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フストリェーチャ  作者: 川崎雨御
第一章:春前の一連
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第一章9  《料理を作る》

 エリヴィラの空腹の音が俺を戸惑いた。


「エリヴィラ・・・お腹すいたの?」


 それでも返事をくれない。


 ええと・・・どうする? このまま勉強の続きをする? でもエリヴィラはお腹がすいているかも・・・そうだ! いいことを思い付いた。


「本当にお腹すいていないの? こう見えて、俺は料理が出来るから、なにかリクエストあるなら聞いてやるよ。 さあ、言ってみん?」


「...борщ......」


「え? なに?」


「борщ!」


 うおおお!! 急に大声で言った。 今のって、なんだったの? ぼ、ぼるし・・・もしかして「ボルシチ」が飲みたい?


「ええと、エリヴィラ、君は「ボルシチ」が飲みたい? あの赤いスープ」


「ハイ!」


 なるほど、ボルシチが飲みたいかーでも俺、ちゃんとやれるかな? ボルシチは以前お袋が一度作ったことがあるが・・・あれは本当に! まずかった。 うん、ここはやはりグー○ルにボルシチを作るレシピを探そう、あと作り方も。


「分かった、ボルシチを作ってやる。 一緒に下の厨房へ行きましょう」


 エリヴィラはひとりになるのが怖いから、俺は彼女に同行を願った。


「うん!」


 そしてエリヴィラは嬉しそうにベッドから降りて、俺と一緒に部屋から出た。 よーし! エリヴィラの晩飯、作るぞ!



 階段を下りた後、俺は厨房の冷蔵庫を見る前に、グー○ルでボルシチを作る必要な材料を探した。

「ええと・・・必要な材料は――

豚肉 400g

キャベツ 400g

テーブルビート 200g

じゃが芋 300g

ニンジン 1-2本

パセリの根 1本

タマネギ 1個

トマト 2個

サーロ 1個

ディル


そして調味料は――

トマトピューレ 大さじ1-2杯

バター 大さじ2杯

酢(9%) 大さじ半分

小麦粉 小さじ1杯

砂糖 小さじ1杯

ニンニク

黒胡椒

ローリエ 2-3枚

サワークリーム


だ。 うわ・・・改めてみると、ちょっとだけ引いた」


 そんなことより、冷蔵庫にいる材料をチェックしよ。


 俺は冷蔵庫を開ける前に、ココロから強く願った「材料はありますよに」と。 そして冷蔵庫を開けた!


「豚肉OK、キャベツOK、テーブルビート・・・無い、じゃが芋OK、ニンジンOK、パセリの根・・・無い(好きじゃないから)、タマネギOK、トマトOK、サーロとディルはなんなのかは知らない。 調味料は大体オーケーだ。 よし! 料理を始めよ!」


「ふぁいとー」


 エリヴィラは俺に隣から応援していた、カワイイ。


「おう!」


 こうして俺はエリヴィラに応援している間、ボルシチの作りが順序に進んだ。 エリヴィラはお腹はますます鳴っていた、顔が赤くなって、途中でリビングへ座った。 カワイイやつ。


 そして、ついにボルシチを完成した。 赤いスープ、そしてその上の中心にある小さな刻まれたタマネギが泳いでいた。 そしてその赤いスープの下に、他の材料は細かく、ちゃんと分けて、炒めて、そしてスープと一緒に混ぜた。


 まあ、俺なりにやったから、味は保証する。 さっき味見したから、問題ない!


「エリヴィラ、出来たわよ!」


 俺はまるで親みたいに、子供を呼んだ。


「ハーイ」


 そしてエリヴィラも、甘い返事をした。


 エリヴィラはすぐに俺の隣にいた、どんだけ食べたいの?!


「そんな腹が減ったの?」


「ウン!」


 カワイイ笑顔。 ボルシチの量はあんま多くないが、ふたり分がある。 これは俺の分が含めている訳じゃない、すべて、エリヴィラにあげるモノだ。


 そしてエリヴィラは碗のなかにあるボルシチを慎重に取り、そのままリビングのテーブルに運んで、そして椅子に座った。 が、座った後、エリヴィラはなにか気づいたことがあった。


「ложкой...」


 え? 今なんて言った?


 エリヴィラは椅子から下りて、またしても厨房に来て、あるモノを取りに来た。


「スプーン?」


「ハイ」


 あ~、なるほど、今のは「スプーン」だったのかー。


 そしてエリヴィラはスプーンを取った後、なぜか俺をジーと見ていた。


「うん? どうしたの? エリヴィラ」


「イ、イッショニ、タベタイ、デス」


 んん・・・「イッショニ、タベタイ、デス」、まさか、「一緒に食べたいです」っと言ったのか? でも俺はもうお腹がいっぱいだし・・・どうしよ? とりあえず、誤魔化してみよ。


「エリヴィラ、はやく食べないと、ボルシチが冷めちゃうよ?」


 これはどうだい? うまく言った?


「ダイジョウブ、デス。 ワタシハ、パーパト、イッショニタベ、タイデス」


 俺はエリヴィラが言った内容というより、いきなり長いセリフを言ったことに驚いた。 こんな僅かの時間で日本語の基本(?)が喋るになった、これは凄いことだ、うん!


「じゃー一緒に食べよ・・・」


「ウン!」


 本当に綺麗でカワイイ笑顔するね、この子。


 こうして俺も、残ったボルシチをおわんに盛った後。 エリヴィラと一緒に、リビングのテーブルに食べる準備をした。


「じゃ、いただきます」


 両手を合わせ、いつも通りのことをやった。 しかしエリヴィラは俺に、妙な視線で見ていた。


「タベナイ、の?」


「いや、これは食べる前にやるべき行儀だ。 理由は聞かないでね、詳しいことは俺も知らないから(実は知っているが、今はそんなこと説明するのがちょっとめんどいだ)」


「ソウデスカー、ワタシモ・・・イタガキマス」


「違う違う、「いたがきます」じゃねくて。 「いただきます」だ。」


「Ой, спасибо」


 んん、ここでロシア語かーなに言っているかは半分以上が分からない。


そしてエリヴィラは俺の真似し、目を閉じて、さっき俺が教えた言葉をそのまま言った。


「いただきます」


 なんか感動だな・・・まるで我が子が喋るになったという錯覚みてえだ、まあ、錯覚がちょっと違うかも。


 こうして俺たちはスプーンを取り、ボルシチを飲んだ。 しかし、エリヴィラが一口を飲んだ後、なぜか動きが止まった。


 その時、エリヴィラの奥にある謎の景色が浮びあった。 その光景は今と同じ、エリヴィラはあるひとに一緒にボルシチを食べていた。


 あれ? まさか、まずい?! ロシア人の口に合わない?! ど、どうしよ?


「Вкусный......」


 そしてエリヴィラは泣いた・・・・・・


 ええええ?!! 泣くほどまずいのかい?!


「え、エリヴィラ! そんなにまずかったのなら、無理に食べなくてもいいぞ? 別モノを作るから・・・」


 でもエリヴィラは頭を振った、涙が左右の方向へ飛び去った。


「チガウ・・・コレハ、ウレシイの、ナミダダ。 パーパの、アジ、ダ・・・」


 んん・・・最後の言葉ちょっとだけ聞き逃したが、大体のことが分かった。


 俺はなんにも言わず、席から立ち上がって、エリヴィラの側に来て、強く抱いた。 そしてエリヴィラは泣き声で、俺に答えた。


「よしよし、これからも、俺はエリヴィラの側から離れないから」


 そしてエリヴィラはもっと大きな泣き声で泣いた。 強く俺を抱いて、そのまま、何分の間泣き続けた。


 この状況、エリヴィラが俺に信頼していた時と同じだ。 「この子を守りたい」と言う思想が一瞬で思った。



 エリヴィラが泣き終わった後、俺は彼女の涙を拭いた。 そしてエリヴィラが落ちづいた後、冷めたボルシチを食べた。


「ごちそうさま」


「ゴ、ゴチソウサマ」


 食べ終わった後、俺は食器を片付いて、食器を水槽に置いた。


「よし、食器を洗うか」


「ワ、ワタシモ!」


 急にエリヴィラが俺に隣から現れ、手伝いを申し込んだ(いったいどうやってここまで一瞬で来たの?!)。


「ほー俺と一緒に食器を洗いたいの?」


「Да」


 いや、ロシア語で返事をしても、俺は分からないから。 それより、この機会だから、エリヴィラにその「ンダ」の意味をハッキリしておこう。


「な、エリヴィラ。 前から気になったことがあるが・・・」


「ウン?」


「お前はよく「ンダ」で返事してくるでしょう? さっきみたいに」


「「ンダ」?」


 エリヴィラはちょっと理解できない顔をした。


 え? 俺の言い間違いだったの?


 そしてエリヴィラは少しの間、考え込んだ。


「分からないならいいんだ・・・」


 まあ、自分の推測で考えたモノだ、間違ってもおかしくないんだ。


「モシカシテ、「Да」ノコトヲ、イッテイルン、デスカ?」


 おおお!! 理解できた! 天才だな、この子。


「そうそう」


「アレハ、ロシアゴの「ハイ」、デス」


 なるほど・・・ロシア語の「はい」かー俺はてっきり秋田弁の「はい」と思ったんだ・・・


「そっかーそれにしても思い白いね、ロシア語は」


「フフフ・・・ワタシモ、ニホンゴ、オモシロイト、オモイマス」


「気が合うね、俺たち」


「ソウデスネ」



 こうして笑ってながら、俺たちは食器を洗って、いつの間にか0時になった。

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