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フストリェーチャ  作者: 川崎雨御
第一章:春前の一連
14/29

第一章12 《元気すぎる》

 ―7:05―



 時計のアラームが鳴った。 そして私はそのアラームに吃驚された。


「(ビクッ!)びっくりした~ パーパのアラームか・・・ええと、今は何時?」


 マンガに夢中で時間の概念はなくなった。 気が付けば、手元に読んでいたジョジョの第二十八巻を読み終わった。


「七時五分、そろそろパーパを起こそう」


 そして私はマンガを本棚にジャンプ一つで返し、パーパの上にあったアラームを押した。


「パーパ! 起きてください、もう朝だよ? パーパ!」



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 体が揺れてる・・・声も僅かに聞える・・・だれ、だ? 俺を呼んでいるのは。


 まだ起きていない俺は、体が感じていることと耳か聞える声が聞えていた。

 そして数秒後――


「おき・・・・・・だよ? パーパ!」


「はっ!」


 突然、俺は悪夢から目覚めたように、急に目を開けた。


「わっ!」


 トン~ とエリヴィラがびっくりしたせいで床に尻で落ちた。


「ご、ごめん! 大丈夫? エリヴィラ、怪我はない?」


「だ、大丈夫です、えへへ・・・ちょっと驚いただけです」


「そ、そう? ならいいけど・・・それにしても・・・」


「ん?」


「お前は何時から起きたのかい?」


 それが一番気になったことだ、まあ~ きっと俺よりちょっぴりはやく起きたんだろ。


「朝の五時三十七」


「は?」


 ――今なんて言った? 聞き間違えじゃないよね? 確か俺たちは夜の一時くらい寝たよね?


「ええと・・・もう一回言ってくれませんか?」


 なんで俺は敬語で喋った?!


「朝の五時三十七」


 聞き間違えじゃなかったー!!! えっ? 朝の五時三十七・・・朝の五時三十七?! 浅野誤字三重菜々? 最後のはいったいなに?! 落ち着け、詩狼。 まず落ち着こう・・・んな訳ねえだろ?! だって・・・だって!!

 エリヴィラはたったの四時間半にしか寝てないだろ? じゃーなぜ目の下にくまがないんだ? 顔色もツルッツルだし! 浅野誤字三重菜々だぞ?! あ、間違えた。 朝の五時三十七だぞ? ちょっと鏡に映ろう・・・


 俺は自分が目の下にくまがいるかどうかを確認した。 部屋は等身大の鏡がないが、親の部屋にある・・・近いから。 そして結果は――


「微妙にある・・・」


 ひどくないが、少しだけある。 今夜は早めに寝よ・・・っといけない、エリヴィラを部屋に残された。 はやくもど・・・


「なにしているの?」


「お前・・・何時そこにいた?」


「最初から、えへへ」


 ――チクショウ~! カワイイ笑顔だ! って・・・最初から!?


「へ、へーそうなんだ・・・気付いていなかった~あははは・・・」


「それで? パーパは鏡に映って、なにを見ていたんですか?」


「ん? あ、あ~ただ目の下にくまがあるのかを確認していただけ・・・お前も見るか? 自分の顔」


 でもエリヴィラは頭を振った。


「大丈夫です」


「そう?」


「うん、だってパーパが教えるから」


 ――にゃに?

「俺が? なにを?」


 さっぱり分からない。


「私の目の下、くまがいますか?」


 エリヴィラは人さし指で左目の下に近くでさした。


「ん・・・(じー)」


「ど、どう?」


「うん! 全然くまがない、健康だ。 昨日はよく寝たみたいだな、エリヴィラ」


「でしょー? えへへ・・・」


「へへへ・・・」


 エリヴィラの笑顔を見ると、なんだか俺までニヤニヤと笑った。

 この不思議な気持ち、いままでなにかが違うとそう感じた。 これはもしかして・・・親の気持ち? となにか違うかも・・・もちろん、親の気持ちはよく分かってないんだ。 俺はもうすぐ高三だ、まだ17歳ぞ?


「エリヴィラ、俺たちはまず歯を磨こう」


「はい」


 両親の部屋から出た後、そのままトイレへ向かった。

 ふわーんん・・・まだ眠いかも・・・はやく顔も洗って、すっきりしよ。


「パーパ」


 急にエリヴィラ俺の服を掴んで、呼んだ。


「ん? どうしたの?」


「も、もうガマンできないです・・・」


 ――え? 今、なんて・・・?


「あ、じゃー先に行け。 俺はリビングでいるか――」


「Нет!」


 突然、エリヴィラは大声でロシア語で叫んだ。


 ――びっくりした~、なんだ?


「お願い、私をひとりしないでください!」


 ええと・・・なんか昨日も同じ台詞言ったようなきがする。 でも、それはそれとして・・・


「さすがにトイレ一緒に行くのもなんだし・・・」


「いや! 私はもうひとりになるのが・・・怖いです・・・だから!! お願い、パーパ! 私をひとりにしないでください!」


 エリヴィラが泣いてた。 その涙がはっきりと見えていた。


 まだひとりになるのが怖いのか・・・ちょっと焦ったのかな、彼女をひとりするのがまだまだ先になりそうだ。 俺はなんでこんなにダメなんだ?! 娘(?)が怖がっているのに、親である俺が気付いていないなんて・・・反省しよ、今後以後はエリヴィラをひとりにしないよう、彼女の頼みをすべて受け入れよう!


――これこそ、親ってやつだ! だよな? 間違えじゃないよな?


「ん・・・分かったから、涙を拭け」


「はー! ありがとう、パーパ! 大好き!」


 安心したエリヴィラは急に俺の胸元に飛び込んだ。


「ぐへっ!」


 凄まじい突進だ・・・元気は・・・いい、げほ。


 雪月花詩狼、K.O.!

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