第三十七話『Disaster of Miasma』
ジョン副団長並びに騎士ヴェヌスの功績によりアイエーネ大陸西方面の攻略は少ない被害で済む事が出来た。しかし彼らの力を持ってさえも西塔を居城とする瘴気のドラゴンを独破する事は叶わなかった。
『あぁ♪人は脆く弱過ぎますねぇ♪』
騎士ヴェヌスが致命傷を負いジョン副団長は騎士ヴェヌスを抱え戦線を離脱した。
『ふふ、だけど私達が塔の下まで来ていたぁ♪』
血相を変え塔の扉から出てくるジョン副団長。運良く私達も塔へと辿り着き丁度扉が開く時に彼らとは遭遇した。
『あらあら、せっかくヴェヌスさぁんが死ぬばぁ愛しの彼は【私】のものになっていたのに残念ですねぇ♪』
聖女としての能力で彼女を回復させなんとか命を繋ぎ止める事に成功する。騎士ヴェヌスは未来の帝国に置いて必要な人物だ。死なせる訳にはいかない。
『ふふ♪本当は彼女を見殺しにしたかった癖に♪』
ドラゴンは私達が協力する事で難なく突破する事は出来た。何故ならばあの塔に集いし者達こそが現人類に置ける最高峰の英雄達だったからだ。
『だけど今回は三方向にパーティーを分けましたねぇ♪」
そう、瘴気の攻略を早期に終わらせる為に北南東に均等に分けた。危険度は跳ね上がるが魔物戦の経験を積んだ今の騎士団ならば問題はないだろう。
『瘴気の化身達を早く倒せると良いですねぇ♪』
千の魔物を蹂躙した。倒した魔物の全ての瘴気が私へと帰化された。
『ふふ、もっとも〜と大きくなりましょう♪』
その度にこの化物の声が徐々に強まるのを感じる。この得体の知れない何かは私の精神を侵し始めている。
『早く私に下さいねぇ__________』
そしてこの呪いの言葉は常に頭へと響いていた。
『_____________________【私の身体】、ふふ♪』
「はっ!?」
眼を覚ますと付き人であるシアリーズが自分の手を握り心配とした様子で此方を見ていた。
「聖女様........うぅ、ご無事で良かった。」
どうやら自分は戦いの後、意識を失っていたらしい。
「心配を掛けましたね、シアリーズ。」
シアリーズの手をかり立ち上がる。そして周囲を見渡すとマールスとユーノの姿が見える。
「おおおおおおおおおおおっ!!」
「やああああああああああっ!!」
両者はシアリーズとディアーナを守る様に前後に分かれ迫り来る魔物達と交戦していた。
(私が全ての魔物を倒した筈........)
千もの魔物を討伐した。にも関わらず魔物が襲って来ている。
「聖女様が意識を失っている間、私達は南塔の真下まで足を進めました。」
意識を失っていた........?
「私は一体どれ程の間、意識を失っていたのですか?」
シアリーズは暗い表情を見せると3本の指を見せた。
「.........3日、ですか。」
「3週間程です。」
3週間もの間、自分は仲間達へと迷惑を掛けていたのか。自責の念に襲われる。
「ようやく目覚めたか、眠り姫。」
斬り殺した魔物の遺体に足を起き、ディアーナへと皮肉を言うマールス。
「........申し訳ありませんでした。直ぐに戦闘の準備に移行します。」
魔力を杖に込めようとするが、シアリーズの手が杖へと置かれる。
「聖女様、今は目覚めたばかり_____ご無理をなさらず彼らに任せて下さい。」
ディアーナは目を瞑り分かりましたと小さく呟く。
(私の実力不足が真似いた結果がこれですか。高々千程度の敵を屠っただけで魔力切れ。聖女としての力は絶大ですが、瘴気の残滓を内包していく度に正気が失われていく。)
歯軋りを立て自身の未熟さ、そして瘴気の呪いの強さを恨む。
「安心して下さい、聖女様!僕が必ず守ります!!」
新米騎士であるユーノにまで心配される始末。
「ありがとうございます........騎士ユーノ。」
ディアーナはなんとか苦笑を浮かべ感謝の言葉を口にするしかなかった。




