第八十三話『聖女は部屋の中では下着姿である【挿絵】』
「もぉー!!何をしているんですかぁールキフェルさぁん!!」
「黙りなさい、集中出来ません!」
ディアーナが騒動を起こしてから数日、何事もなく生活は出来ていた。
(朝からうるさいな、こいつら。)
もっとも外出をする際に救済と言う名目で人の命を簡単に奪おうとするディアーナと敬意を払った者(主に店員)に無償で加護を与えようとするルキフェルの行動には頭を悩まされるが。
「何で勇者さんにヒーリングを掛けないないんですかぁ!阿呆なんですかぁ!?」
「何故私が人間を助けなければならないのです。其れこそ阿保らしい。」
「ユーノさんが死んだらGAME OVERなんですから回復してください!!」
『Radiance』シリーズ新作と共にハードを買ったまではいいがプレイをしている最中に自分達もやりたいと言い出し、現在ルキフェルとディアーナは二人で協力プレイをしていた。
「なぁ何でディアーナがマールスでルキフェルがディアーナなんだ?普通ディアーナが本人を使うべきだろ。」
新作であるRadianceシリーズは純粋なRPGからアクションRPGへと変革していた。広大なオープンワールドを自分達で動かし冒険するのだ。高品質なグラフィックも極まり見ているだけでも面白い。てかかなりの難易度で巷では死にゲーと呼ばれているらしい。
「つまらないじゃないですかぁ!既に私視点の物語は私自身で体感しているので結構です。それよりもマールスさんですよぉ!こんな雑魚キャラが私に勝てる訳ありません!この鈍足な動き、使いづらいと言ったらありません。何が四方連斬撃は最強だぁですか!!HPは半分行かないと使えませんし、使ったら使ったで1日は使えなくなりますしぃ、嫌になりますよぉ。」
コントローラーでマールスを動かしながら敵キャラを切り刻んでいくディアーナ。
「ディアーナ、貴方の『キャラ』と言う物も扱いづらい事を自覚した方がよろしいですよ。」
広範囲による過剰回復攻撃、そして奇跡を駆使して魔物達を蹴散らし行くスクリーンの中のディアーナ。
「むっ!其れはルシファーさんが下手なだけです。私は使い易いんでぇす♪ね、ジョン副団長?」
「なっ!?私の操作は完璧です!!!」
「買って来たオレが言うのも何だがほどほどにしとけよ。」
既に二人は昨日から丸一日テレビへとひっつきゲームをプレイている。そしてテレビの画面を変えるのは飯時だけとなっていた。
(二人が大人しいのはいい事だが、ハマり過ぎない事を願うよ。)
紅茶を呑みながらタブレットを弄る。すると青年は何かを思い出した様にポケッ卜から携帯を取り出し時間を確認した。
「そういえばディアーナの服を買いに行かないとな。ルキフェルに買った女服かオレの服ばかりを来て嫌だろう?仮にもアンタは女だし。」
「仮にもって、ジョン副団長、私の扱い若干酷くないですかぁ?ねぇ。こう見えても私、男性からたくさんの
求愛を受けていたんですよぉ?まぁ、そんな意地悪なところも大好きなんですけね♡好きです、エッチしましょう?」
何言ってんだ、こいつ?てか力強いんですけど!!?←現在両手を塞がれ、鼻息を荒くしたディアーナに押したをされています。
「...................す、スクリーンの中のアンタは健気な聖女で、人の為に頑張る姿がとても好きだなぁ、俺。」
「あ、え、えへへ//」
ディアーナは耳を赤くしながら両手で自分の顔を隠す。
「ただな______」
青年は一息着くとディアーナへと告げた。
「今のアンタは少し、いやかなり性格が激変しているだろ。もっと聡明で知的な印象がゲームからは感じられたんだが.......「は?」.........い、いえ、なんでもないです、はい。」
何を言っているんだこいつ?と言わんばかりの表情を浮かべるディアーナ。てか怖!?
「私の経緯を読みましたよねぇ。人類の救済をしようとしたところで私は訳の分からない世界に送られたのですよぉ?最初はルキフェルさんを天界人の一人と思い歓喜はしましたよ。ですが瞬殺された挙句に介抱され殺されるでもなく共に暮らせ、ですよ。ふふ、もう此れで可笑しくならない方が可笑しいではないですかぁ?」
(って事にしましょう。史実と今の私とでは歩んできた歴史が違うのですから。先ず、私の世界では私は世界の掌握に成功しているのです。決してマールス団長如きに遅れはとりません。そして最終的にジョン副団長がいない世界に絶望し自害した。これが私の歩んできた過去。)
ディアーナは笑い声を上げると落ち着いたのか深呼吸をする。
「そして極めつけは私たちが創作物に過ぎないと言う事です。私がした事に後悔はありません。ですが、それは他者により引かれた道を歩いたに過ぎないのです。いえ、歩くと言う表現は正確には正しくありませんねぇ。人形劇の様に動かされていたと言う方が的を得ている。」
(こう言えば辻褄は合うでしょう。ジョン副団長といつまでも一緒に居るため、余計な心配はさせたくはないですしね。)
冷めた目付きでは在るがコントロールを強く握るディアーナ。
「この世界を滅ぼそうにもルキフェルさんがおりますし、選択肢が二つしかないのですよぉ。」
「自決かこの世界を謳歌するか、でしょうか。」
ルキフェルが横目でディアーナへと問う。
「正解です。ですから使命無き今、私は自由なのです!」
(そう!今はジョン副団長が目の前にいる!!私の全てが此処には在るのです!!!!)
もう手放しはしない。この人の為に死ねるなら本望だ。世界などもうどうでもいい。私は私の救済が欲しい。そして今はその願いが叶っている。故にこのふざけた王冠を巡る戦争を終わらせなければならないのだ。
青年はその解を聞き笑った。
「そうか、ならこの世界を楽しんでくれ。ただ、自決なんてつまらない事はするなよ?するとしても、このアパート内ではしないでくれ。」
「そこは自決はするなときっぱりと言って欲しいかったんですがぁ?それに自決なんて『もう』しませんよ。」
(_____既に私の『王冠(願い)』は果たされたのだから。)
ディアーナは微笑む。
「ふふ、私は貴方が大好きです。数日ではありますがぁ此処は本当に居心地がいいんです。」
本当に長かった。私の旅の終着点。此処は正に私にとっての理想郷だ。
「それは良かった。まぁなんだ、話は戻るがディアーナの服を買いに行くか。流石に家の中だからって下着姿ばかりだと目のやり場に困るからな。」
ゲームの電源を消そうとスイッチボタンを押そうとするとルキフェルに手首を掴まれる。
「今言いところなのでセーブをさせなさい。」
「は、はい.......」
(.......目がマジ過ぎません?)
ルキフェルは血走ったような瞳で言う。
「ふふ、ジョン♪」
ディアーナは後ずさる自分の真横へと立ち顔を耳へと近づけた。
「元聖職者としては多少は下品だと思いますが下着姿はサービスと言うものですよ。むしろ襲ってくれても良いいんです♡性行為の経験はありませんが性欲に一度は溺れて見たい物です♪いえ、寧ろジョン、貴方と毎日貪り会いたい♡シますか?」
うっとりとした表情で自分の逸物を凝視するディアーナに対し身震いをしてしまう。
「し、しません!」
「ふふ、それは残念♡」




