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第三十五話『犬猿の仲』

「____________お前、男色なのか?」


ユーノはマールスの突拍子もない発言に唖然とした表情を見せる。いきなりお前は同性愛者なのかと聞かれているのだから驚かない方が可笑しいだろう。


「ぼ、僕は女性が好きですよ!!」


ユーノは意識を取り戻したのか否定する。


「ジョンの奴が本気で迫って来ても同じことを言えるのか?」


「...................................言えますよ、」


随分と間を溜めて回答を出すユーノ。マールスはこれ以上は聞くまいとディアーナへと視線を向けた。


「さて、俺たちが向かう方角は南だったな。他のパーティーは北東に集中させたが良かったのか?」


南の方角へと進むパーティーはマールスディアーナ率いる一パーティーのみ。ディアーナ曰く自分達だけで攻略出来るとの事だ。


「西塔攻略時には後衛に徹していましたが此度の遠征では私も前線に立ち戦います。」


ディアーナは西塔から旅出る前にパーティーメンバーへとそう告げていた。


(正気を保つ為には何かに打ち込む必要がありますね________)


ディアーナは頭を押さえ、なるべく殺戮衝動を抑えるようにしている。戦えば加速するだろうが、それでも戦わなければ自我の意識を保てないギリギリの場所にいた。


「時期に瘴気領域内です。気を引き締めて行きましょう。」













「一ノ型__________紫電一閃」


アイネイアのバスタードソードが魔物の頭部を穿つと肉体を半分へと切り裂かれる。紫色の雷光を帯びた両手、片手持ちの両用剣。


(新人とは思えない実力だな.............)


黒騎士はアイネイアの実力を目の当たりにし驚く。


「やるではないか、新人!」


「あ、ありがとうございます、ヴェヌスさん!ユーノさんから旅の最中に二つ程技を教えて貰ったんです!」


二つの技。ユーノの成長具合はやはり常軌を逸脱している。最初に出会った頃は駆け出しの冒険者程度の実力だった。しかし数日の実戦で人に教えられる程の実力に達しているのだから。


「やはり主人公は別格と言うことか________」


しかし、やはり心配にはなる。史実でのディアーナのユーノの殺害。ユーノの力が肥大すればするほどディアーナは奇襲による暗殺の殺害率を低下させることになる。正面からユーノを殺さなかった理由としては本能から彼の覚醒の可能性を危惧していたのだろう。


「もう一つの技はどうな技なんだ?」


一ノ型紫電一閃は剣の刃先に魔力を集中させ貫通力を上げる技だ。余りの鋭さ故に突きの際紫色の雷が発生する事から紫電と名付けられている。


「______えっと、二ノ型紫電清霜と言うんですけど「ちょっと邪魔なんだけど。」あ?」


説明の途中にレアがアイネイアヘと文句を言う。


「迂回して回れば良いだろうが!」

「うるさいな。魔物が近づいて来ちゃうでしょうが。」


「こら、喧嘩をするでないわ!」


ヴェヌスが二人の肩へと手を置き場を収める。本当にこの二人は喧嘩早くていかん。


「よし、この近くにいる魔物達は大方片付けた筈だ。この調子で進むぞ。」


北の渦を早急に片づけ、東側の援軍に行かなければならない。南側はマールス達が引き受けているから心配ないだろう。


「きっーーー!!!本当にあんたムカつくわね!」

「それはこっちの台詞だ!」


互いにフンっと顔を背け合う。黒騎士も最初のうちは止めていたのだが一向に収まる気がないので放っておくことにしたのだ。


「副団長殿、このままでは戦闘に支障をきたすやも知れぬぞ?」


「構わない、好きにやらせれば良いさ。無理に縛ればああ言うタイプは実力を発揮出来ないからな。」


事実、連携は完全とは言えないにしろ取れてはいる。


「それに俺やお前がいるんだ。バックアップくらいはしてやるさ。」


「ふふ、そうだな。」


ヴェヌスは嬉しそうに黒騎士の隣を歩く。


「___________前方に10を越える魔物の群れあり。迎撃する?それとも様子見する?」


レアが敵を感知したようで報告をする。彼女は魔法に長けていた。それも異常な程に。索敵魔法、広範囲攻撃術式、使い魔による追跡、ディアーナには及ばないがある程度の回復魔法も行使が可能である。


「お前はまた副団長に敬語を使わないでっ!」


アイネイアが怒るが其れを諫め、長剣を抜刀する。


「迎撃だ。他のパーティーが群れに遭遇しないように狩る。異論はないな。」


「「「はっ!!!」」」


3人も同じく攻撃大勢に入る。黒騎士は先行して魔物の一体へと剣を振り投げた。


【グギャア!?】


頭部を破壊された事により灰へと帰る魔物。その仲間達は何事だと警戒大勢へと入った。


「ノルマは何体だ、副団長!」


レイピアによる一撃で心臓を穿つヴェヌス。そして足で魔物を蹴り、刃を抜く。


「最低でも一人5体は狩って貰うぞ。」


その台詞を聞き戦場に紫の雷が走る。


「了解です、副団長!」


貫通力を高めた紫電一閃で魔物の一体を倒すと後部へとバク転する様に飛び叫ぶ。


「先程説明が出来なかったのでお見せします________」


空中でバスターソードを地上へと向けると剣が更に強い紫の稲妻を見せる。


「二ノ型______________紫電清霜!!」


バスターソードから放出される紫雷が槍を構成し雷が如き速度で地上にいる魔物達へ降り注ぐ。


(いやいや、何その技!?)


黒騎士は驚きの余り刃を止めアイネイアの勇姿を眺める。


「性格はウザいけど、彼奴、才能の塊ね。だけどまだまだ未熟。」


レアが冷静にそう観察するとアイネイアが殺しそこねた魔物達へと向け魔法の詠唱を開始する。


「混濁の血、振り払うわ咎人_________ブラッドリー・エクスプーロード!」


アイネイアにより傷を受けた魔物達は苦しむ様にその場へ倒れると『爆発』した。そして血肉も撒き散らすこと無く爆発した魔物の肉片は一つの固形に収束され灰へと帰っていく。


「アンタの尻拭いをしてやったんだから感謝しなさいよね。」


「はぁ?別にお前に尻拭いをして欲しいなんて言ってないんだが。」


二人は顔を赤くしデコとデコをガンと押し付け合う。


「「本当にムカつく奴ね(だな)!!」フン


黒騎士はヴェヌスへと顔を向け言う。


「な、放って置いても何の問題もないだろ?」


ヴェヌスは顔を顰め、ボソりと呟いた。


「__________問題だらけな気がするのだが。」

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