におりると、前の部分のスカートは傾いて、後ろへ下がっていく。 もし普通の靴で登校したら、膝から足首まで肌が丸見え。 しかし対策は既にあった、学校から配った制服用のブーツであった。 確かブーツの名前は・・・編み上げ靴、だったっけ。
女子の学年は何色で区別してる話は、一年生は黄、アンバーの色。 二年生はピンク、クンツァイトの色。 三年生は赤、ルビーの色。
これも学園長の仕業らしい。 たしか・・・学園長がまだ七紅の女子生徒の制服のデザインに悩んでる時、とあるマンガにヒントをもらって、今の制服になったわけ。 その時、説明した後学園長に対する俺たちの反応は――、
「コスプレじゃねか!!」
でした。
――ちなみに宝石の名前は四月の入学式に、学園長のスピーチにいつも言ってた。 「男性の諸君! きみたちの制服は色で学年を分けている、新入生はサファイア、二年生に上がった生徒はエメラルド、受験を迎える三年生はアメジスト! そして女性の皆さん! 君たちの制服も色で学年で分けている。 新入生はアンバー、二年生はクンツァイト、そして三年生はルビー!」などなどと・・・
――っとまぁ、これがうちの学校の特徴だ。
そしてこれから俺が言うことはあんま興味を持たない話ですが、隣町が新しく高等学校が建造されたという噂を耳にした。 名前はたしか・・・「私立、虚九高等学校」だった・・・俺は最初――、
――曲高等学校? 曲? ミュージック?
てっきり音楽系の学校と思い込んだが、どうやらうちとの同じ、普通の学校だ。
――っといけない、説明が長引いてしまった! 本題にもどろ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
昼休みになると、この学校の活気が一気に上がる。 でもここにいる生徒はほとんど弁当派で、あんまり食堂へ行かない。 しかし、残った者は食堂に行って、そこで食べているのだ。
食堂イコール戦場。 この時間になると、みんなは先に『限定!! スーパーハイパーミラクルの焼きそばパン』を買うため必死に、全力で食堂に走っていくのだ。
まるで獲物を襲う猛獣、いや、怪物レベルだ・・・でも俺たちはそれを狙ってないから、こしてゆっくりと歩いていた。
ちなみにあの長いネーム、本当だよ? 食堂の看板メニューが書いている。
あれ? そう言えば、昔、健次のやつ、あの焼きそばパンを手に入れたことがあっただな・・・ でもいったいどうやって?
っと気になった俺は、ある日、学校の屋上で健次に聞いたら、あいつが不気味な笑顔で返事をした。
「ふんふんふん・・・秘密企業だ」
なんだよ、秘密企業って・・・怪しいやつ。
っといけない、本題に戻ろ。
俺たちが食堂に着くまで、同じく、食堂へ向かっていた生徒たちは全員、俺たちを見ていた。 頭を振り返ってみていた。
それもそうだ、彼らが俺たちを見た理由は・・・まずは零香だ。 生徒会長である零香が知らない者はいない。
そして次はエリヴィラの髪色と俺たち三人が仲良く手をつないでいたこと。
――正直、最後のはちょっぴり恥ずかしい。
こんな感じで、生徒の視線を浴びてながら俺たちはついに食堂の玄関までたどり着いた。
「エリヴィラ、準備はいい?」
「うん!」
「じゃー行こう!」
俺は最初でドアを押して開いた、そして中にいたとあるオーラが一気にこちらを襲い掛かって、後ろまで消え去った。
――こ、これは!? 殺気だ! くぅ・・・! 戦がまだ終わっていなかったのか?! もう3分が経ったのに!
「なにやってるの? はやくに中に入れ!」
「押すな、零香!」
俺の後ろにいた零香が俺の背中を押し、彼女とエリヴィラも食堂に入った。
「エリヴィラちゃん、ひとつ約束してくれない?」
入った後、零香がエリヴィラにある頼みをした。
「なに? 母さん」
「学校にいる間、できるだけ私を「母さん」と呼ばないでね。 ふたりだけ、或いは詩狼といる時だけが私を「母さん」と呼べ。 いい?」
俺がエリヴィラに言い忘れたことが、零香が自身でそれに気づき、エリヴィラに頼んだ。
――やっぱ賢いだな、零香のやつ。
俺はバカじゃないぞ?
「うん、分かった。 母さんの頼みなら、私は聞く」
「ありがとう、エリヴィラちゃん。 君は私の誇りだ」
微笑んだ零香、その言葉がエリヴィラの心の奥まで響いた。
「Да!」
そしてエリヴィラは最高の笑顔を見せた。
色々とあったが、改めて、俺たちが食堂に入った直後。 ひとり男子生徒が俺たちの存在に気づき、大きな声で叫んでいた。
「おい! 生徒会長が来たぞ!?」
それを聞いた他の連中はすぐにこちらを見て、おどおどとしていた。
「どうして生徒会長がここに?!」
「それに・・・そばにいるあの子供、髪の毛がピンクだ。 しかもあの生徒会長の手をつないでいる!」
やはりみんなは先に零香とエリヴィラの存在が気が付いたようだ。
「そばにいるあの男は? だれ?」
そして俺も、やれやれ・・・
「バカッ! あいつはこの学校で唯一あの生徒会長と正面からぶつかり合える者だっ! その人の名は――」
「名は?」
ゴクリと男子が少し戸惑った表情し、そして――
「なんだっけ?」
――おい! なんで名前が覚えてないの?! お前ら、バカなの?! あそこまで俺のことを知っているなら、なんで名前が覚えてないの?! しかも、「唯一」? なんで唯一の人間の名前すら覚えてないの?
あ、思わず心のなかでツッコンちゃった・・・
ともあれ、俺と零香とエリヴィラがメニューを近くで見たら、周りの生徒が道を譲った。
やっぱ零香があるからかな?
「さー、エリヴィラちゃん。 なにが食べたい? なんでもいいよ? 私がおごるから」
「俺の分も?」
ここは確認するため、一応聞く。
「当たり前だろ?」
ありがとうございます! っとココロから感謝した。
「それに、詩狼はいつ学校に財布を持ったことがあるの?」
「一度もないです!」
俺は胸を張って、堂々と言った。
「ドヤ顔で言うな! まったくもう・・・」
「ふふふ・・・やっぱりふたりは仲がいいですね」
俺と零香の会話にエリヴィラが急に割り込んだ。
いったい何回言ったら気が済むんだ? 俺と零香が仲がいいって・・・
話し込んでる間、いつの間に食券販売機の前に着いて、三人は自分がなにか食べたいのか考え込んだ。
「じゃー俺、カレーライスを頼む。 零香は?」
数秒後、俺は先に自分が食べたいモノを言った。
久しぶりにカレーが食べていないし、この機会で食べよう。
「そうだね・・・私は皿うどん定食にしよ」
そして零香は皿うどん定食をきめた。
――って、あれ? あいつはそういうの食べるの?
「エリヴィラちゃんは? なにか食べたい?」
零香が決めた後、エリヴィラになにか食べたいと聞いたが――、
「んんん・・・」
エリヴィラはじーっと食券を見つめて、悩んでる表情した。
――てか、エリヴィラはちゃんとわかってるの? ここに書いてる文字はなんの食べ物か、知ってるの?
「ええと・・・トンカツ定食が食べたいです!」
一分が経った後、エリヴィラはやっと決めた。
――トンカツ定食? あれが食べたい?
「分かった、じゃー私が食券販売機でチケットを買いに行くね。 君たちは座れる場所を探してちょうだい」
言ってながらスカートのポケットに手のひらの大きさな赤色の財布を持ち出して、ひとりでチケット買うと向かっていた零香が、俺は彼女と共に行くと決めた。
「俺も一緒に行く」
「私も!」
次にエリヴィラも一緒に行きたいと宣言した。
「大丈夫だよ、私はひとりで――」
「ダメ。 お前をひとりにするがダメだ、だから俺も一緒に行く」
零香が自分ひとりで大丈夫と言いたかった時、俺は先に断って、敢て彼女と一緒に行くと宣言し、そのせいなのか、零香が少しビクッとした。
――もちろん、零香をひとりに任せるのが心細いんだ。
「詩狼・・・」
なんか少し感動した表情で俺を見ていた・・・
なんで?
「それに」
零香と一緒に行く理由は――、
「うん?」
「お前、三人分、持ち上げるの?」
「あ・・・」
唖然とした零香が、ただただぼけーっと販売機の前で突っ立っていた。
――「あ」ってなに? 本当に気付いていなかったのか?
「エリヴィラもお手伝いします!」
そこでエリヴィラは両手を空に上げ、手伝いたいと宣言した。
――カワイイ。
「うん、あいがとう、ふたりとも」
エリヴィラの声で我を取り戻した零香は、ニコリと俺とエリヴィラに礼の言葉を言った。
「おう! 任せて!」
そして俺は左手を胸に当てて、堂々と、少し大きな声で言った。
こうして零香が先にチケットを買って、三人一緒に注文しに行った。
―3分後―
「はいっ! お待たせー! カレーライスと、皿うどん定食とトンカツ定食ね!」
食堂のおばさんがすぐに俺たちが注文したメニューをささっと出来上がった。
――うわー、美味しそう~。
「ありがとうございます」
「ありがとう御座います」
「ありがとう!」
俺、零香、そしてエリヴィラ、俺たち三人はちゃんとおばさんにお礼を言った後、やはりおばさんはエリヴィラの存在に気づき、驚きの表情をした。
「あらまぁー、可愛らしいお嬢ちゃんだねー! お姉ちゃんたちと一緒にお昼を食べるのねー」
「うん!」
おばさんは変哲もない挨拶し、エリヴィラはそれをニコっと笑って返事した。
ふん、やれやれだぜ・・・
「行くよ、エリヴィラ」
俺がエリヴィラと俺の分とエリヴィラの分を持ち上げ、少し離れてる(と言っても、ほんの二三メートルくらいの距離でした)ところで彼女を呼んでいた。
「あ、はーい。 それでは、失礼します」
「はい、いってらっしゃい」
エリヴィラが食堂のおばさんとわかれ、俺の後ろに付いた。
零香が窓の近くで開いたテーブルを見つけ、そこに座ってた。 そして俺とエリヴィラがその後で座った。
座った後、なぜかエリヴィラがさっきからニコニコと笑い続けていた。
「どうしたの? エリヴィラちゃん」
気になった零香が俺先に質問した。
「あ、ううん。 ただうれしいなーっと思っただけです。 今朝はパーパとふたりで朝ごはんを食べていたけど、やっぱ三人一緒にたべるのがすっごくうれしいなーっと思って、幸せの気持ちがどんどん込み上げて、それでつい、笑うのを堪えきれなかった。 えへへへ・・・」
エリヴィラが自分の気持ちを誠実に、心を込めた言葉を言って、そしてそれを聞いた俺と零香が謎の感動で泣きそうな顔で俺たちの娘を見つめていた。
「お、おい、お前・・・な、なにその顔? な、泣いてるのか?」
零香の顔を見て、彼女があと少しで涙があふれそうな状況でした。
「な、泣いてないっぽ! これは!! 詩狼こそ! 鼻水たらしてるぞ?」
「うわっ! 本当だ! ティッシュティッシュ・・・」
鼻水をたらしてるところが全然気づいてなかった俺が、ズボンのポケットからティッシュを持ち出して、汚い鼻水を拭いた。
「しょうがないな、詩狼は。 さっ、はやく冷めないうちに食べましょう!」
「うん! 三人一緒に!」
彼女が先に食べる準備し、俺も彼女たちの後を追った。
「んじゃー」
「「「いただきます」」」
三人が一斉に手を合わせ、同時に言った。
そしてそれに気づいた俺たちは、お互いを見て、思わず笑った。
「ぷぅ、はははは・・・」
「ははは・・・」
「ふふふふ・・・」
俺、エリヴィラ、そして零香。 三人一緒に笑うと、心が不思議な感覚で包まれていく。
「なんかいいね、こういう感じ。 久しぶりと零香と一緒に食べるだなんて・・・」
しかし、それを聞いた零香、一瞬だけ体が固定したが、すぐに元になった。
「そうだね、六年ぶり?」
もう六年なのか・・・でもそんなことより――、
「今ビクッとした?」
零香がさっき動揺みたいな動きした、いったい何なのか、聞いてみよ。
「してない」
しかし思った通り、彼女が否定した。 しゃーね、聞くのをやめよう。
「そっか・・・っといけない、手が止まった。 はやくたべましょう!」
「そうだね」
「なんのはなし?」
肉とごはんを箸で挟んで食べてる途中だったエリヴィラは、俺と零香をじろじろと見ていた。
「なんでもないよ? さ、詩狼もはやく食べよう、時間が無くなるし」
「そ、そうだね・・・」
「んん??」
――零香のやつ、うまく誤魔化したな。
こうして俺たちがそれぞれの熱くて美味しいごはんを食べていた。
そしてちょうど食べ終わった後、俺たち食堂から出て、教室へ戻る途中で、階段を上ってる時――、
「ええと、あれ? なぁ零香、なんか何を忘れていないか?」
一緒に並んで歩いていた零香が足を止め、俺を見て、そして天井を見上げ、考え込んだ。
「んん・・・気のせいじゃないか? それより、急がないとチャイムが――」
キーンコーンカーンコーン
まだ話の途中だった零香が、チャイムが先に鳴らした。
「母さん、もしかしてチャイムがもうすぐ鳴るっと言いたかったのか?」
エリヴィラの図星が零香の顔を真っ赤になった。
「え、ええ、そうだよっぽ・・・」
やれやれだぜ・・・
「じゃはやく行こう! 五時間目がはちまっちゃう!」
「そうだね! いきまちょう、エリヴィラちゃん!」
「Да!」
俺の合図で俺と零香はエリヴィラの両手を掴んで、再び一緒に階段を上った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
その頃、保健室の中にいた幸春先生は――、
「まったく! いったい誰なんだ? 保健室をこんな風にして・・・ただ済まさないから! 片付いていない人、もし次にあったら・・・ふふ、ふふふ・・・ふひひひ・・・」
きれいな顔と違って、漂っていたオーラはドス黒いでした。
そして不気味で、邪悪な嗤い声を聞こえた生徒たちが全身鳥肌が立った。




