112話「圧倒的かつ完全無欠!! 雷霆天尊の極致!!」
星型とも言える五芒星形の、神々しく輝く光の盾。
最強格である雷霆天尊が光の剣とともに生み出した最強の盾。
「「「ぐわあああああああああああ──ッッ!!!!」」」
その反発作用を食らって、ナセロンとブラッドとルシアは吹き飛ばされていった。
威力が凄まじく衣服の破片が散らばり、血飛沫が舞い、三人は絶叫するしかない。
ズ ガ ンッ!!!!!
なんと無限樹と呼ばれる巨大な浮遊島を左右真っ二つに裂き、なおも吹き荒れる衝撃波によってズガンバゴンといくつか分割を繰り返し、大樹が無残に引き裂かれていった。
そして神々しい後光のような光輪を伴う放射状の眩い光が広がり、数百キロにまで震撼をもたらした。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
地響きが絶えず、ザイルストーン王国の人々は畏怖する。
カナリア姫も背筋が凍り、三人の安否が気になった。
「聖騎士ナセロンさん……頑張って!!」
手を組んで祈るしか、できる事はなかった。
ナセロンとブラッドとルシアは吹っ飛ばされて、砂漠へ一直線と飛沫を上げながら滑っていった。
吹き荒れる旋風が晴れ、後光が薄らいでいくと荘厳とする雷霆天尊がゆっくりと砂漠に降り立った。
その背後で、浮遊島だった巨大な破片がガラガラと砂漠に落ちてゆく。
ズンズンズズズズン……!!!
全てが落ちきり、砂塵がもうもうと舞う。
「フン……! おまえらに合わせて手加減してやったのだぞ」
冷徹なアイマスク越しで己の絶大な力を誇示し、なおかつ余裕を見せつけてくる。
砂漠から震えながら立ち上がるナセロンとブラッドとルシア。
「つまり……」
「全力ではないという事かッ……!」
「そんな……!!! 七つの魔王以上だよ……!!」
絶対に覆せぬ力の差に、ナセロンたちは打ちひしがれる。
「フッ……、それでも立つという事は、まだこの雷霆天尊に勝てると思っているか……?」
「そっ、それでも!!! ボクは金色の破壊神を止める為に!!」
「オレは魔王となるが為に、いかなる強敵さえ乗り越えてみせる!!」
「同じく!! 七つの魔王を超える為に長年費やして、この身を魔獣に変えてまで強さを求めたのだッ!!!」
ナセロンとブラッドとルシアは力を振り絞って、砂漠を蹴って三人がかりで雷霆天尊へ襲いかかる。
光と漆黒の剣が幾重と軌跡を連ね、獄炎の拳が無数と繰り出される。
ズガガッガガガガッガガガッガッガガガッガガガガッガッガッガッガッガガガガッ!!!!
死に物狂いで三人は猛攻で攻め立てるが、雷霆天尊は余裕と捌いていった。
その気になって攻勢に回れば一蹴できるだろう。
だが、敢えて雷霆天尊は三人の猛攻を受けているのだ。
「Wライジング!!! ルミナススパイラルーッ!!!!」
ナセロンは二発込みで倍増させた回転切りで広範囲に光の旋風が吹き荒れる。
「更にそこから!! 降魔・螺旋穿剣で挟み撃ちだあああああッ!!!」
なんとブラッドも挟み撃ちと、漆黒の旋風を広げて迫る。
「拳王奥義!!! 双・轟魔爆炎破ッ!!!!」
上からはルシアがありったけ獄炎オーラを纏わせた両拳を揃えて、急降下だ。
三つの迫り来る必殺技は大気を震わせ、大地を唸らせるほどの余波を撒き散らすほどだ。
「「「うおおおおおおおおおおおお────ッッ!!!!」」」
まるで三人が一体化したかのような裂帛の気合いが更なる威力を引き出すかのようだ。
「その程度で、この余に及んだつもりかッ!!! 驕るな!!! きさまら!!!」
そう吠えた雷霆天尊は三つの五芒星形の光の盾で、それぞれを弾き返す。
完全無欠、難攻不落、絶対無敵と言わんばかりに再び後光が唸りを上げながら広がっていく。まるで日の出のような凄まじい眩しさである。
「「「ぐうおおおおおおああああああああああッッ!!!!」」」
ナセロンとブラッドとルシアは破片を散らして、吐血して、無様にぶっ飛ばされていく。
砂漠が荒らされるように飛沫を噴き、砂塵が舞い、砂丘がことごとく崩される。
「負けてたるかああああああッ!!!」
「フフフフンンンンッ!!!!」
「うぬおおおおおッ!!! 我はこの誇りにかけて命を燃やし尽くすまで戦い抜くのみッ!!!」
満身創痍で血塗れでもナセロンとブラッドとルシアは必死の形相で、雷霆天尊へ再び飛びかかる。
「この気迫……。素晴らしいものだ。余はそんな強者を認めよう。うぬらならば余を越え、あるいは金色の破壊神レベルにまで達するかもしれん」
三人の荒ぶる猛攻を片手間で捌き切りながら、雷霆天尊は褒めた。
しかし攻勢に出て、一太刀ずつナセロンとブラッドとルシアに入れて砂漠に転がす。
それでも不屈の気迫で三人は震えながら立ち上がる。
「「「うおおおおおおおおッッ!!!!」」」
「だが、それは数十年後の話……! 今のうぬらでは、どうあかごうと……」
命を懸けてナセロンとブラッドとルシアが飛び出す。
ナセロンは三芒星型の光の盾を具現化し、それを光の剣に吸収させてキッと睨み据えて正眼に構える。
「結界剣!!! ルミナス・XXIトラジェクトリ────ッ!!!!」
なんと七芒星を描く剣閃を三連発、全身全霊で繰り出す。
ブラッドも漆黒の剣を振りかざし、深淵の闇を解放するかのような凄まじい黒刃の台風を球状に纏めていく。ギギギギギと不協和音を漏らす。
「降魔・大魔神螺旋玉ッ!!!!」
永久に吹き荒ぶ獰猛な黒刃による大嵐を閉じ込めた巨大な漆黒玉が、一直線と飛沫を引き連れながらすっ飛ぶ。
ルシアも全身から獄炎オーラを全開放し、灼熱を纏う。
「我が魂をかけた拳王秘奥義!!! 終極・灼熱獄炎破ッ!!!!」
灼熱を右手に収束させて太陽がごとしの眩い光を生み出し、気迫の勢いで突進しながら一撃のみ繰り出す。
天地鳴動かと思うほど恐ろしい威力が三つ襲いかかる。
それでも雷霆天尊は動じる事もせず毅然と身構えたままだ。
「この余には絶対勝てぬという事だッ!!!」
雷霆天尊の背後に無数の五芒星形の光の盾が浮かび上がり、ナッセたちは驚きで見開く。まるでいくつもの神々しい後光が地平線から浮上しているかのようだ。
それぞれが五つの菱形に分割されていく。
「我が奥義を受けるがいい!! ルミナス・ペンタグラムシールド“三千世界”!!!!」
踊り舞っていた無数の光り輝く菱形が、一気に鋭く飛び交い容赦なく切り刻んだ。
轟音とともに、あちこち砂丘や岩山などが木っ端微塵に飛び散り、遠くの山脈すら細切れに裂いた。
まるで惑星が震えるかのような激震が走る。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォ…………!!!!
「これが我が極致。今回は数十キロに範囲を留めておるが、本来世界中いかなるところにも及ぶ超広範囲攻撃こそが余の固有能力だ……。今度こそ終わりだ」
破片が舞い、煙幕が流れていく。地面に血を広げた血塗れのナセロンとブラッドとルシアが横たわっていた。
痛々しい彼らにカナリア姫は「ああ……」と愕然する。




