第九十三話『童話と現実世界』
「わぁー凄いわね!私がいた世界じゃあこんな大きな建物なんか見れなかったわ!」
少女は嬉しそうに両手を広げビル郡を見渡していた。朝食を取り終えた後、二人を引き連れ都会へと繰り出したのだ。勿論ルキフェル達は黙って待ってる筈もなく共について来ている。
”永き時を生きた吾輩でさえも驚きを隠せんよ、少年。人は此処まで成長を成し遂げる事が出来たのだな。”
狼が町を歩く訳には行かないので現在は人型に姿を変えて貰っている。バリエーションは複数あるらしいのだが、その中でもお気に入りの姿が二つあるそうだ。因みに現在はお気に入りの姿の一つである美しい女性体に変身をしていた。
「初めてこの地へと降臨した際には私も驚きを隠せませんでした。ただ、多過ぎるとは思います。既に人の人口は天使の総数を越えています。繁栄は結構、ですが此れは余りにも多過ぎる。此れでは自然、星が滅びるのもそう遠くない未来でしょう。私は必要な人間と必要でない人間を選別するべきだと思います。」
”傲慢な考えだな、翼在りし天人よ。星の行方は住まう者達により定められる。滅びの運命を辿ると言うのならば歩ませれば良かろうよ。”
この天使と狼は何を怖いことを話しているのやら。
「ふふ、私はルシファーさんに賛成ですよぉ。何ならぁ今すぐにでも半数以上の人類を死滅させましょうかぁ?」
「確かに良き方法では有りますが、選定という義務を果たさなければ其れは外道と同じ。殺生をするにも建前と言う物が必要なのです。ですからテレビ局.....いえ、衛星を使い世界へと勧告するのです。」
怖い!この人達怖い!何真面目に大量殺戮を計画してるの?
「やめてくれ、せめてやるなら俺が死んだ後にでもしてくれ。」
青年の台詞を聞きルキフェルとディアーナな意味深な笑みを浮かべる。
「其れは残念、随分と先の.......いえ、もしかしたら訪れないかもしれませんねぇ。」
「えぇ其れが条件では、ねぇ♪」
何かしら企んでいる二人の頭部にチョップを入れる。二人は頭を抑え自分を睨みつけて来た。
「大方、加護やら瘴気で俺を不死身にでもするつもりなんだろ?バレバレなんだよ。」
その台詞を聞いた二人は驚いた表情を取る。そして開き治った様に自分の両腕へと引っ付いた。
「私は孤独が嫌いなんです。」
「私も誰かと一緒が良いでのすよぉ?ほら、四天王何て創り上げてたじゃあないですかぁ、私。」
(もちろん此処にいる私ではなく史実の私ですが)
Radianceシリーズの二部(二作目)に置いて深淵の女王であるディアーナは元パーティの仲間達であるユーノ達を模し四天王と言う幹部達を創り上げている。
「なら、お前達二人で良いんじゃないのか?最近では仲がいい様だし。」
二人は『はぁ?』とした表情を見せる。何も可笑しいことは言っていない筈なのだが。
「分かっていませんね、ジョン。ディアーナは良き隣人だが『闇』です。」
「お互いの仲が良くてもいずれは本能に抗えず闘争してしまう。それほどに対極の存在なのです、私たちは。」
要するに現状は問題ないが時が経てば争いを起こすと言うことか。
「といえ競った所で私は瞬殺されてしまいますがねぇ、ふふ♪」
ディアーナにとってルキフェルと言う存在は戦闘面での相性が最悪なのである。
「ですがぁ安心して下さぁい、ジョン副団長♪貴方様が入れば私達が争う必要はないのですよぉ、ふふ♪」
「運命を受け入れぇ、私達の寵愛を授かりなさい。」
怪しい宗教見たいな誘い方で自分の寿命を伸ばそうとしないで下さい。
「.........アンタら、本能がどうのこうのとか言ってるけど、実は嘘だろ?」
二人へと視線を投げると即座に目線を逸らされた。
(此奴ら..........)
すると先行して進んでいた筈の少女が急ぎ足で自分達の元へと戻って来る。
「あんた達!遊んでないで行くわよ!もぅ遅いんだから!」
そして手を掴まれ早足で町の中へと進んで行く。因みに何故かもう一つの手は狼さんが握っていた。
「楽しいわね!」
「あぁ久方ぶりに心躍らせる経験だ」
後ろを振り返るとルキフェルとディアーナは羨ましそうに少女と狼さんを睨みつける。そして暫くすると耐えられなかったのかルキフェルがディアーナの手を取り今度は仲良く自分を睨みつけて来た。てかなんで手を繋ぐ必要がある?ちなみにではあるが口パクで私達の真ん中に来いと言うが見なかった事にしよう。
”はははは!吾輩は実に気分が良い!こうして友好的に散歩をするのは初めてだ。孤独は憂、だがそなた達とならば永き間を共に歩めそうだ!”
狼さん、そんな大声で叫ばないでくれ。めっちゃ周りに見られてる。
「映画の撮影かな?」「凄いカッコいい!しかも女性も可愛い過ぎる!て言うか後ろの二人すっごい美形なのに怖い顔してる。肌がすっごく白いから怒ってる顔も様になるわねぇ。」「見て、仲良く手を繋いでるよ!ミュージカルの練習かなぁ?」
通行人達は自分達を見てそう評価する。そもそもこんな道端でミュージカルの練習をする訳がないだろ。頭が湧いているのか、あの通行人は。
「取り敢えず大公園に行こうか、此処は人目が多過ぎるし。」
通行人達の視線を撒くために大公園で休憩を挟む事にした。




