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第五十五話『誓い』

「行ったか.............」


カミーユが行った事で身体を横に倒すブランチェ。


「___________限界なのか?」


銀狼は優しい眼差しだけを向ける。


「.......そう、か。」


黒騎士は銀狼へと寄り添い目をつむる。せめても最期の時は共にいようと。


「随分と面白い事になっている。姫の願いを聞きいれず、老婆の蘇生に力を使い命尽きるか。愚かなりなぁ賢狼よ。」


森の影からフードを被った女性が現れる。身体のラインがくっきりと見える魔女特有の黒装束を身に纏う美しい女性。


(...........あれは)


銀狼が黒騎士の世界に迷い込んだ際に人の姿に変えた姿が彼女と瓜二つであった。


「_______________不老の、魔女か。」


横たわる銀狼は哀しみの眼差しで魔女を見る。


「聖域から追い出された姫は唖然としたよ。世界が姫を中心に回ってはいないではないかとな。」


髪を掻きむしり、歪んだ表情を見せる魔女。


「賢者よ、恩人であるソナタには感謝はすれど恨みはない。だが、嫉妬はする。」


杖の様なものを手元に出し一人で語り始める。


「姫は唯の人間だ。一国の姫ではあるが、人に過ぎない。姫は其れがどうしても気に食わぬ。ならば、姫がソナタの様な人外となれば良いと考えたのだ。」


(考え方が極端過ぎる。)


「結果は歴史の通り王国を追い出された愚かな姫。通り名は”狂い姫”だったかな。随分と嫌われた名だろう。」


「汝の父は手を差し伸べなかったのか?」


「あの愚父は最後まで姫を庇い老死していったよ。愚父の後ろ盾がなくなった途端に宰相達が中心となって姫を亡きものにしようとしたがね。」


以外にもディープなストーリーラインが構築されているらしい。


「それでアンタは王国から逃げたのか。」


「ソナタは阿呆か?随分と美麗とした顔形をしているが物事を考える知能は低いと見える。」


口が悪い女だと苦笑する。


「姫は国から逃げたのではない。捨ててやったのだ。あの様な価値の分からぬ国にいては姫は真価が発揮出来ぬからな。」


「そうか..........ならば今回俺たちの前に出て来た理由はなんだ。目的があるんだろう?」


魔女はニヤリと口元を曲げ卑しい笑みを浮かべた。


「ソナタ達が話していた『古の剣』とやらの在り処を知りたくてな。時期に死にゆく定めならば、次の管理者が必要であろう?」


この女の目的は『古の剣』か。力を無限に増幅させる刃。神や世界ですらも滅ぼす事が可能な最強の剣。


「古の剣は吾輩が持っていく_____案ずるな。」


銀狼は小さくそう呟くと目を完全に閉じた。


「ふざけるでない!力とは力ある者に支配されるべきなのだ!それをそなたは死の国へと持って行くと言うのか!断じてならぬ!其れは愚者がする愚かな行いだ!」


不老の魔女は発狂した様に叫ぶ。だが、それ等を無視して黒騎士は銀狼の身体へと手を触れた。


「なぁ、ブランチェ________」


「あぁ。」


「_________俺たちはずっと友であり、家族だ。」


「あぁ。」


「だから安心していけばいい。そして戻って来い。俺たちの世界に!」


最後の力を振り絞り片目を少し開ける銀狼は黒騎士の笑顔を目にする。


「それは...........」


ブランツェが息をする音が徐々に消えていく。


「................楽しみだな、少年。」

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