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第七十三話『天使と散歩』

「ねぇ見て見て!!」

「やばっ!?あの二人、ちょー美形じゃない?」

「外人さん?ちょーかっこいいんですけど!!」


市街地にて散歩をする青年と天使。その容姿故か通行人からかなりの視線を受けていた。


「まぁこうなるよな。」


青年もまた天使の完璧なる美貌には劣るもののかなりの美形である。


「卑猥な視線を感じますね。」


そして付け加えるならルキフェルの格好は例の通り薄着の天使服である為、かなり目立つのである。


「今すぐに止めさせなさい。」


青年の服を掴みそう命じるルキフェル。


(この天使、無茶苦茶言うな........)


「一応言っとくがアンタの格好も原因の一つだからな。」


そもそも家を出る前に自分の服を着させようとしたが、拒否されたのだ。それももの凄い形相で。


「あぁもう俺達人間が纏う一般的な服装をしてくれ!」


「天使の正装に対しケチをつけるつもりですか!」


ならば私が法であると愚劣な家畜らに分からせてさし上げましょうなどと喚き始める始末である。翼をその場で広げようとするルシファーを見てとっさに抱きつき翼を押し込める。


「ばか、こんな所で翼を出そうとすんな!」


「.......分かりましたから離れなさい。」


唯我独尊を我で行く天使に内心でため息を吐きつつルキフェルから距離を取る。


「っ」

(心拍数が上がった......)


天使は動悸を抑える為に胸へと手を置く。家畜と同義である人間に触れられただけで多少ではあるが羞恥心を感じたのである。


(このままじゃかなり目立つな.......何処かの店に入って服を買わないと.....)


一方青年は羞恥心以上に不安を感じていた。取り敢えず服屋を探す為に辺りを見渡す事にする。


(........見つけた。)


この先二つの角を進んだ先に大きな洋服店がある事に気づき行くことした。


「ルキフェル、あの店に入るぞ。」


服屋の前で止まりルキフェルへと入る様に誘う。


「人である貴方が天使長総括でもある私を呼び捨てにしますか。本来ならばこの時点で私は貴方を裁かなければなりませんが、大地より広き心を持つ私は今回限りにて貴方の無礼を許しましょう。‘様’を付けるか、明けの明星と呼びなさい。」


(元だろうがとは言えないよな、たぶん怒るし.....)


何よりも服屋にて大きく声を上げるルキフェルに恥ずかしさを感じる。


(うぅ.....周りの視線が痛い。)


言われたままでは腹が立つので言い返す事にした。


「はいはいルキルキちゃん、服を見るぞ。」


そう言うと青年は店の奥へと逃げる様に歩いていく。


「なっ!?」


ルキフェルは顔を赤くし青年を追った。


「今、私の事をルキルキなどと「いらっしゃいませ〜」


すると店員がルキフェルに対し頭を下げ挨拶をして来た。


「む、人間にしては良い出迎えですね。」


青年はそれに気づき急いでルキフェルの元へと戻る。


「えっ.....!?」


店員は頭を上げ自分達の顔を再確認すると驚愕の表情を浮かべ顔を真っ赤にすると奥のスタッフ専用のルームへと逃げる様に戻っていった。


「何かあの店員に余計な事を言ったのか?」


「私は何も言っておりません......そんなことなどよりも貴方が先程口にした名を今すぐに撤回しなさい!私の名はルキフェル、明けの明星、光を指すものにして偉大なる熾天使。決してルキルキちゃんなる者ではありません!」


余りの怒声からか辺りの客は此方を見ていた。


「ドラマのワンシーンかしら?」

「あの外人さん達、テレビで見るアイドルとかモデルよりも凄い美形!」


怒声だけならばこれ程の客は集まらななかっただろう。一重に二人の美しさが周りを惹きつけたに過ぎない。青年は周りの人だかりが増えている事に気づき急いでルキフェルの機嫌を取る事にした。


「主より与えられし名を侮辱した行為、今すぐに訂正しなさいと命じたのです。」


青年は首へと手を当て天使へと真面目な顔をする。


「アンタは確か、物語では神の事を恨んでたんじゃないのか?その存在に与えられた名を大切にするって事はアンタの中ではその神って奴はまだ「黙りなさい!」


頬を膨らませ怒鳴る天使。根が真面目な所為かついつい軽口を挟みたくなる。


(なんか面白いな、こいつの反応。)

「ならアンタがオレの事を名前で呼んでくれたならオレもアンタの事を名前で呼ぶ。これなら平等だろ。」


片目を閉じ、そう言うと天使は苦虫を潰した様な表情をとり、諦めるように青年の名を呼んだ。


「ジョン____________此れで満足ですか。」


ふんっと鼻を鳴らし、顔を背ける。青年はそんなルシファーに優しく笑うと天使の名を再び呼んだ。


「あぁ________ルキフェル。」


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