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第八十六話『青年は大学生である』

(_________アイツ等が起きる前に大学に行こう。)


大学入学日である今日、青年はいつもより早く起き家を出る事にした。


(トラブルメーカー達が起きないようにこっそり.....)

「あ」


ルキフェルとディアーナが玄関前へと姿を現し自分達も行かんと靴を履き始めていた。


「うふふ♪なぁにが『あ』デェスかぁ?」

「ジョン、何処に行こうと言うのですか。『あ』ではありませんよ。」


冷や汗が尋常ではない程流れる。


「き、今日は大切な用事があるんだ。一人で出掛けるから家で留守番しててくれないか?」


二人は黙っていて何も答えない。


「.......つ、付いて来るとか言わないよな。本当に今日は大切な日なんだって。」


こう言う時の予想は良く当たる。


「おい!」


そもそも二人は先程まで寝てた筈だ。何故目覚めている?


「聞いてる?」


二人は何も答えずに慈愛の笑みを見せる。誰もが見れば美しい笑みと答えるだろうが数日共に住んでいるからこそ自分には分かる。此れは悪い事を考えている顔だ。


(うぅ家で大人しくしていて欲しいけど、こいつ等の事だ、絶対について来る。)


「一万円札をやる。二人で遊んでこい。」


財布から金を出し、ルキフェルへと渡す。


「ジョン、何を勘違いをしているのですか?」

「そうですよぉ。私たちがついていくとお思いでしょうが答えは否です。散歩に行くだけでぇす♪」


とは言いつつお金はポケットに入れるのな。


(不安は残るけど時間だし、もう行くしかない。)


「そ、そうか、じゃあ俺は行くよ。問題は絶対に起こすなよ!」


青年は二人へと手を降ると大学へと向かい走り出す。


「ふふ、行きましょうか。」

「えぇ。」


二人は言わずもがな口元を緩ませ青年の後を追うのだった。










(入学式はメンドくさいけど新入生代表として顔を出さないと行けないからなぁ。)


青年は大学側から推薦を貰い入学している。中学時代、そして高校時代共に友人がいない彼は勉学かスポーツしかやる事がなかったのだ。そのおかげか学費免除を貰える程に良い成績を残し偏差値が高い国立大学へと入学する事になったのである。


(アイツ等が問題を起こさないか心配でならないが今は自分の事を優先しないとな。)


大学内へとIDを見せ足を踏みいれる。


「確か入学式は講堂で行われるんだったよな。」


入学日と言う事もあり大学内は人で混んでいた。極力隅を歩き人ごみを避ける。だがそれでも違う女子大生達は青年の美しい容姿を目で追ってしまう。青年は複数の視線が自分へと向いている事に気づき急ぎ足で講堂へと向かう事にした。


「あぁ君が代表の子だね。席は生徒席の最前列から一番右だよ。新入生を代表しての宣誓、楽しみにしているよ。」


講堂へと顔を出すと学長か理事長らしきおっさんが話を掛けて来た。とは言え自分の席を探し回らずに済んだ事に幸運を感じる。


(推薦を受け入れだけのやる気のない新入生が宣誓なんてして良いのだろうか?)


青年は席に座りステージへと眼を移す。


(まぁなる様になるか。)


眼を瞑り入学式が始まるその時まで眠る事にした。それから暫くすると講堂は学生、教授、関係者らで埋め尽くされ賑わい始める。


「ん.......」

(........寝てたのか)


隣を見ると先程まで座っていなかった学生達が談笑をしており気を取り直す。


「此れより平成○○年度○○大学入学式を執り行わせていただきます。皆様、ご起立ください。」


入学式の始まりと同時に学生達は談笑を止め集中を始めた。最初に学長式辞に始まり、理事長のあいさつが続いた。欠伸が出るのを我慢し背筋を伸ばす。そして各自クラブ・サークル紹介などが終えると自分の番である新入生代表の宣誓の時が来た。


(うぅ..........緊張して来たぁ)


壇上へと上がり、堂々と前を向き周囲を見渡す。


「本日は、私たち平成◯◯年度◯◯◯◯新入生のためにこのように盛大な入学式を催して頂き、まことにありがとうございます。校長先生をはじめ、諸先生方ならびに来賓の皆様にも、心より御礼申し上げます_______」


と何処の大学でも聞く標準的な宣誓を口に並べる。


「_______最後になりますが、校長先生ならびに諸先生方、そして先輩方にはあたたかいご指導とお導きのほどよろしくお願い申し上げます。私たち新入生一同は歴史と伝統ある◯◯の学生としての誇りを持ち、その名に恥じぬよう実りある学生生活を送ることをここに誓います。」


一礼をし壇上から降りる。拍手と共に黄色い声援が会場を舞った。


(はぁ....目立つ事はしたくなかったが致し方なしか。)


講堂にて宣誓を見ていた女性陣は皆、青年へと目が行っていた。しかし、それに気づきながらも敢えて無視し席へと座る。その後、教職員の紹介、校歌斉唱を終えると無事に入学式は終わった。


(説明会は欠席だな。早く家に帰らないと彼奴がなにしでかすか分からないからな。)


講堂を出ると新入生の為の説明会があるとかで各教室へと紹介をされるようだが即座にその場から離れ正門へと向かう事にした。


「ねぇねぇ見てみてあの人!」「すっごくかっこよくない!」「外人さんかな?」「肌めちゃめちゃ白い!」「クールでいて可愛く見える!」「性別はどっちなんだろう?」「話しかけて見ましょうよ!」「えー無理無理ー!!」「美人すぎるって!」


..........嫌な予感がする。


「おい、見ろよ!」「凄い美人な外人さんがいるわ!」「ヤバイな、新入生かな?」「めっちゃ綺麗な美人新入生発見なう。」パシャ


............すっごい嫌な予感がする。


(ねぇ、どうしてぇ来ちゃったぁの?)


正門にて待つのはルキフェるとディアーナだった。


「よし、逃げよう。」


こうなればバレないように裏門から逃げるしかない。


(うわ、なんかあいつら話しかけられてるな。)


中には話を掛けようとする者までいるが全て無視されている。


「「何処に行こうとしているのですか?」」


_______分かっていましたとも逃げられないことなんて。


(うぅ、ひっそりと学生生活を送る予定だったのに............)


台無しだよ。学生代表だけでも目立つというのに更に悪目立ちしてしまうではないか。


「ジョン、遅いですよ!」

「宣誓と言う物がなければ私たちは貴方を連れ帰っていたんですからねぇ?ぷんぷん」


これ程ぶん殴りたいと思ったぷんぷんは初めてだよ。それに連れ帰る為に乱入しようとしたと付け加えるディアーナに恐怖を覚える。


「あれって新入生代表だよな?」「友達なのかしら。」「代表生の子もかなりって言うかすっごい美青年だけどさ、やっぱり付き合いがある人は同じくらい美男美女なのかもねー。」


すると一人の男子学生が群集の中から前に出る。


「ウチのサークルに是非とも来て頂きたい!」「よし!俺は誘いに行くぞ!」


その台詞を聞き周りの学生達も動き出す。


「あ、ズルい!」「私たちのサークルに来て貰うんだからー!」


取り囲まれたら最後、何処かのサークル活動に入れられる。


(初日だって言うのに本当についてない!!)


群集に囲まれない為にルキフェル、ディアーナを掴み即座に正門を抜ける。


「あっ!逃げたぞー!」「追えーーー!!」


学生達は追いかけて来ようとするが____


「はーい散った散った!人様に迷惑を掛ける行為は控えなさい!」「ちぇ〜」「最悪〜」「せっかくウチのサークルに来てもらおうと思ったのにー!」


____警備員達により注意をされ各自解散して行く学生達。そして無事に逃げる事が出来た三人は駅から近い喫茶店へと入店していた。


「........ふふ、邪魔な様でしたら殺してしまいしょうかぁあの方々?」


「正直な話消して欲しいが、やらなくていい。」


本当に殺し兼ねないのでやめて下さい。


「まぁ携帯で撮ってた奴らは殺してくれても構わないぞ。プライバシー侵害だからな。」


冗談でそう言うとルキフェルが鋭い眼光を覗かせた。


「罪には罰を与えなければなりません、か。人の規律を記しし憲法にはプライバシー権侵害と肖像権が含まれます。米国憲法修正第1条、そして日本国憲法第21条に先程の不埒者の行為は該当するでしょう。」


「あ、あぁ、確かにそうだな。」


「ではディアーナ、急ぎあの者へ天罰を与えましょう。『死』という名の制裁を。」


「え?救済ですか、ヤりましょう!」


本気過ぎる。やらないで。


「いやいや冗談です!までじ殺さないでいいから!!」


冗談である事を言う。ルキフェルは怪訝な顔を浮かべるが何とか殺気を抑めてくれた。


「はぁそれでアンタらは何で来たんだよ?」


「主人である私に指示ですか、嘆かわしい。そもそもついて来たのではなく私の行く先に貴方がいたのです。」


余りの暴論に唖然とする。そしてそこにディアーナも乗っかるように発言する。


「いなくなって貰っては困りますのでぇ常に近くで監視をしなければ行けないのですよぉ♡いえ、むしろ私たち自身が学生となり貴方の隣で講義を受ける事も配慮した方がいいのではないでしょうか?」


「それは良い案ですね、ディアーナ。」


青年は頭をゆっくりとテーブルへと降ろし眼を閉じる。


「ふぅ_______」

(..........もうやだ、こいつら。)

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