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第七十九話『災害の規模』

ルキフェルの力により、瘴気は浄化された。


「凄い.......被害だな......」


けれど、住宅地は見るも無残な姿と化し住民達の命は既にないだろう。瓦礫の上を何とか足場にルキフェルの後を追う。


「見つけました。」


ルキフェルは唐突に立ち止まる。


「うわっ!?っておい何か出てきたぞ!!」


瓦礫が弾け飛ぶと中からは瘴気の残滓が溢れ出す。


「聖槍を受け、天の祝福を齎したにもかかわらず生き延びましたか。」


そしてその残滓は一箇所へと集まり収束する。


「お、おい、これって.....」


瘴気の残滓は人の形を取り戻し先ほどの女の姿をとり始めていた。


「ぅう.....ふく....だん......あう.....ぜったい.....にぃあ!!!!!」


意識のないディアーナは獣の様な動きでルキフェルへと噛み付こうとするが_______


「__________眠りなさい。」


その奇襲すらも余裕を持って対処して見せた。先ず最初にルキフェルは片手で聖女の攻撃を弾き首へとトンっと指を置くと聖女は意識を失い倒れたのである。余りの一瞬の出来事に青年は口を開ける事しか出来なかった。


「この者を連れ帰りますよ。」


「は?え?.....いやいや、大丈夫なのか?」


ディアーナとルキフェルを交互に見据え、青年は不安の表情を見せる。だがルキフェルは鼻を鳴らすと青年の横に立ち笑った。


「私がいるではありませんか。さ、この者を背負いなさい。」ひょい


「あ、おい!ちょ!!」


ルキフェルは聖女を渡すとその場から消えてしまった。


(ふざけんな!こんな危険人物なんか背負いたくねぇーぞ!)


青年が聖女の顔を覗き込むと彼女は安らかに吐息を立て寝ていた。


「可愛い............てっ!?何言ってんだ俺は....こいつは災厄を撒き散らした化物だろ.....しっかりしろよ、オレ!!」


首を横に振り邪念を振り払う。そして辺りの惨状を目に現実を再確認させられる。


(これだけの被害、流石に隠しきれる代物じゃないぞ。自衛隊は既に動いているのか?)


震災並みの被害が一帯を覆っている。だが、ヘリの一機すら飛んでいない現状に青年は疑問を感じていた。


「..........うわっ、何だ!?」


町全体から粒子が突然舞い、幻想的な光景を魅せる。そして破壊された建物達が時間を逆行する様に復元されて行く姿を目にする。


「ルキフェル...だよな、これって。」


不思議と思い空を見上げるとやはりルキフェルが何かしらの力で町を治していた。その姿はまさしく絵画そのものに出る天使の姿だった。


「町が何もなかった状態に戻って「ジョン、戻りますよ。」わっ!?」


突然背後から声が掛かった事により青年はその場を驚く様に跳ねる。


「驚かすなよ!!」


ルキフェルはくすりと笑うと先行して家へと向かってしまった。


「ちょ!こいつ運ぶの変わってくれぇー!」

_______

______________

___________________


”住人全てが行方不明となるこの事件、〇〇県警は一丸となってこ

の神隠し事件の行方を追うとの声明を、先日の記者会見にて述べま

した”


テレビから聞こえてくる声に頭を悩ませる。


「...........」


自衛隊の出動は無かったものの近隣の警察署が連絡が取れない事に不審を抱き大多数のパトカーが出動した結果、神隠しなどと言われる大事件へと発展していた。


(やば過ぎる...... )


それも其の筈だ。一夜にして町の住人全てが行方不明となったのだから当たり前だろう。


「..........ど、どうするんだよ、この惨状?」


あれから一日が経過した。警察は一件一軒見回っている。自分達が住むアパートへと来るのも時間の問題だろう。


「まぁ、考えたところでどうにか出来る程、簡単な問題じゃないのも確かだが....」


所詮、現実では近しい者以外の死なぞ本心から悲しくなるものではない。


「美味です。」


因みにルキフェルはと言うと優雅にコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。


「ルキフェル、アンタって人を生き返らせたりはできないのか?」


ルキフェルは自分の顔を横目で見ると鼻で笑った。


「死者を蘇らせることは神すらもしません。転生はさせましょう、創りもしましょう。ですが死者の蘇生は理に反する行いなのです。仮に私に行使が出来たとしても死した者を蘇らせる事はしないでしょう。」


ルキフェルは早口でそう言うと、コーヒーのカップを無言で渡し新しいのを注いでこいと目で語る。


「......食いしん坊め。」ボソ


「聞こえていますよ。私の使いならば口より先に身体を動かしなさい。」


俺はいつからお前の召使いになったんだと愚痴を漏らしつつもコップに新たなコーヒーを注ぐ自分が嫌になる。


「__________とは言え、まだ目は冷めないか。」


(此処に連れては来たけど、未だに眼は覚めていない。)


コーヒーを注ぎつつベッドへと眼を移すと女はぐっすりと眠りについていた。流石に裸のままでは不味いと近くのコンビニから女性物の下着をくすねて着させはしたが。


「エロいな、うん。」


眠る女に向ける邪な視線のせいかルキフェルが此方をジト目で見てくる。両手を上げ悪かったの姿勢を見せる。


カンカンッ


するとドアがノックをされる音が玄関から聞こえて来た。


「おい、音を立て「何用ですか、人間?」おい!!!」


ルキフェルに開けないように予め説明した筈なのだが、この天使様はあろう事か玄関の扉を開けてしまったのだ。

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